【ショートショート】「伝説の池が輝くとき」/ キンモクセイ盗賊団の池
数十年前に忽然と姿を消したという『キンモクセイ盗賊団』。そのお宝が沈んでいる池が存在するという伝説がある。
国家予算を軽く超えるほど莫大な額にのぼるとも言われ、その宝を多くの盗賊団が血眼になって探していた。
そして、とうとうその池が発見された。
木星の第2衛星エウロパ。
火山活動で熱された氷が一部液体となっている場所。それこそがキンモクセイ盗賊団の池らしい。
「とうとう見つけた」
宇宙服(ウルトラライト)を着た一団が池を囲んだ。表面は厚い氷に覆われている。
「しかし綺麗な池だな」
男はニヤついた。
池の底に黄金の山が見えている。
「あの財宝がもうすぐ俺たちのものになるのだ」
ワッハッハッハ〜!
一団が高笑いした時、池が眩い光を放った。
…
−170℃の風が吹き抜ける。
金木犀の花言葉『隠世』。
現世と対なす世界。
『隠世盗賊団の池』
近木星、衛星エウロパにあるこの池は、この世ならざる光で近付く盗賊団を照らす。
そして今日も一団が忽然と姿を消した。
(410字)
終
こちらの裏お題に参加させて頂きました。
よろしくお願い致します🙇♀️