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農産物卸売市場のデータ分析

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農産物市場データを様々な視点から分析。「勢い」のある野菜が分かります。
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2021年2月の記事一覧

農産物卸売市場調査データ分析⑤~単価その2~

 今回は単価の月間の変動について見ていきます。  下図は2006年から2019年の各品目の月間単価を「箱ひげ図」にしたものです。「箱ひげ図」の「線(ひげ)」の上端の下端が最大と最小を表します。「箱」の上端はデータの75%の位置,下端は25%の位置を表します。つまり,「箱」の範囲にデータの半分(50%)が入ることになります。「線(ひげ)」や「箱」の幅が大きいほど,月間で単価の変動が大きいことを表します。    各品目で単価に差があり,比較がしにくいです。そこで,すべての品目の

農産物卸売市場調査データ分析④~単価その1~

今回は,各品目の単価(1㎏あたりの金額)を見てみます。  下の図は各品目2019年の1年間平均単価です。単価の高いものでは,1000円以上のものもありますが,いくつかのグループに分かれるように見えます。大きく分けると①600円~800円くらいのグループ,②300円~400円くらいのグループ,この2つがあります。各グループでの品目の特徴はあまりありませんが,単価の低い品目は,1つあたりの重量の大きい品目(はくさい,だいこん,キャベツなど)が目立ちます。  下の図は,単価の2

農産物卸売市場調査データ分析③~流通量~

 今回は流通量で見ていきます。流通量の多い順に並べると以下の図のようになります。やはり1つあたりの重さのある品目が上位に来ています。 ① 10年前との比較  流通量の10年前(2008年~2010年の平均)と2019年を比較してみます。比較方法は市場規模と同様に2019年/10年前の比率です。1.0より大きければ,10年前より増加しています。  10年前よりも増加した品目は3つ,0.9以上でみても7つと市場規模が増加した品目数と比較しても少なくなっています。これを市場規模の

農産物卸売市場調査データ分析②~市場規模その2~

 市場規模のデータの分析を続けます。ここでは,月間の市場規模データを用いて最大の月の値に対する最小の月の値の比(最小月/最大月)を指標とします。需要に対して供給が少なくなれば,単価は上昇し多くなれば下降します。この関係を図に表すと下図のようになり,数式で書くと,y=D/x(y=供給量 x=単価 D=一定の数)なります。Dは市場規模(需要)を表していて,もしも図のような関係にピタリと当てはまるのであればDは常に一定なので,最小の月と最大の月はイコールとなり,(最小の月/最大の月

農産物卸売市場調査データ分析①~市場規模その1~

 まず最初市場での取引価格合計のデータを見ていきます。このデータは各品目が取引された金額です。この数値が大きければ,流通する数量が多く,マーケットの規模が大きいことを示しています。取引数量(㎏)のデータもありますが,例えばダイコンとホウレンソウでは一つあたりの重さが違うので,単純には比較できません。金額にすることで,各品目を同じ土俵で比較することができます。 ① マーケットの規模  下図は2019年の取引価格合計の各品目ごとのグラフです。最も多いのは「トマト」で約1030億

農産物卸売市場調査データの分析

 商品を売ろうとするときには市場(マーケット)の調査・分析が大切です。どれくいらの需要があってどれくらいの価値で売れているのか。これを大規模にやろうとするとかなりの労力が必要です。ところが,農産物に関してはこれを農林水産省が大規模にしかもかなり細かくやってくれています。これを利用しない手はありません。この分析では,農林水産省の実施している「青果物卸売市場調査」の年間取扱量等データをもとにして,農産物マーケットの動向を分析していきます。   「青果物卸売市場調査」については,農