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農産物卸売市場調査データ分析①~市場規模その1~

 まず最初市場での取引価格合計のデータを見ていきます。このデータは各品目が取引された金額です。この数値が大きければ,流通する数量が多く,マーケットの規模が大きいことを示しています。取引数量(㎏)のデータもありますが,例えばダイコンとホウレンソウでは一つあたりの重さが違うので,単純には比較できません。金額にすることで,各品目を同じ土俵で比較することができます。

① マーケットの規模
 下図は2019年の取引価格合計の各品目ごとのグラフです。最も多いのは「トマト」で約1030億円です。上位10品目は下表のようになっています。
水産缶詰の市場規模が約1000億円(第138回 はごろもフーズ(2831)『シーチキンPLUS シリーズ』企業を知るには、製品から)です。1品目でそれを上回っており,かなり大きな市場規模だと言えます。

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②10年前との比較
 10年間での変化を見ていきます。比較対象は2008年から2010年の3年間の平均です。3年間の平均としているのは,単年の場合その年の気象条件が特殊な場合生産量にも強く影響を与える可能性があるからです。
 10年前(2008年~2010年)の取引価格合計平均値に対する2019年の比率が下図です。10年前と比較すると,ほとんどの品目が1.0以下となっていて,この10年間で市場への流通量が減少していることが分かります。その中でも1.0を超えている品目もあり,「ミニトマト」,「ブロッコリー」,「こまつな」,「かんしょ」,「ピーマン」,「カリフラワー」はマーケットが伸びています。

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 下図は横軸に取引価格合計,縦軸に10年前との比率をとったものです。伸びている品目の取引価格合計は中位~下位に位置しています。すでにマーケット規模の大きな品目は成熟しており,伸びはありませんが中位から下位では需要の掘り起こし次第では伸びる可能性があります。

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③ 考察
以上のデータ分析を個別品目について考察してみます。 
・10年前比率1.0以上(伸びている)の品目を見ると,簡単な調理で食べることができ,比較的軽量な品目だといえるのではないでしょうか。一方で,重量のある品目「だいこん(0.76)」,「キャベツ(0.82),「はくさい(0.85)」は減少が大きくなっています。
・かんしょ,スイートコーン等はブランド化された品種・産地があり,それらがマーケットをけん引していることが想定されます。
・「こまつな」が伸びている品目となっていることは意外な気がします。似た品目で「ほうれんそう(0.80)」は,減少しています。食べやすさが評価されているのでしょうか。



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