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農産物卸売市場調査データ分析⑤~単価その2~

 今回は単価の月間の変動について見ていきます。
 下図は2006年から2019年の各品目の月間単価を「箱ひげ図」にしたものです。「箱ひげ図」の「線(ひげ)」の上端の下端が最大と最小を表します。「箱」の上端はデータの75%の位置,下端は25%の位置を表します。つまり,「箱」の範囲にデータの半分(50%)が入ることになります。「線(ひげ)」や「箱」の幅が大きいほど,月間で単価の変動が大きいことを表します。

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 各品目で単価に差があり,比較がしにくいです。そこで,すべての品目の平均値が0(分散1)となるようにデータを変換して比較します(正規化)。正規化した箱ひげ図が下図です。

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 この図の中から,最大と最小の幅(線(ひげ))の長さを大きなものから順にならべたものが下図です。この幅が大きいものは,値動きが激しいことを表しています。価格変動の大きな品目では,価格高騰時には収益が大きくなる可能性がありますが,一方で値下がりリスクもあるためいわゆる“豊作貧乏”と言われる状態となることも考えられます。

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 大きな品目では,「キャベツ」,「にんじん」,「だいこん」,「レタス」露地栽培中心の品目が多くあり,一方で小さい品目では「ピーマン」,「アスパラガス」,「ほうれんそう」など施設栽培の多い品目が目立ちます。このことから気象条件が価格の変動に大きく影響を与えていることが分かります。
 この中で,「はくさい」は露地中心と思われますが比較的幅が小さく,「こまつな」は施設栽培も多いと思われますが比較的幅が大きくなっています。個別品目の事情では,栽培技術や代替品目の有無(価格が高ければ他の品目を買う)などが挙げられます。

 下図は最小値が0に近い品目から順に並べたものです。これが0に近いほど値下がり幅が小さいことを表しています。0に近い品目の傾向として,「みつば」,「れんこん」,「パセリ」など生産量が小さくあまり“メジャー”とは言えない品目が多くあります。生産量が少ないものの,一定の需要があり,希少性もあるので値下がりしにくいということだと思われます。これらの品目は収益低下のリスクが小さい品目だと言えます。

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