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農産物卸売市場調査データの分析

 商品を売ろうとするときには市場(マーケット)の調査・分析が大切です。どれくいらの需要があってどれくらいの価値で売れているのか。これを大規模にやろうとするとかなりの労力が必要です。ところが,農産物に関してはこれを農林水産省が大規模にしかもかなり細かくやってくれています。これを利用しない手はありません。この分析では,農林水産省の実施している「青果物卸売市場調査」の年間取扱量等データをもとにして,農産物マーケットの動向を分析していきます。
 
「青果物卸売市場調査」については,農林水産省のWebサイトに概要が記載されています。

「卸売市場調査」と名があるように,市場を通じて取引されたものの統計で,生産者が直接消費者へ販売する直売所等での取引は含まれていません。そして直売の取引量は年々増加していて,卸売市場を介した取引に対して無視でない量になってきています。ですから,データを分析する上で直売の影響は頭に入れておかなければなりません。しかしながら,農産物特有のマーケット構造を理解するためには卸売市場のデータが必要になります。

 農産物特有のマーケット構造とは,いわゆる「豊作貧乏」と呼ばれるものです。通常は製品の値決めは製造者が行い,利益が出ない価格で販売することはないと思います。石油等の資源物質はマーケットの変動がありますが,需要が下がれば減産等で流通を量調整し価格の安定を図ります。しかし農産物は値決めもできず,流通量調整もリードタイムが長いため難しいです。しかも,生産量は気象条件に大きく左右されるため,コントロールも容易ではありません。

以上のような特徴を持つ農産物のマーケットを多面的に分析して,生産の傾向と対策に結び付けていきたいと思います。

 今回の分析では「野菜」について分析します。この調査で取り上げられているのは,取扱い量の多い主要50品目です。
(だいこん、かぶ、にんじん、ごぼう、たけのこ、れんこん、はくさい、みずな、こまつな、その他の菜類、ちんげんさい、キャベツ、ほうれんそう、ねぎ、ふき、うど、みつば、しゅんぎく、にら、セルリー、アスパラガス、カリフラワー、ブロッコリー、レタス、パセリ、きゅうり、かぼちゃ、なす、トマト、ミニトマト、ピーマン、ししとうがらし、スイートコーン、さやいんげん、さやえんどう、実えんどう、そらまめ、えだまめ、かんしょ、ばれいしょ、さといも、やまのいも、たまねぎ、にんにく、しょうが、生しいたけ、なめこ、えのきだけ、しめじ、その他の野菜)
 
 このうち,きのこ類(生しいたけ,なめこ,えのきだけ,しめじ)は除きました。きのこ類は,農産物特有のマーケット構造のデータと異なり,どちらかというと一般の製造品に近いです。このため,農産物データと比較がしにくいからです。

農産物卸売市場調査データ分析はじめていきます。




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