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誤解の多い「ファンマーケティング」、新規獲得施策も忘れずに!

無料のマーケティング勉強会「マープス」、今回のテーマは「ファンマーケティング」です。

ファンマーケティングは大事だけれど、誤解が多い施策です。誤解されやすいことを理解した上で、あくまで、新規の獲得施策との両輪あるという大前提のもと、取り組もうね、というお話です。すぐに結果が出る取り組みではないので、その取り組みを理解してもらうためにも、マーケティング担当者が、誤解されやすいポイントを理解して、それを組織に説明しないといけません。

まず、企業が「ファンマーケティング」に取り組みたい理由を見ていきましょう。

ファンマーケティングに取り組む理由

価格競争したくない

昔は、メーカーごとの製品品質に差がありました。企業努力で、製品の品質を向上させて、競合に勝ってきました(【最高】を目指す)。
しかし、現在では、技術の進歩で、品質に大きな差が見当たらない状況です。どの商品買っても失敗がない。食べ物ならだいたいおいしい。消費者にとってはありがたい時代です。

「どこも品質がいいのであれば、安いもの買うよ」(【最安】が選ばれる)という選択がされます。

昔は、【最高】品質で買ってくれ、獲得した消費者がずっと買い続けてくれるロングセラー商品がありましたが、今は、いいものがどんどん出てきて、製品の寿命が短くなりました。
出しても長く売れませんが、
・新商品を作らないと、製造ラインの稼働率を維持できない
・流通、売り場は新商品を置きたがる
という事情があり、コストのかかる商品開発を止めることもできません。

で、【最安】で選択されるのではなく、愛される【最愛】を目指したい、というのが、ファンマーケティング、顧客に愛され続ける施策が求められる理由です。が、愛は金では買えないという残酷な事実があります(認知は広告を使って金で買える)。

マーケティング戦略も、STP分析で売れる市場を探して、4P分析で戦略を立ていましたが、今はどこもやっています。STP→4Pで勝てなくなってきましたが。が、やらないと負けるという時代です。

お客様には偏りがある

パレートの法則(80:20の法則)では、20%の顧客が、80%の売上を作っていると言います。実際にはそこまで極端ではなくても、30%の顧客が70%の売上、40%の顧客が60%の売上を作っています。偏りは存在します。だから、売上を作ってくれる、一部の顧客を特に大事にしたい、と思うのはとても自然なことです。

どんなお客様であっても、一定の期間で、一定の割合が離脱することは避けられません。新しい商品を試して、そのまま新しい商品を使い続ける層がいます。だから、常に、新しい顧客を取り込んでいかないと、商品は売れなくなっていきます。

人口が減る(理屈の片手落ち)

人口が減ると、新規の顧客獲得が難しくなるので、既存顧客を大事にしたいという理由です。が、ここに誤解があります。だって、既存のお客様も年齢が上がって、将来はいなくなります。やっぱり新しい顧客獲得が必須です。

ファンマーケティングの罠

「いっぱい買ってくれるから、うちのこと大好きなんだろうな」といって、
「ロイヤル顧客」と名づけて、ロイヤル顧客施策を行うことが多いですが、実際には、売り場が近い、特に不満がない、切り替えがめんどくさいだけ、で買われ続けていることを見落としてはいけません。

継続して買っているみから「愛している」わけでもないし、まして、買っているから、誰か二「推奨する」わけでもありません。

①C/Pバランス理論

商品は、技術の進歩で、競合とほとんど同じ品質になっています。(ファンマーケティング)施策したからといって、自分たちの商品のロイヤルティ比率だけ上がるって本当ですか? 信じる根拠はありますか?

②近視眼的KPI

「いますぐ(購入してくれる)」客は、今期の施策で対応しますが、「そのうち」客の施策には時間がかかります。最低でも、三年はかかるでしょう。三年間、数字を追って、サポートし続けることはできますか? 三か年分の予算を確保できますか? 会社が、組織が、そこまで許してくれるますか?
1年やって次年度までは実施できても、3年目で、やめさせられていませんか?

③新規軽視

トライアル購入の一部がリピート購入につながります。ファンマーケティングは、リピート購入を増やす施策です。一度購入した顧客、ロイヤル顧客と位置付けた顧客も少しずつ減っていきます。一定割合で離反します。解約率を下げない施策はあるでしょうけど、成長させるには、新規顧客獲得をいい加減にしてはいけません。

④ファン比率の誤解

規模が小さいブランドのほうが、ファンが多いイメージがあるかもしれませんが、大きなブランドAも、半分の売上のブランドBモ、実は、比率は変わりません。大きなブランドの50分の1、もっと極端に、1000分の1程度の売上規模であれば、顧客の絶対数が少ないので、ブランド自体が、一部顧客に支えられて、比率が大きくなることはあります。

そして、ダブルジョパティの法則があります。

ブランドAに1000人のロイヤル顧客がいる場合、売上規模が半分のブランドBには、500人のロイヤル顧客がいると考えられます(比率はほとんど変わらない)。

ということは、「ブランドAがいい!」という顧客が2倍いるわけです。シェアが大きいということはそういうことです。ブランドBは、新規顧客の獲得を進めながら、できるだけ、離反を減らし、ロイヤル顧客を大事にしてLTVを上げていくという地道なことを強いられます。

⑤顧客離反のインパクト

ダブルジョパティの法則から、「ブランドAがいい!」という顧客の数が、ブランドBの倍いるわけですが、大きなブランドから離反してくると、小規模ブランドのほうが、メリット大きくなります。このブランドAの離反を中小ブランドは獲得を狙う必要があります。

⑥売上インパクト

ある施策を行って、1億の売上があった場合、ブランドAでは、全体の売上の100分の1かもしれませんが、ブランドZでは、売上の半分かもしれません。同じ施策でも、ブランドによって売上施策の実感は違います。施策がダメと判断するのではなく、効果はあるけど、実感が違うという場合があります。

前週のインフルエンサーマーケティングの回でもこの話はありましたね。売上の大きいブランドのほうが、実感が小さいことがあります。効果を正しく捉えましょう。

まとめ

  • 「新規顧客が獲得できないから、既存顧客のLTVを上げて補填しよう」という考えはNG

  • 新規獲得と既存顧客施策の両方が大事

  • 既存顧客を行う時は、6つの罠に注意する

結構、誤解も多いので、組織に対して、うまく説明できるかわからないというのが正直なところ。いつにも増して、しっかり復習したい回でした。

提出義務のない宿題

ひとりの消費者として、最低3社のファンマーケティングを経験してみよう

※ファンマーケティングによる態度的なロイヤルティと行動的ロイヤルティの「変化率」が体験できるはずです

※参考


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