今月もひとり歌会（2024年5月）

月が終わると、毎日詠んだ歌を整理する「ひとり歌会」。誰のフィードバックも得ず、詠んだ歌を見ながら一人、仕事や生活をふりかえる。

近況

今月は、何もできなかったなぁ、と思いつつ、手帳に書いた完了タスクや、歌を見ると、あれもこれも、5月のことかぁ、となった。こうやって年を取っていくんだろう。ほんとに、記録をしてないと、何もしてない2024年だった…　ということになりかねない。自分を振り返るためにも、短歌も、毎日noteもできるだけ続けたい。自己肯定感と自己効力感を確認するためにも。

今月の歌（37首）

5/1水
赤い皮靴に雨染み靴下が血に塗れたような斑点、斑点

5/2木
夢の中　カツオノエボシが並ぶ浜　子とどう食べるか相談している

5/3金
酒のため　乱暴な言葉妻に向け罪悪感で飲みたくなった

5/4土
酒飲まぬ人にも優しい世の中で酒を愛する詩人を愛す
（「塔」短歌会6/20締切投稿⑥）
生きてれば絶対父に洩らすこと　洩らさず済んでよかったのだろう

5/5日
妻の"レモン濃いめ"を冷蔵庫から出して　こっそり飲んで　こっそり補充

5/6月
連休の最後の日には日本酒を浴びるように飲む　続け酩酊
「バレてないと思っているの？」酒のこと？　それともどれの嘘のことですか？

5/7火
「完了」が逃げ水のように見える仕事　17時半、掴めそうになる

5/8水
逃げ水に見えた昨日のお仕事は逃げ水でした。朝、再開す。

5/9木
窓の下　夜間に響く工事の音に妻の何かが昂じる空気

5/10金
妻は溜めこみ私は忘れる出来事が週末ギャップとして露見する
（「塔」短歌会6/20締切投稿②）

5/11土
別居する子との面会の集大成に富士登山を置く私の人生
→別居する子との面会の集大成に富士登山を置く我の人生
（「塔」短歌会6/20締切投稿⑤）

5/12日
「うん、うまくやれたぞ」週末の22時　妻が本音の一撃放つ

5/13月
「死にたい」と何度口にすれば心理士は俺の問題に気づくのだろう
平日に息子と会えぬ身分にて　駅のホームの父子に釘付け

5/14火
美しい装丁の本を枕にし　うつつ逃れて　いい夢を見たい

5/15水
すっ転び腕に血の染む白シャツを犯罪者のようにゴミ箱に捨つ
フィクションで作った歌も十年が経てば自分のことと思える
電話口、相手の後ろの雨音に溶けこんでくれと祈る涙声

5/16木
会報誌の冊子を開くその時まで、あらぬ評価を期待している

5/17金
亡くなった次の日父の冷たさに手を引っこめたことを悔やみつ
→亡くなった翌日父の冷たさに手を引っこめたこと今悔やむ
（「塔」短歌会6/20締切投稿④）

5/18土
赤札を配る日　お大師様ちかく　初めて友に妻紹介す
→赤札を配る日　お大師様近く　初めて友に妻紹介す
（「塔」短歌会6/20締切投稿①）

5/19日
予定なくゴロゴロ床を転がる昼　こんな一人の休日でいい

5/20月
先月はあんなに言葉が生まれ落ち　今、一行日記だけつける日々

5/21火
「禁酒しよう」その翌日に（一日は飲まなかった…）とスーパーに行く

5/22水
今週は三日も食べたアスパラの童話や神話をググる水曜

5/23木
手帳には予定のない日ゆるい目覚め　メモのし忘れ気づいて慌て

5/24金
川べりに面した部屋に鳥の声、聞きて目覚める　優雅なりしか

5/25土
夫婦間で伝えるべきことか否か　その判断は必ず間違う

5/26日
離婚後に息子と毎月話せることの幸せだけには感謝惜しまず

5/27月
日本人の心にこすられた和歌を今日は味合う「百人一首の日」
（「塔」短歌会6/20締切投稿⑦）

5/28火
あの人を憧れのために遠ざけた距離を冷たいと言われてしまう

5/29水
父が死に半年経つも　夢の中　父はあらわれ、朝、しんみりす
→父が死に半年経つも夢の中　父はあらわれ、朝、しんみりす
（「塔」短歌会6/20締切投稿③）

5/30木
完全に里を離れて半年後　父は夢に、思い出に、現わる

5/31金
三十年前、井尻の寮で聴いていたスキッドロウを浅草で聴く
→三十年前、博多の寮で聴いていたスキッド・ロウを浅草で聴く
（「塔」短歌会6/20締切投稿⑨）
禁煙の宣言をして火をつけるようにダイエットと言いて大盛り
（「塔」短歌会6/20締切投稿⑩）

※あまり短歌に関係ない画像も