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多くの人が理解できていないファンコミュニティの誤解を解く #マープス

無料のオンラインマーケティング勉強会「マープス」。今回のテーマは、「ファンコミュニティ」です。

前回の「ファンマーケティング」に続く講義です。

今回の講義だけで、だいぶファンコミュニティのことが理解ができました。

ファンコミュニティの目的

ファンコミュニティは、2000年台初頭から、ネットでいろいろやっていこうぜ! という流れの中で育ちました。この時の狙いは、顧客の「囲い込み」でしたが、実際に、囲い込みはうまくいきませんでした。そりゃそうですよね。比較情報もたくさんある、品質の差別化は難しい、離脱しないように囲い込むことの難しさは、これまでの講義でも十分理解できます。

しかし、今でも、ファンコミュニティを作ろうとしている企業の狙いは、「もう一度、買ってもらう」、「周りに推奨してもらう」を考えがちです。今期の売上、会員増ばかり見てしまいます。そもそも一度、買ってくれて、コミュニティに参加までしてくれているのに、さらに、「(買って)くれ」「(薦めて)くれ」は厚かましいのではないでしょうか。では、ファンコミュニティをうまく利用できている企業は何をしているか?

うまくいっている企業は、顧客の購入までに至る体験を逆引きして、他のマーケティング施策を見直したり、ファンになってくれた理由を探ったり、一緒に商品開発をやったり、金銭的な価値に換算しにくいことをやっているといいます。

「ファンコミュニティ」のアンチパターン

1.相性悪い企業ほど、ファンコミュニティやりがち

エンタメなど、熱量高いファンがいる場合、そもそも「関与度」が高い。ここでいう「関与度」は商品カテゴリー自体の関与度で、その商品にファンがいるとかいう話ではない。ファンだからといって、コンビニやスーパーで手に取る日用品、数千種も並んでいる商品の一つのことをどれだけ考えるか? コミュニティとして成立しないかもしれない。どの商品カテゴリーかで、すでに勝負がついてる。一方で、アパレルは、相性はいいかもしれないが、ファンコミュニティを作らなくてもファンがいるし、マーケティング予算が潤沢にない場合もある。

2.結局、ファンのお財布しかみてない

すでに、愛してくれてるのに、もっと愛してくれ(買ってくれ)を見透かされるとファンが離れてしまう。結局、他の顧客より反応がいいために、目先の売上、顧客獲得につながるドライなお願いをしがち。

3.ファンの価値を過少評価している

購入回数、推奨といった、今期の売上、新規の顧客獲得だけを見ていることが多いが、それ以外にも価値がある。

金銭換算しにくいが、商品開発のヒント・カスタマージャーニーからのマーケティング施策のヒントを探る、ユーザーが主役のコンテンツ(ユーザーのインタビュー、ユーザー参加型)、インターナルコミュニケーション。お客様の喜ぶ反応は、社員が一番、テンション上がる。でも、社員のやる気も金銭換算しにくく、ファンコミュニティの目標にはなりにくい。

コンテンツに関して、なぜ、今、インスタやTikTokを見に行くのか? それは、企業によって作りこまれたコンテンツにリアリティがないから。もっとユーザー参加型のコンテンツを作るのはいいんじゃないか? という講師の池田さんの提案。

4.取り組みにあたって、簡単な計算もしてない

簡単な計算くらいはしとこうよ。それをやるだけで、簡単に売上につながるなんて発想はできないはず。どこにどれくらい登録者がいて、アクティブになった人は? 何%の意識変容あったか? 「継続購」入だけを目標にして、期末に評価してたら、ダメ。毎期の売上に貢献しないことくらい、わかってやんなきゃ!

5.成果が出るまでのタイムラグに耐えられない

成功している、ヤッホーブルーイングさんは、社長が全コミしてる。ファンが増えた。売上も伸びてる。なら、効果出てんじゃない? という発想。

ヤッホーブルーイングさんは、ファン施策について、「売上を絶対に追うな!」と明言しているそう。

6.社員自体がファンじゃない

ファンより、ファン度が低い社員が多い。ガチのファンと渡り合えるほどの社員がいない。特に大企業。中小企業は、ジョブローテも少ないが、大企業には様々な社員が入ってくる。採用面接では、ファンを公言していても、実際には、年収や福利厚生、周りからの評価で入社することも多い。ファン度が低い社員が大事な週末をつぶして、ファンミーティングばっかりやっていては、社員が疲れてしまう。

7.ファン集めは楽じゃない

ファンを集めないといけない。アナウンスできる場所も限られている。同じ方法で、例えばメールばかりしても、顧客も飽きる。で、施策のための施策として、ファンを集めるために広告を打つ、みたいなことをしちゃう。ファンは確かに存在するけど、商品について、他人とコミュニケーションを取りたいほどのファンは多くない。

8.ファンコミュニティは勝手に自走しない

勝手に自走なんてしてくれない。油断するとすぐに過疎る。お金と手間をかけてやる意味あるかを考える。

これは、ファンコミュニティではないけれど、コミュニティの運営をやっていて、すごく実感があります。お願いしても乗っかってくれる人はいないし、勝手に宣伝までしてくれる人はほんとにありがたい存在です。レアです。

9.ファンのニーズもさまざま

「みんなでおしゃべりしたいんでしょ?」
そんな人は全体の2割弱じゃない?

ファンにも、「商品情報を早めに欲しい」「商品開発の調査を手伝いたい」「商品の開発秘話を聞きたい」「イベント告知やお得情報を知りたい」といった、いろんな要望がある。そんないろんなファンに向けて、フィードバックをきめ細かに、継続的に行う必要がある。

10.ファンの声は最初から外にある

コミュニティに入ってから、インスタはじめるわけじゃない。ファンはすでにはじめている。出てた、発信してた人が入ってくれた場。コミュニティに入ったからといって、期待以上に活発になるわけじゃない

11.ファンも暇じゃない

家事も、仕事もある。コンテンツを読んで、反応してばかりもいられない。コンビニの数千点の商品の一つの商材の関係者と週に何回も会話したいか?

んなわけない!

12.仲間内でつるむ人たちがいる

時間を持て余してる人もいる。コミュニティの中心に常駐する人は、その場のヌシに見える。そのヌシを中心に個別の主張をしはじめる人たちもいる。ポジティブフィードバックだけしてくれればいいけど、排他的な空気を出し始めると、やっかい。企業側が排除はできない。黙っててください、なんて言えるわけがない。コミュニティの中には、最初から、期限性にして、「卒業させる」という方策を取ることもある。

13.費用対効果が見えにくい

エクセルの表程度で、すべて数字を見せることは不可能。いろんな因果関係があって、目に見えるものばかりじゃない。

まとめ

・コミュニティ開設や運営を目的化しない(手段を目的にしない)
・最寄り品(日用品)には、適切な「距離感と頻度」がある。最寄り品のファンコミュニティは難しい
・ファンを画一的にとらえない。期待しすぎない。Takeばかりはダメ。Giveし続ける
・手段を目的にせずに、KGIを明確にする(売上とか、新規顧客獲得数なんて目先のP/Lではなく)

提出義務のない課題

ファンコミュニティに3つは参加してみよう

※ファンコミュニティに参加し続けることの難しさがわかります。

感想

私も、ファンコミュニティではありませんが、コミュニティの運営をしたことがあるので、勝手に自走したり、盛り上がってくれたり、ポジティブフィードバックを期待したりすることがいかに、無謀なことかを知っています。ネガティブなフィードバックをする人にも丁寧に答えつつ、他の人たちの居心地を守り、さらに次の取り組みに巻き込むことは大変です。あと、耳の痛い話としては、ユーザーのファンとわたりあえるほど、製品のファンかどうかという話。そうなんですよ。商材の多さという理屈にかまけて、ユーザーより知ってる製品なんてほとんどないでしょう。自社でファンコミュニティ作ろうぜ! なんて言う人がいたら、後ろからバットで殴りつけてやろうと思います。

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