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ヤマップが登山者とコミュニティを通じて作り上げた価値 #マープス

今回の無料のマーケティング講座はゲスト回。「ファーストフォロワーの作り方」3回のゲストシリーズの第三回目。ヤマップの小野寺さん回です。

普段、息子と登る時に、毎度お世話になっているヤマップさん。ヤマップさんの話が聞けるのなら、マーケティングの勉強にならなくていいくらいです。そんな大事な回でしたが、最後の質疑応答まで聞けず。。

運営からの振り返り記事に、質疑応答の内容まで掲載されるかわかりませんが、振り返り記事を待ちたいと思います。

「ファーストフォロワーの作り方」の前回、前々回の講義では、
メルカリさん、ポケットマルシェ(雨風太陽さん)が、どのように価値を伝えたか? という講座でしたが、今回のヤマップさんは、登山者の行動特性をとらえて、どう価値を作っていったか? というお話です。

YAMAPとは?

登山地図GPSアプリを使って、日本で最も正確性があり、即時性の高い登山地図を提供します。国内登山人口650万人、アプリのダウンロード数は、現在、400万ダウンロードを超えています。

(アプリの機能)
・自分の記録を残せる(通ったルート、標高、撮影写真のアルバム化)
→他人の記録を見て、自分も行きたくなる!
・登山者コミュニティの他の人の役に立つ(壊れた標識のある分かれ道にコメントをつける)

ヤマップは…
・登山地図アプリを使って、登山者コミュニティに情報がぐるぐる還流する仕組みを作っている
・SNSコミュニティの会社
・「共助の仕組み」で成り立つファンコミュニティ

もともと、山では、すれ違う人に「こんにちは」と声を掛け合う。何かあった時に、自分が通過したことを周知させる意味もあるが、登山者同士で声を掛け合う文化がある。さらに、山に登る人は、次に登る人のために、山や自然を守ろうとします。

次に登る人の役に立つために、崩落した石を持って、登ってもらい、浸食された箇所の補修などに使うという取り組みを行う山もあるそうです。

登山自体が共助のために、何かしたいと思う行為と言えます。

YAMAPのマネタイズの軸

・EC(YAMAPストア)
・有料会員(YAMAPプレミアム)
・保険販売代理店(YAMAPアウトドア保険)
・他者タイアップ

ヤマップが行う社会問題の解決

「道迷い」による山岳遭難をゼロにする!

年間3,000人が遭難し、死者・行方不明者がそのうち1割程度。
遭難の理由として一番多いのが、なんと「道迷い」! 遭難者の3割強が、「道迷い」だそうです。ヤマップさんは、この「道迷い」を本気でゼロにしたいという使命を持っています。

低山であっても、何度も登山に行った人には、道に迷いそうになった経験はあるでしょう。私も日の落ちる時間近くに、どこを歩いているかわからなくなったことがあります。遭難したくありませんが、遭難した時の備えとして、山岳保険の申し込みができるのが、本当にありがたいです。ちょうど、講義の日、山岳保険についてのニュースリリースが出ていました。素晴らしい。

「道迷い」による遭難を減らす取り組みとして、ヤマップさんは、2021年から、「日本一道迷いしやすい登山道」を公表しています。登山者が実際に行きつ戻りつしたデータをヒートマップのようにして、実際に登山者たちが、道に迷った状況を可視化します。

この不名誉な結果を公表することで、テレビ番組でも取り上げられることで、自治体も優先的に対応ができます。また、地元の山岳会も、ヤマップのデータを見ているので、こうした情報により、対策が早くなります。

そして、自治体などの取り組みで、わかりやすい標識ができた後に、登山者のデータを確認すると「道迷い」がなくなったことを確認できたそうです。

メディアが情報をどう使うかを意識しながら、利用者の情報をどう加工して、共有するか? を考えているそうです。

登山者の利用登録を促す仕組み

登録された情報は、他の登山者によって、「参考になりましたか?(はい/いいえ)」の評価がつけられます。「はい」の評価が多ければ、次も役立つ情報を提供しようというモチベーションになります。

そして、情報の正確性、最新性を担保するため、システム側では、
・「いいえ」が多い情報
・一定期間「はい」がつかないもの
は、自動的に情報が落ちるような仕組みを採用しているそうです。

山の今の様子を伝える

投稿者情報をテーマごとにまとめて表示する
「リアルタイム紅葉モニター」「リアルタイムさくらモニター」があります。紅葉も、桜も、ちょうどいい見時は短い。こうして、登山者から集めた情報を特定のテーマとして、まとめることで、一番いいい時期に山に向かうことができます。

また「ライチョウモニター」もあるそうです。これは、紅葉や桜のように、ライチョウを見るためのものではありません。ライチョウの生息調査に使われます。

登山者、アプリの利用者に、そのつもりがなくても、情報を整理し、目的に応じて、可視化することで、情報は社会性を持ちます。

ユーザーミーティング(安全登山講習会)

ユーザーを巻き込む、ユーザーミーティングの取り組みがあります。私も「富士登山」というテーマの回に参加したことがあります。

参加者の熱量を高める仕組み

・クイズを出題(ミーティングに集中してもらう、安全を考えるきっかけになる、人に話したくなる etc)クイズ12分、12、13問
・グループワークで議論(知らなかった新しい山の気づきを得る、人を山に誘うヒントを得る)

結果、ユーザーミーティングの後に、アプリを何人に勧めたかアンケートしたところ、アンケート回答者は、3人以上に勧める結果につながっているそうです。

感想

質疑応答まで視聴できませんでしたが、今回、参加できてよかったです。低山ばかり、月一回、小学生の息子と登る程度ではありますが、登山者のコミュニティに参加していることが嬉しくなる回でした。「集めた情報を整理して、可視化する」「利用者が役立っていることを自覚できる」、多くの仕掛けがありましたね。「道迷い」による山岳遭難をゼロにする、という目標がはっきりしていることが、利用者だけでなく、運営側も判断・行動しやすくしているでしょう。目標がはっきりしているので、目標が達成に近づけば、運営の皆さんの自信につながるでしょう。利用者、運営を含んだ、コミュニティが、楽しみながら、フィードバックを得つつ、社会問題を解決していくのは、気持ちがいいですね。次の山でも、YAMAP使います。

おつかれ山でした!

※イベント申し込み時に事前にした質問

(質問)
・YAMAPと同じ時期に別のサービスを並行して使い出したが、いつの間にかYAMAPだけになった。他の競合サービスとの違い(強み)は?

(要望)
・登山地図の見方がよくわからず、経路を入力する登山計画登録が難しい。いわゆるコース名や、中継場所のわかりやすい場所の名前など、入力をサポート機能が欲しい。
・メニューに山岳保険を追加してほしい →ちょうど当日のニュースリリースで取扱いが開始された。素晴らしい!


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