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ポケットマルシェの取り組みが、都市と地方をかきまぜる #マープス

無料のマーケティングオンライン講座「マープス」、今回はゲスト回です。ポケットマルシェを運営する「株式会社 雨風太陽」のC2Cコマース部門長、権藤裕樹さんがゲストです。「ファーストフォロワーのつくりかた」シリーズの第2回でした。

ポケットマルシェは、生産者(農家、漁師)から直接食材を買えるオンライン産直市場です。

コロナ禍前に「カンブリア宮殿」に取り上げられたこと、コロナ禍の巣ごもり需要があったこと、幸運なタイミングもありましたが、地方の課題と都市の課題を一緒に解決するため、「都市と地方をかきまぜる」というミッションを持つポケットマルシェさん自身の紹介と取り組みの紹介でした。

複数の関係者が、真にWin-Winの関係を目指す話は、個人的に大好物です。

ポケットマルシェの成り立ち

2011.3.11 に、東日本大震災が起きました。

震災の後、ボランティアに来た都市の人々が地方の人と出会います。地方の人からは「牡蠣売れても、たった数十円じゃ生活が楽にならない」と言う話を聞きます。

都市の人は、「では300円で売るにはどうしたらいい?」みたいなアイデアを考える場面があちこちに起きたそうです。都会の人は、ボランティアで関係ができた後、田舎に行くたびにそういう取り組みを考えることが楽しくなってきたそうです。

そういう取り組みを考える中、生産者の紹介し、生産者が収穫したものを届ける「食べる通信」をポケットマルシェの創業者 高橋博之さんが NPO法人として始めました。

食べる通信とは - 日本食べる通信リーグ (taberu.me)

最新号 - 日本食べる通信リーグ (taberu.me)

「食べる通信」は、生産者さんを十数ページで取り上げ、生産者が収穫した食材がセットで届きます。最初東北ではじまった取り組みは、全国に広がります。

同じ取り組みをしたい人に、のれん分けのようにして「食べる通信」と(受発注の)システムを共有します。

ポケットマルシェの仕組み

ポケマルは全国の農家さん・漁師さんから直接やりとりしながら
食材を買えるオンラインマルシェです。

そう、ポケットマルシェは、普通のECなら、鬱陶しいはずの販売側とのやりとりが発生します。

しかし、ポケットマルシェの利用者へのアンケートでは、1割くらいの方が「生産者と仲良くしてる」という回答をしています。さらに、一部の利用者に至っては、生産者に贈り物を送ったことまであるそうです。

もちろん、生産者とのコミュニケーションの前に、届いた食材が「おいしい」が大前提です。おいしくない食材が届いた場合、さすがに「ごめんなさい」となるでしょう。しかし、その大前提を踏まえた上で、生産者とのつながりを仕組みとして作っています。

生産者にも、食材を送る際に、メッセージを送ることをシステム的に強制しているため、最低、直接一回は、生産者からのメッセージが送られます。

こうした仕組みは、最初からできていたものではありません。

いきなり「このアプリを使ってください」から、サービスを始めるとうまくいかなかったでしょう。先に「食べる通信」という生産者との結びつきがあり、生産者の信頼貯金があったからこそ、現在の生産者に負担を強いてまで、コミュニケーションを強いるシステムも受け入れられています。

ポケットマルシェがうまくいくために、生産者が引き受けている負担

もちろん「クレーム対応をしたくない」という生産者さんはいらっしゃるそうです。

しかし、これまでの生産者は、そうした対応をJA、漁協などに任せていた結果、下請けのような立場になってしまっていたわけです。ポケットマルシェは生産者さんに、「問い合わせ対応もやりましょう」と伝えます。クレームだけでなく、お礼や感想も伝わるわけですから、負担だけでもありません。

そして、そうした販売者としての対応が身につけば、ポケットマルシェ以外のプラットフォームでも、きっと売れるようになります。

伝えるタイミングはまちまちだそうですが、ポケットマルシェから、契約を結ぶタイミングや、都度行う勉強会(写真の撮り方、うまくいっている生産者自身が語る事例)を通じて、クレーム対応、問い合わせ対応の必要性を伝えているそうです。

消費者が生産者を推す世界

他人にポケットマルシェを薦めるような推奨行動まで利用者は多くない(1割?)そうですが、それでも職場や近所へのおすそ分けが発生しているそう。きっとおすそ分けの感想も、生産者に届くでしょう。

感想やアドバイスを生産者に届ける、推し活のような消費者行動も多いそうです。

ポケットマルシェには、レビューはありますが、生産者の評価(レーティング)は、表に出していないそうです。地域の生産者を守るために、一部の生産者、一部の食材に偏ることを防ぐためでしょう。

ただ、ポケットマルシェの内部では、そうした評価情報も持っていて、生産者側の不備などによる一部のクレーム対応(個数が1つ足りないなど、言った言わないのようなトラブルもあるため)や、適切な指導に活用されているそうです。

まとめ・感想

今回の話、業態、タイミング、理念、立ち上げからサービス化までの段階、生産者の課題の醸成まで、すべてが複合的な原因がつながった、ポケットマルシェさんだから、うまくいったのでは? と思うことが多かったので、もっと深く聞いてみたいポイントはいくつもありましたが、それでも、地道に施策を重ねてきた話自体は、非常に勇気づけられて、参考になる話でした。

普段、調理もしますし、旬のものを食べたい質なので、視聴しながら、ポケットマルシェに「新規(会員)登録」しました。利用しながら、今日の話を思い出したいと思います。

※ポケットマルシェに関する図書

次回のお知らせ

来週火曜(5/28)は、「ファーストフォロワーのつくりかた」シリーズの第3回(最終回)、YAMAPさんの回です。登山の都度、YAMAPさんで登山計画を登録している身としては、聞かざるを得ない回です(ゲスト回は基本、アーカイブ視聴がないので、何としても聞きたいところ)


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