野風

野の風に吹かれ 腑抜けのように😊

野風

野の風に吹かれ 腑抜けのように😊

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美しい命たち

海は凪いでいた。 僕たちは、砂浜の裏手にある雑木林のあたりに トンビがたくさんいる事を知っていた。 浜に降りる階段に腰をおろすと、すでに数羽が頭上を旋回している。 ポップコーンを手提げ袋から取り出すと、 数を増したトンビ達は わずかな海風を巧みに受け、 ゆったりと近づいてくる。 目と目が合う、近さだ…。 ポップコーンを勢いよく空に放り上げる。 翼を大きく広げ ゆるやかに舞うその姿は命にあふれ、 力強く神々しい魂たちの美しさに、僕は 口を開け見とれる。 突然その口に、ポッ

    • 追憶 さざ波

      旅の途中などで、ふとした情景に目を奪われ、しばし立ち尽くす事がある。 立ち尽くしながら、もしかして心筋梗塞か?と思うほど胸が絞めつけられることもある。 心筋梗塞は経験した事がないのだが、何となく想像で…。 この感覚は既視感とはまた別物らしく、たしかに自分が過去に遭遇した事のある何かなのだが、それをはっきりと思い出すことは、あまりない。 そして、その感覚をもたらす情景とは ときに風景であり、場面であり、人の営みであったりもする。 空は曇り、今にも雨が落ちてきそうだった。 そ

      • 木曽は山の中

        木曽の山の中に3日ほどいた。 と、書くと… どうかすると 山中を3日ほど彷徨っていたのではないかとも思われそうだが若い頃ならいざ知らず、最近はわりと世間並みの旅をするようになってきたみたいだ。 「旅行」と言わず、いまだに「旅」と言いたがるところが、ささやかな抵抗なのだろうか(笑) 何に対して抵抗しているのかは、よくわからんけど…^^; 初日は妻籠に行き、近くの山ん中にあるホテルに宿泊。 野宿でもキャンプでも車中泊でもなく、ホテル泊✨なのです😭 ロックグラス、カランカラン♫

        • ほうれん草のお願い

          買い物に行って、どうかするとやたらに買い込んでしまう事がある。 たとえば道の駅などへ行くと、安さと新鮮さに目がくらみ無頓着に買う。 結果、冷蔵庫の野菜室は溢れんばかり。 そして私は野菜たちの奴隷と化し「何を食べたいか」より「何を食べなければならないか」になってしまう。 たとえば、野菜室の底の方で ぐったりしたほうれん草などを発見してしまうと、もういけない。 小松菜が食いたかったとしても、ほうれん草を食わなければ… ( 一一)となる。 言い換えれば… というか、安っぽく人生論

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        美しい命たち

          note からの お知らせで。

          バスに乗っていた。 バスなど滅多に乗らないのだが、夢の中での出来事なので 仕方がない。 他人の夢の話しなど、気の抜けたビールと同じで実に味気なく うんざりするかもしれないが、とりあえず書く事が無かったので許してほしい。 「書く事が無いなら書かねばよいではないか(-"-;)」との ご指摘もあろうが、実は先刻 note編集部よりお知らせが届き、今月中に何か書かないと連続投稿の記録が26ヶ月で止まってしまいますよ~( 」´0`)」とのこと…。 ワタクシ 根が素直なので「事は急を要

          note からの お知らせで。

          影絵の森美術館 

          某日…。 空焚き中のフライパンみたいな甲府盆地から何とか逃れようと、昇仙峡に向かう。  🌞 ~~~~~(m--)m 水煙で辺りは霞み、腹の底まで響く轟音を立て落水する仙娥滝は、先ほどまでちらほらと聞こえていた異国の言葉をすべてかき消していた。 涼しい、静かだ、天国じゃん♪ と… もはや一歩も動けず… (;´▽`A``      だがしかし、腹は減る!(゜゜) 降りてきた階段を野兎のように軽快に駆け登り、軽快なのは気分だけだったのか、なぜか (*´Д`)ハァハァ 言い

          影絵の森美術館 

          雨降る山へ

          それは今朝… 録画しておいた「しかのこのこのここしたんたん」という、 舌が絡まりそうなタイトルのアニメを「おばあちゃんのぽたぽた焼き」を時々 `;:゙;`;・(゚ε゚ )ブッ!!と噴き飛ばし、あごがはずれるほど笑いながら見ていた時の事だった。 なぜかトツゼン、雨降る山へ行きたくなったのだ。 冬の雨や土砂降りは嫌だが、時季的に今は 濡れ具合がちょうどよろしい♪😊 それに、登山ではなく車でピュッと行って散策する程度なので、もしも参ったとなったら、すぐ帰れるし…(^^) ベラン

          雨降る山へ

          時の流れ

          友が営む小さな酒場へ久しぶりに行ってみると、 彼は、ひとりで黙々とグラスを磨いていた。 以前いた従業員の女の子も 今はもういなかった。 「老けたな…」と言うと、にやりとしながら「お前もな」と返ってくる。 時間も早かったからか客は俺ひとり… 貸し切りだ。 狭い店内には相も変わらぬ音楽が流れ、そのむかし、酔った俺が貼り付けたシールがまだ残っているカウンターは、 少し色褪せて見えた。 抗えぬ時の流れに、 形ある物みな 物も人も色褪せていく。 せめて気持ちは、心は 色褪せてはなら

          時の流れ

          消えてしまったあなたへ

          文字だけとはいえ S. Ǹ からの3年間のお付き合いともなると、 気心も知れ お人柄もわかってきます。 あなたがいなくなって、1か月がたちました。 おそらく、やむなきに至りの決断だったのではないかと思うのですが…。 大好きな青空と白い雲を眺めながら、息災に過ごされていることを、 心から願っています。 ではまたいつか、ここで…。

          消えてしまったあなたへ

          わけありのネギ

          スーパーに「わけあり」と書かれたネギが置いてあった。 いったいどんなわけがあったのかと思いつつ値段を見ると、あきらかに他のわけなしネギよりも安い。 欲に眩んだ目で見るからか、見た限りでは色つやも良く、むしろ他のネギよりも新鮮でウマそうに見えた。 袋に入ったネギを一本取り出しまな板に載せる。まな板のネギ?(;゚;ж;゚;) よく見ると、たしかに元気いっぱいなのだが、少々曲がっている。 そこでまたあの「わけあり…」を思い出してしまい、しばし考え込んだ。 ヒマなんですかね、まっ

          わけありのネギ

          肩書きと能書き

          滅多にないが、ドラマを見ていて「あいつ、ぶん殴りてぇーー!」と 思ったのは、久しぶりの事だ。 役者の演技が素晴らしかったんですね、きっと…^^; ホームレスの父と息子がいた。 息子はあちらこちらの飲食店を廻り、施しを受けた食べ物を持って父の元へと帰る。 訳の分からんプライドを持つ健常な父は、ただそれを食うだけ。 金銭の施しは一切受けぬというそれなりの哲学を持ち、高い教養がそうさせるのか、歯が浮くようなふわふわとした理想や能書きを偉そうに息子に垂れながら、ただそれを食うだけ。

          肩書きと能書き

          ジョンの夢

          今まで、思い出した事もなかったジョンの夢を見た。 ジョンは、ぼくが四歳か五歳の頃に家で飼っていた 耳の後ろあたりがふさふさとした黒っぽい犬で、一緒に遊んだ記憶は残っていない。 犬が笑うというと変な言い方だが、ジョンは笑う事も はしゃぐ事もなく、 とにかくもの静かで穏やかな犬だったという記憶だけが残っている。 そうして不思議な事に、そのジョンと小さなぼくが並んでいる光景が目に浮かぶのだが、そのような写真に覚えはない。 もしかしたら小さい頃にはその写真があって、それが映像記憶と

          ジョンの夢

          炊飯器を持って出て行った彼女

          けっこう年下の友人と飲んでいた時のこと… わたし、世にも気の毒なお話しを聞いてしまいまして…(* ̄▽ ̄) 「彼女がね、出て行っちゃったんですよ」 「あれまぁ、そりゃ気の毒に… ( ( ̄m ̄〃)ぷぷっ! ) 」 「でね、炊飯器を持って行っちゃったんですよ」 「 なんでまた炊飯器を… 冷蔵庫とか、ほかには?」 「炊飯器だけです」 「ほぅほぅ♪ んじゃ、飯盒で飯炊きかい? 優雅だねぇ~😊」 「レンチンのメシ食ってます」 「そりゃまた、楽なような大変のような…。 よし、俺の炊

          炊飯器を持って出て行った彼女

          諏訪湖

          エミール・ガレの作品を鑑賞に…♪と言うと聞こえがいいんだけど、実はガレはついでで、目的は湖畔の風と山菜の天ぷらが美味だという蕎麦屋だった。 湖畔通り沿いにある無料の駐車場が空いていなかったので、北澤美術館の来客用駐車場に車を停め、それでは申し訳ないという思いからフラッと入った館内で、今度は車ではなく息を止めてしまった。 入ってすぐにドーンとある「ひとよ茸ランプ」は思ったよりも大きく、 その神秘的な存在感に魅せられました!!( ̄  ̄;) やはり、本物はいいなぁ~😭と、涙目

          ドップラー効果の美女

          長い連休の始まりの日、そうだ!毎日山へ登ろう!と、決心したまま すでに何日かが過ぎ、昨日ようやくその気になって武田信玄公 生誕の地と言われる要害山へ…。 ちなみに今日は雨降ってるんで、ごろんごろんしてます😊 登り始めてしばらくは、とにかくキツい。 例によって (*´Д`)ハァハァ しながら Wの文字を横倒しにしたような登山道を登っていると、上の方から「ドドドドドドドドドぉーー!」っと誰かがエラい勢いで降りてくる気配がする。 クマにでも追われているのかと思ったが悲鳴を上げてい

          ドップラー効果の美女

          幽霊

          今年も桜が散りました。 僕の周りは僕がそう感じるだけなのか、どうにも桜の花びらを追う人が多く、母方の親族、残る最後のひとりも今月、散る花を追い旅立ちました。 血縁は 叔母甥よりも更に薄く、ほとんど会う事もなかったのですが、この「通称おばちゃん」には身寄りがまるでないので、数年前に身体を壊した時以来、僕が看取りまでを引き受ける事となっていました。 父方の親族は遠方でもあり交流は完全に途絶えているので、これで親族と呼べる人は誰もいなくなり、僕の任務も完了した事になります。 葬儀