青い空と凧

衝撃の出来事から1週間が経過し、組織の病理検査を聞く日を迎えました。先週の雨の天候とは違い、昇る朝日を見ることができました。
朝日の光を無心に浴びて目を閉じると、体内にエネルギーが蓄えられる感覚を感じます。
これまで迎えた週末とは異なる感覚でした。

いつもの週末のように、パンと目玉焼き、コーヒーで朝食をいただく、こんな普通の日常が今更ながら貴重であったと心底思いました。クリニックにはゆっくりと心を整えてから向かいました。
クリニックに着くと待合室は混んでいましたが、意外と早く診察室に呼ばれました。医師の言うことを一言も漏らさないようにスマホの録音機能をセットし、ノートとボールペンを持って家内と診察室に入りました。

予期していた通り「大腸がん」との宣告、これは覚悟していました。細胞の悪性度合いの指標となる「分化度」は高分化ないし中分化であり、まだ顔つきとしては良い方とのこと。
父の胃がんの際は顔つきが悪いと言われていたので、少し安堵しました。この「分化度」は私の中では重大なポイントだったので、ひとつハードルをクリアした気持ちでした。

ステージはどうなっているか。本で得た知識から粘膜下層で留まっているか、固有筋層にまで達しているかを質問したところ、MRIかCTを受けないと分からないとのこと。
どのみち大きな病院に行かなければならず、医師はどの病院でも紹介状を書きますよと言ってくれました。そう言われても、どの病院に行ったら良いかさっぱり分かりません。
自宅から近い方が何かと便利と考え、車で10分以内で到着する総合病院に紹介状を書いてもらいました。

それから気晴らしにスーパーで買い物した後、いい天気でもあるので公園を散策しようとしました。ところが目当ての公園には駐車場がなかったので、近くの河川敷に行くことにしました。
河川敷近くに車を止めて遊歩道に向かいました。1月末なので当然寒いのですが、真っ青な青空や煌めく水面を見て、今を生きていることに家内とともに感謝をしました。
そして青い空の中、高く飛んでいた凧を見て思わず写真を撮りました。

河川敷をゆっくり歩いて話していると自然に涙が溢れてしまい、家内に気づかれないように我慢しようとしました。しかし、涙が頬を伝って流れてしまい、周囲がぼんやりと見えて不思議な感情に。

この感情は、これまで生きてきた中でも初めて味わったものでした。

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