映画『遠いところ』大人や社会って無責任だ。
映画『遠いところ』を観てきました。
公開前から目をつけていたわけではなかったのですが、他作品を鑑賞した際に流れた予告に心を持って行かれました。
沖縄を舞台に、未成年の性交渉と妊娠、DV、ネグレクト、シングルマザーの経済問題、未成年の飲酒喫煙、夜職など様々な社会問題を写した作品でした。
私は、この作品を通して大人は無責任だと感じました。
主人公のアオイはキャバクラで働く17才の母親。
子どもの父親で夫であるマサヤと子どもの3人暮らしでアパートの一室に住む。
マサヤはろくに仕事も家事もせず家は荒れている。
そんな中、アオイは未成年でキャバクラで働いていることがバレて警察に捕まります。
そこで女性警察官の質問攻めが始まりました。
「17才でキャバクラ?」
「学校は?行ってないの?」
「子どものこと大切じゃないの?」
「子どものこと考えてる?」
「ずっとこのままでいくつもり?」
アオイは「お前に何がわかるんだよ!」と叫びます。
私もこの警察官の質問攻めには怒りが湧いてきて悔しくて悔しくて泣いてしまいました。
未成年で酒を飲んでキャバクラで働いていること
子どもとの時間を十分に作れないこと
高校に行っていないこと
全部普通じゃなくて良くないことだってアオイもわかっているはずです。
そして警察官だって若くして妊娠出産し、生活のために学校に行かずに働くしかなかったのだろうと予測できるはず。
それでもアオイを責め立てる。
児童相談所の職員も実の父親(ほぼ絶縁状態)も祖母も「ちゃんと働け」「子どもに責任を持て」
と言う。
社会に出て子育てをして、年齢の割に大人っぽく見えるアオイを見ていると忘れてしまいがちですが、彼女は17才の子どもです。
支援を求める知識も余裕もなく目の前の生活を守ることで精一杯の17才に、なぜ手を差し伸べられないのか。
そもそも15才で妊娠することになった背景を考えたのか。そこに警察、大人の責任はなかったのか。
「お前に何がわかるんだよ」
「何かしてくれんのかよ」
本当にそう思った。
アオイをただの反抗的な若者として扱った警察官に腹が立ってしょうがなかった。
アオイは一般的な17才の生き方はできなかったし、子どもに十分な教育も与えられなかった。
夫のマサヤは暴力を振るい、金を盗むクズ男だった。
でも2人は子どもに対して愛情は持っていたと私は感じました。
軽々しく中絶を決断したり、生まれた赤ちゃんを放置したりする人たちよりは遥かに大きな覚悟と責任を持って生きていたと思います。
私は大学4年22歳になった今やっと社会に出ようとしていて、大人と話すと「若いね!これからだね!」などと声をかけられます。
そんな中17才で子育てしながら夜の仕事をして身体的にも精神的にも追い詰められている人がいることを考えると苦しくなりました。
環境が違えばこの子たちはどんな人生を送っただろうか。
正しい教育と福祉について考えさせられた作品でした。
そして最後に、俳優さんたち初めて見る方達ばかりでしたがめっちゃくちゃいいです。
演出もいいです。全編沖縄ロケ、主要キャストは1ヶ月前から沖縄に住み役作り、なだけあってリアル度半端ないです。
ただ観てるだけでだいぶしんどいのでお気をつけください。。
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