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さよならは仮のことば

最近なぜか詩に惹かれる。

上白石萌音さんのエッセイ「いろいろ」に、谷川俊太郎さんの「朝のリレー」に触れられた文章があって、その詩の素晴らしさを知ってから一気にハマってしまった。

「朝のリレー」はよく教科書に載っているのだろうか。私は今まで1回も読んだことがなくて、これを機に初めて読ませてもらった。

ああそういう風に表現するのか、、と、感動して、地球の裏側で眠る子どもたちに思いを馳せた。もっと色々な解釈ができるのかもしれないけど、私は素直に谷川俊太郎さんの表現力に感動した。


それから「さよならは仮のことば」という谷川さんの詩集を読んだ。正直難しいものもいっぱいあったけど、初めて詩集を1冊読み切った。自分の頭や身体からは一切湧き出てこないであろう言葉たちが多すぎて、感動以上に同じ人間か疑いたくなった。

なんだろう、表現力が素晴らしいのはもちろんだと思うけど、日常の中からどれだけ多くのことを感受するかっていう感受性が、人一倍なんだろうな。私が谷川さんと同じ1日を過ごしたとしても、その1日で感じる思いとか気持ちとか感動とかが谷川さんの方が豊かなんだと思う。


そうやって、私は詩が好きになって、友人や家族に詩の素晴らしさを伝えたいと思うけれど、私が知っている僅かな量の拙い言葉では表すことができない。かなりもどかしい。だから、もう詩を読んでもらうしかない気がするのだ。きっと受け取る人によって、またはその人の状態によって、感動する詩も受け取り方も変わってくるだろうから。そしてそれが詩の素晴らしい所なのかもしれないなって、今思った。

あ〜この詩すきや〜ってなる時、大体その詩は私が言葉にできない思いを表してくれてる。そうやねん、そう言いたかったんよって思う。その繰り返しなのかもしれない。私の感動ポイントはこれから変わるかもしれないし、まったく変わらないかもしれない。だから詩は、これからもずっと傍に置いていたい。

詩を書くこと、ゼロからイチを生み出すことってすごくすごく難しいと思うけど、それができる人は、ゼロからイチへのステップになる感受性とそれを補うほどの言葉のストックがあるということかな。私もそうやって言葉で人を感動させられる人になりたいけど、、、すごく難しい笑

詩については無知だけど、詩について教えてくださる人、話してくださる人がいたら喜んで行きたい。もっともっと色んな詩を読んでみたい。

ぜひ、自分の好きな詩を見つけてみてください。

有名どころですが、大好きな詩を載せて終わります。
こんな拙い文章を最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

この気持ちはなんだろう
目に見えないエネルギーの流れが
大地からあしのうらを伝わって
ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ
声にならないさけびとなってこみあげる
この気持ちはなんだろう
枝の先にふくらんだ新芽が心をつつく
よろこびだ しかしかなしみでもある
いらだちだ しかもやすらぎがある
あこがれだ そしていかりがかくれている
心のダムにせきとめられ
よどみ渦巻きせめぎあい
いまあふれようとする
この気持ちはなんだろう
あの空のあの青に手をひたしたい
まだ会ったことのないすべての人と
会ってみたい話してみたい
あしたとあさってが一度にくるといい
ぼくはもどかしい
地平線のかなたへと歩きつづけたい
そのくせこの草の上でじっとしていたい
大声でだれかを呼びたい
そのくせひとりで黙っていたい
この気持ちはなんだろう

「春に」谷川俊太郎

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