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今週のニュージーランドの新聞より - 不登校生徒の多さに悩むニュージーランド

週も週末は、週一のスーパーへの後、
行きつけのカフェで夫と、まったりコーヒータイム。

週末版の厚い新聞は、誰かが読んでいたので
残りの今週の新聞の山の中から、適当に2つ取って
一つは夫に。
私はもう一つを読む。

一面は「不登校」の話。
ニュージーランドでは「不登校」が多いらしい。
多いというのは、多分昔との比較でも、
他の国との比較でも、そうらしい。

去年の3学期(全部で4学期ある)には
学校に、90%以上の日数出席した生徒は46%。
コロナ前の2019年には63%。

70%以下の日数しか登校しなかった生徒は12.6%。
以前より7-8%高いらしい。

上の記事によると
他の国に比べても、ニュージーランドの不登校率は高い。
例えば、イギリス 75.1%、アメリカ 70.3%、オーストラリア 49.9%。


ここでは「truancy 不登校」は
学校に出席しない生徒を、全てひっくるめている。

つまり

  • 病欠

  • 学校に行くのが不安で行けない(いじめとか、不安症とか)

  • 学校の授業がつまらなくて、サボる

  • 親が旅行に連れて行く

  • お金が無いから、子供も仕事に行く

などなど

学校に行かない理由には、いろいろある。

全てを一緒くたに対応する訳にはいかない。

ニュージーランド政府は、親の都合で子供を連れ出す場合には
(飛行機代が安いから、学期の間の休みを避けて旅行に行くなど)
罰金を親に課する事を始めるらしい。

教師の方は、旅行とかで学生が休みを取るのは腹立たしいかも知れないが
何十年後には、家族と過ごした時間の方が意味がある使い方であった、
という事も多いと思う。
授業を受けられなかった分は、生徒自体が苦労するかも知れないので
「それを親も生徒も覚悟で休むならいいですよ」という事でいいのでは無いか、と個人的には思う。

病欠の時には、娘のケースはGoogleクラスルームで授業の進行状況を見ることができて、ある程度助けになった。
医師としては、感染症の子供に無理して学校に行き、更に感染を広めて欲しくないので、そういう家から学校に参加できるシステムがあると役に立つ。

不安症の子供や発達障害で、他の子供と同じ授業を受ける事が大変な子供は
勿論、罰則を課したら問題解決するわけでは無い。

お金が無くて、学校に来ずに働いている子供たちも同じだ。

ニュージーランド政府は、2030年までに、90%以上の日数学校に登校する生徒を80%にする目標を掲げている。
現在の状況からすると、非常に大きな目標である。

個人的には、
ニュージーランド政府が
「不登校」は、何かの理由によって現れる現象である
という事に、もっと注意を払い、その理由となっている事を改善しないと
とても80%の生徒が登校するように出来る訳がない、と思う。

  • 「貧困」の問題

  • 「メンタルヘルス」の問題

  • 「親世代の理解や教育のレベル」の問題

  • 「教師の待遇」の問題

こういう、根本にある問題にアプローチしない限り
「不登校」の問題は解決しないだろう。

また、視点を変えて、

  • 何のために、私達大人は生徒が学校に行かせたいのか

  • 「生徒を学校に行かせる事」だけが大切なのか。

  • 他の選択肢を生徒のために用意して、人間として必要な学びを提供できないか

などを模索する事も大切なのではないかと、思う。

(見た目の数字を良くするためだけなら、
ニュージーランド政府が、以前医療の場で行った様な操作も可能だ。

それは、セカンダリーケア(病院の専門医)が、プライマリーケア(街の総合診療のかかりつけ医)からの紹介状を受け付ける閾値を上げて
セカンダリーケアの待ち時間を、統計上は下げる、
という様な事。

例えば、登校率がある程度以下の生徒は、その学校は退学させて
ホームスクリングの手続きをさせるとか。
そうする事で、その学校の登校率は上がる。)


何でも、罰則で手っ取り早く解決しよう、という方法は
長期的にはうまく行かない事は、歴史から見ても明らかだ。

ニュージーランド政府には、もう少し本質的なところに目を向けてほしい。
(ニュージーランドだけではないでしょうが。笑)

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