演技のドツボ


気に入られたい上司との会話で言う明るめのトーンの「そうですね!」
上司の愚痴に対して同意の「そうですねぇ」
上司に怒られて詰められてるときの「そうですね……」
ああこいつクソやわもうテキトーに相槌打っとこの「そーですね」

同じ「そうですね」でも相手との関係、自分の感情で声が変わる。それは普段全く意識していないことで、わざわざ「」の前の感情は頭によぎらない。
(あ!この上司は気に入られとけば得だぞ!!でも何喋ってんのか分かんないや、あ、同意を求められた!とりま同意しとこ!)『そうですね!』

()のことを人間はいつでも無意識に考えていて、なんなら自分でも説明できないくらい腹の奥で考えていることが多い。

さて、台本のセリフの中でこれを実現しようもんならえらいことです。お互いの関係性や自分がどんな気質の人間なのか、それを腹の奥にしまい込んで臨まなければいけない。セリフ覚えたてなんかじゃできるわけない。体に刷り込ませないと、ぼかぁできません。

だから普段から、自分が喋るときに体のどこが緊張してるのかとかどんな声を出しているか、というのを意識して生活している。まあ、生きてれば予測不能なことがたぁくさんありますのでいつでもどこでもそんな客観視ができるわけではないけども。そういう時は過去を思い返して自分がどんな体勢でどんな顔でどんな声を出していたかできる限り思い出して再現してみる。

上記の「そうですね」もいざそういうつもりで喋ってみると、表情が違ったり体のどこに力が入っているかで変わってくるんですね。難しいですね。

しかもそれが舞台になると、大きい劇場とかだったりすると大きく見せないとお客さんに何やってるか分かんないからちょっと無理して大きく動いてでも動き過ぎると嘘っぽくなって……の無限ループに陥ります。悟りの世界です。


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