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再開のプディング


最近、歯のクリーニングをしに行った際に小さい虫歯が見つかり治療の為に通っている。小さい頃から歯医者は何故か苦手で途中で通うのを辞めたりしていてその度に歯科衛生士のお姉さんにちゃんと通わないとダメだよ、と言われて、今回も頑張って通ってね、と言われ休みの日に何とか頑張って通っている。


そんな私は歯医者が終わると必ずご褒美に自分に何かを買う。アイスの時もあればプロテインの時もあるしコンビニでおやつを買ったり、ホットスナックを買ったりもする。歯を綺麗にしてもらった瞬間に甘いものを食べるのは何だか悪いことをしている気持ちにもなるし背徳感がある。


今日はたまたま歯医者の後に化粧品を買いにいく用事があって帰りにフラッとケーキ屋さんに寄った。

そういや最近、ここ行ってないな、と思っただけで特別食べたいものがあったわけじゃなかったけど今日の歯医者は型を取ったり削ったり麻酔もしたし色々頑張ったからケーキもいいな、と思って買うことにした。

店内はヒンヤリとしててショーケースに並ぶケーキも綺麗でどれにしよう、と悩んでプリンが乗ったケーキが目に止まった。

元々焼きプリンが大好きというのもあるけれど、私の上司はプリンに目がなく、たまにご飯に行く時はそこの店にプリンがあれば頼んで一緒に食べては、あっちの店の方が美味しいな…とかここは固めで美味しい!などそんなプリン評論をやってるうちに私自身がすっかりプリンにハマってしまったのだ。


「プディングをひとつお願いします。」と店員さんに声をかけて驚いた。

トレーナー時代に私が担当していたお客様だった。相手は気付いていないし、私もだいぶ容姿も変わったしどうしよう声をかけようかな、と悩んでいた。でもこれも何かのご縁なんだろうと思ってレジで会計をしてる時に思い切って声をかけ、自分の名前を名乗ったら店員さんの顔がパッと明るくなり「野田先生じゃないですか!嘘!嬉しい!」とカウンターから出てきて喜んでくれた。

「野田先生のレッスンが大好きだったんです。でも突然いなくなってしまったから会えなくなっちゃってどうしているんだろうと思ってました。」と言われた。

私がジムでトレーナーをしていた頃の事は記事に書いたこともあるけれど本当に沢山の顧客がいてお客様に恵まれ幸せな日々を過ごしていた。再開した店員さんはそんな中でも私を先生、師匠、なんて呼んでくれたり私のトレーニングが楽しくて、だから続けられているといつも言ってくれていた。仕事が忙しくてもお店が閉まるギリギリの時間に来てトレーニングもしていた。最初は無口であまり話しかけても反応がなかったけど、女性は美しくなると内側から変わっていくことを私は知っていたからトレーニングをしていたらいつも声をかけていたし店長にも相談して担当させて欲しいと自分から頼んでその方のマンツーマントレーニングをやらせてもらっていた。

笑った顔がとても素敵で可愛らしい方だったし気さくでトレーニングが終わる度に先生ありがとうございました。と笑ってくれていた。


声をかけようか悩んだのはこんな風に私を慕ってくれていた方々が沢山居たのに突然いなくなってしまったことや最後にご挨拶も出来ずに終わってしまったことに後ろめたさを感じていたからだった。

今は全くジムとは無関係の仕事をしている事や、事情がありいなくなってしまったことも三年の時を経て謝罪した。それでも笑ってくれた。

「元気でよかったです、わたし今もジム続けてます。野田さんがいた時のスタッフさん誰もいなくなってしまって凄く寂しいけど頑張ってるんですよ。」と言ってくれた。とても嬉しかったし温かい気持ちになった。


聞いたら今日はたまたまこの店の応援に来ていて普段はもっと遠くの違う店舗で勤務していると聞いて改めて声をかけて謝ることが出来て良かった。変わらず凄く笑顔が素敵な人だった。

自分にとって恩がある人や心残りのある人、突然何かがきっかけでまた再開する人、人との縁というのこうやって出会いと別れを繰り返し、違う形でまた巡り会う事が出来たりこういう奇跡が起きるのにはきっと何かしたらの大きな意味があるのだと感じる。

久しぶりに過去を思い出した、運動に明け暮れた日々、お客様の身体に向き合っていたあの頃、そして今は全然別の仕事をしているけれど今も今でその物事に向き合い思い悩みながらも進んでいること。


帰宅してから冷たいココアを飲んで買ったプディングを食べた。歯医者の後だというのに今日は罪悪感を感じることはなかったけれど元お客様にとっても私は今も先生だ、身も心も引き締める為に今日はウォーキングと筋トレをいつもよりもちょっと頑張ろうと思う。

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