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民俗学漫談

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民俗学についてのお話をまとめています。
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#民俗学

【民俗学漫談】龍

龍の成り立ち龍は、中国の文化では神聖なものとされ、前漢から清に至るまで、皇帝のシンボルでした。 龍はその啼き声によって雷雲や嵐を呼び起こし、また竜巻となって天空に昇り自在に飛翔すると言われております。 姿としては、口辺に長髯をたくわえ、喉下には一尺四方の一枚だけ逆さについた鱗である逆鱗(げきりん)があり、顎下に宝珠を持っていると言われます。 秋になると淵の中に潜み、春には天に昇るとも言われます。 架空の動物ですが、では、いつ頃から中国の文化に登場したのでしょうか。 絵よ

【民俗学漫談】うなっぽ

鰻の特性江戸の三味、と言えば、蕎麦に鮨に天ぷらですが、鰻も江戸っ子の好物でして、今回は、鰻について漫談をいたします。 鰻もまた不思議な生き物でして、鰓も鱗もある立派な魚類なんですが、なんだかぬめぬめしていて鱗(うろこ)はどこだってことですよね。 鰻の鱗なんですが、小さな鱗が皮膚の下に隠れています。 鰻というものは大変古い生き物で、だからこそ栄養があるのですけれども、古い種は鱗が細かくなっていたり、隠れていたりします。 鰻はまた回遊する生き物でして、例えば、ニホンウナギ

【民俗学漫談】ねっこにゃ!

飼い猫の始まり猫が人類と暮らし始めたのはいつ頃からでしょうか。 約9500年前のキプロス島の遺跡から、今の飼われているような猫(イエネコ)の痕跡が見つかっていますから、1万年前くらい、新石器時代には飼われていたようです。 キプロス島には、野生のネコ科の動物はいなかったことから、人類が持ち込んだものとされています。 中国でも五千年以上前の遺跡から猫が人類と暮らしていた痕跡が発見されています。 新石器時代には、狩猟(しゅりょう)とともに、農耕が行われ始めました。 農耕の始ま

【民俗学漫談】ネットストーカー

ストーカーの異常心理しかし、ストーカーと言うものは、どうして不毛な虚しい行為をしてしまうのでしょうか。 ストーカーは自分のことを被害者だと思っています。 自分は悪くない、何も悪いことはしていない、自分は好意的に接していたのに、なぜ連絡をくれないのか、会ってくれないのか、おかしいのは相手の方だ、と思い違いをしているのです。 何なら、自分が正義だし、自分こそが相手を幸せにしてやれるのに、とさえ思い込んでいるのです。 この時点で、すでに我を忘れて、相手のことも考えられなくなって

【民俗学漫談】ファッション

人間が服を着る理由『人間はなぜ服を着るのか』という話は、服飾系の学校に行けば最初に教えられる話かと思います。 まず、寒さや日差しを防ぐため。けが予防も含めて、身を守るためですね。 次に羞恥心から。裸族以外は、これもあります。 さらに、飾り立てるため。これがいわゆるファッションでしょうか。必要というより、欲しいからということになりますか。 これ以外にも、『曖昧にしか感じられない自分のイメージ、像を、身体感覚を通して感じるため』、つまりは、将来、技術が進歩して、全く着てい

【民俗学漫談】貨幣の形態の変化

ふと気づいたら、映画でも漫画でもゲームでも翻案(実写化を含む)や二次創作的なものが多い気がしました。 テクノロジーが進んで、今現在のデジタル技術で作り直したくなるのかもしれませんし、今現在にふさわしてものとして作り直したくなるかもしれません。 それで、実際にヒットするのですが、何かが違う気がしていました。 まあ、デジダルが多いのならば、あえて、フィルムで撮影した方が個性的なものができるかと思われますが。 ツールは思考を変えますし、かえって、デジタルの方が「もどかしさ」みたい

【民俗学漫談】宗教とサブカルチャー

前に、 という漫談をしましたが、今回は、宗教とサブカルチャーについて、漫談をします。 サブカルチャーにおける「聖地巡礼」の現象漫画やアニメに、現実の宗教施設が登場したり、神仏が登場したりします。 虚構の世界に現実の場を登場させるわけです。 物語を構成する素材として用いるのですが、その事によってリアリティが増しますね。 ゴジラが目指すのは、東京タワーであるから見ている側に衝撃を与えるのであって、見たことのない町では、その効果が薄いという事です。 本来、漫画やアニメは

【民俗学漫談】炭素原子

ネットワークについてですネットワークは、何かと何かを結ぶものなんですが、AとBを結ぶ。 これでは、いわゆるホットラインであって、ネットワークとは呼びません。 では、AとBとCを結んでみる。 AとB、BとC、CとA。 これでネットワークになったんでしょうか。 まあ、ネットワークと呼べないことはないんですが、なんか、遠回りしている気がします。 これに、DやEが加わると、結びつける線が無駄に増えて混線しそうです。 そこで、ふつう、ネットワークには、「ハブ」を設けます。

【民俗学漫談】映画

映画と祭映画ができてから、カーニバルの昂奮がなくなりました。 映画で昂奮するわけです。カーニバルよりも安全ですからね。 映画の形式は、演劇の舞台と同じですね。同じ構造を持っています。 演劇は、祭の再現ですから、映画もその構造を継承している以上は、昂奮させるわけですよ。 ただ、だんだん、映画が産業になり、見る側が消費者になってゆくにつれ、祭の昂奮とはかけ離れてゆきます。 映画は、演劇よりも、むしろ、テレビに影響を受け始めます。 ロングショットではなく、クロースアップ

【民俗学漫談】神饌

食事でも場でもいちいち感謝するようになってきたのは、存外としよりということでしょうか。 ご飯を頂く前に手を合わせますね。 今回の漫談は、神饌(しんせん)です。お供え物ですね。 民俗学漫談のポリシーとして、細かいことを言っても仕方がない。 お供え物のバリエーションを伝えるのが目的ではなくて、お供え物とは、何なのか、それは、どういう行いなのか。ということを漫談します。 お供え物と神饌みなさん、お供え物ってしたことありますか? 私は、大人になってからしていませんね。

【民俗学漫談】バレンタインデー

バレンタインデー。ありますよね。 バレンタインデーの内気な女の子でもこの日は告白していい日と言う設定はどうなったんでしょうか 日本では、年間の二割があの日に消費されるらしいですが、もとは、聖ウァレンティヌスの日です。ちなみに、ウァレンティヌスは、実在したか微妙なので、聖人に祀られてはいません。 このウァレンティヌスさん、恋人たちの守護聖人とされていまして、で、バレンタインデー。「聖ウァレンティヌスの日」ということですね。 古代ローマでは、この日に祭りがおこなわれていた

【民俗学漫談】流行神

八百万の神がまします国 日本は八百万(やおよろず)の神がまします国、と言います。「まします」、というのはいらっしゃるということです。 で、八百万と書いて「やおよろず」と読みます。八が「や」、百が「お」、万が「よろず」です。 八百万は値ではなく、数えきれないほど多くの、という意味です。 日本では、大きいというときに八を使いました。 八咫鏡(やたのかがみ)とか、「頭八咫ある烏」とか。 神の数が人間より多い、そういう国です。日本は。 人が立つ大地に神がいる。歩く道にもい

【民俗学漫談】デザイン

デザインとは今回の漫談は、デザインです。 物には、何でもデザインがあります。お椀でもお盆でも。道具でも衣装でも建物でも。 デザインは、まず、機能性。機能を引き出すためのデザインがありますね。続いて、装飾。飾り付けですね。 見やすさ、伝わりやすさばかりではなく、デザインによって、物を使いやすくする。 これは、どう使うべきなのか。 見てわかるものが優れたデザインという事になります。 デザインはラテン語で区画して描く、印をつける。というのが語源ですが、区画して描くという

【民俗学漫談】文字というテクノロジー

思想をわがものに日本美術の本をめくっていて、どうも趣味に合うのは、長谷川等伯から始まって、琳派、蕪村に芦雪や若冲できわまる感じがしました。それ以前の仏教美術や以後の浮世絵も素晴らしいとは思うんですが。 それ以前の物にはなかったものがあるんですよね。 落ち着き? バランス? 色合い? 構図? 大胆さ? 迷いのなさ? なんでしょうか。 で、なんで、そのころになって、美術が違うものになってきたのかと思ったんですよ。 それは、思想と言いいますか、精神面での変化があったのでは