翠
愛情。或いは、嫉妬や羨望。ときには憎悪の対象にも成り得る、近くて遠い、不思議な存在。物語の世界では、姉妹という特別な関係がとても印象的にえがかれています。ここで…
秘密だと誘いこまれた緑陰で利口な侭でいてはだめだよ まといつく姿がふいに疎ましくおもわれた日のパレットナイフ 次兄から盗んだ蝶を迷わせる遊びに耽った第二理科室 …
醒めぎわにくすねた薔薇はためらわず傷つけてくれたのだけれど 血が蜜に見えるのは口移されたあまい裸錠のせいなのですか 蒼ざめた肌をあわせることもなく教師のように聴…
人間に戻りつつあるあなたにはもう跪けなくて 終息 膨らんだ影にかくまうこのひとも水蜜桃もいずれは腐る 火のままでふれてほしいと告げるべく花を抱えてゆく獣道 蝶な…
2024年1月7日 20:00
愛情。或いは、嫉妬や羨望。ときには憎悪の対象にも成り得る、近くて遠い、不思議な存在。物語の世界では、姉妹という特別な関係がとても印象的にえがかれています。ここでは、ただ綺麗なだけではないさまざまな感情がゆきかう小説たちを、あえて“姉妹の絆”と題してご紹介します。💐ゼラニウムの庭大島真寿美/ポプラ社小説家のるみ子は、祖母の豊世から、双子の姉についての不思議な話を聞かされる。それらを書
2023年12月26日 20:00
秘密だと誘いこまれた緑陰で利口な侭でいてはだめだよまといつく姿がふいに疎ましくおもわれた日のパレットナイフ次兄から盗んだ蝶を迷わせる遊びに耽った第二理科室苔桃でよごれた指をふくませていけないことをしたのだろうかその胸ではばたくべきは死ではなく詩なのだからと泣いてくれたね淋しいと訊かれるたびに星の名をつらねるようになってしまった心など学びはじめたきみのため恋という語は破いてお
2023年12月7日 19:59
醒めぎわにくすねた薔薇はためらわず傷つけてくれたのだけれど血が蜜に見えるのは口移されたあまい裸錠のせいなのですか蒼ざめた肌をあわせることもなく教師のように聴かせるワルツ痩せぎすの月が息づく目の奥でまだしあわせを恐れているの逆らってみたいとおもう心ごと胸の釦をただされている火をねだるかすれた声にさいなまれても憎いとはつづれないまま冬蝶をいたぶる指がいくたびも聖書の文句にたちど
2023年11月7日 20:00
人間に戻りつつあるあなたにはもう跪けなくて 終息膨らんだ影にかくまうこのひとも水蜜桃もいずれは腐る火のままでふれてほしいと告げるべく花を抱えてゆく獣道蝶などに身を変えるから罰さずにいられなかった夢の刑法わたくしを世界と呼んだ妹はそのうつくしい治世を終えてもろともに滅びることをゆるされて鳥や魚を逃がすゆうさり愛でなく侮蔑であればおまえにも返せただろうばらいろの痣雪のふる禁