見出し画像

道徳的な獣




醒めぎわにくすねた薔薇はためらわず傷つけてくれたのだけれど

血が蜜に見えるのは口移されたあまい裸錠のせいなのですか

蒼ざめた肌をあわせることもなく教師のように聴かせるワルツ

痩せぎすの月が息づく目の奥でまだしあわせを恐れているの

逆らってみたいとおもう心ごと胸の釦をただされている

火をねだるかすれた声にさいなまれても憎いとはつづれないまま

冬蝶をいたぶる指がいくたびも聖書の文句にたちどまるから

くちづけのさなかに喉に秘めていた級友の名があふれだしても

嘘をつくときの笑窪がうつくしくゆうだちの迫りくる校廊

オフィーリア わたしの傍でねむっては溺れるひとをつたなく抱いて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?