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名刺代わりの短歌




人間に戻りつつあるあなたにはもう跪けなくて 終息

膨らんだ影にかくまうこのひとも水蜜桃もいずれは腐る

火のままでふれてほしいと告げるべく花を抱えてゆく獣道

蝶などに身を変えるから罰さずにいられなかった夢の刑法

わたくしを世界と呼んだ妹はそのうつくしい治世を終えて

もろともに滅びることをゆるされて鳥や魚を逃がすゆうさり

愛でなく侮蔑であればおまえにも返せただろうばらいろの痣

雪のふる禁猟区にてくちびるは奪うものではないと知りつつ

ついぞ悪友には成れずいつまでも交わせなかった火の夢をみる

ぼくたちは倫理をほどきあう日々を恋とあらわすべきだったのか

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