口元だけのガスマスク。

朦朧とする意識の中、誰かが立っているのが見えた。そいつは俺に馬乗りになり、左頬を殴った。痛い。今度は右頰。痛い。そんなに殴られたら痛いよ。でも、殴られる度、視界と思考がクリアになっていく。頬を温かい液体が伝った。
「救いに来た」
口元だけのガスマスクを付けた男の顔が目の前にあった。

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