完了。

柄にもなく、感謝の気持ちを伝えたくなった。口元だけを覆うガスマスクを付けた彼に。
「あ……あり……」
喉が痛い。上手く喋れない。濃い隈を付けた彼の力強い目が見開かれた。次の瞬間、背中に鋭い痛みが走った。
「がっ……」
何度も何度も。視界がぼやけていく。背後から幼い声。
「処理、完了」

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