嗤ってしまった。

久々に棲み家に帰った。どす黒い空気と嗤い声と這う蟲。何もかもが、どうしようもないぐらい壊れた空間。部屋の隅で巨大な化け物が蹲っていた。近付いてみる。間違いない。「夜鰐」だった。
「壊せ……壊せ……」
俺の黒面が怯え始めた。彼の右腕は夜に溶けてなくなっていた。思わず、嗤ってしまった。

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