マガジンのカバー画像

オレンジ色と藍色。

6
朝と夜が嫌いな彼女は夜の街で夕方を求めた。全6話。
運営しているクリエイター

記事一覧

夜が来る前に。

「街から出たいんだろ? 案内してやるよ」 兎のマスクを被った男が歩き出した。路地裏、居酒屋…

夜なんか好きじゃない。

夜なんか好きじゃない。好きだったあいつはもういない。この街にいる理由なんてどこにもない。…

記憶は人を駄目にする。

記憶は人を駄目にする。ボロアパート。写真を撮りに行った路地裏。常連になった隠れ家的な居酒…

どうでもよくなっていた。

「夕方が好きで、朝と夜が嫌い?」 夜の路地裏。能面を付けた男は不思議そうに首を傾けた。 「…

あの夕方が脳裏にこびり付いて。

電車の中から見る夕方の街が好きだった。流れゆく景色、街を覆い尽くす人工物、空を支配する淡…

そんな朝はもう来ない。

朝帰りの淡い水色の街が嫌いだった。電車、車、自転車、信号。それぞれの眠りから覚めた人々が…