そんな朝はもう来ない。

朝帰りの淡い水色の街が嫌いだった。電車、車、自転車、信号。それぞれの眠りから覚めた人々が、それぞれの朝へ向かう。夜の記憶と感覚を引き摺ったままの私は、あいつの体温と低い声に浸ったまま私の夜へ向かう。光が、喧騒が、目まぐるしく蠢く街が、怠惰な私を晒し者にする。そんな朝はもう来ない。

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