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“見ない”、”捨てる”ことも、前に進むためのポイント

特にWEBマーケティングの領域では、”見える”数字がたくさんあります。広告関連でいうと、表示回数(インプレッション)、クリック、コンバージョンなどなど。サイト内でいっても、訪問数、滞在時間、直帰率、などなど。さらにこの指標たちに、時間や地域、属性といった”セグメント”と呼ばれる絞り込み条件が掛け合わされます。
いかに優れたマーケティング担当者といえども、ぜ~んぶ追いかけるのはムリです。
...というセールストークで「これを導入すれば解決!」というツールもありますが、今回お伝えするのは、
「そもそも見ない」
という点について、です。

目標から”近い順”で

例えば、「新しいお客様を増やす」を目標として広告出稿をする場合。
 ・広告の表示回数
 ・広告のクリック回数 > 表示回数に対するクリック率
 ・購入や申込の成約数 > 広告クリック(=サイト訪問)数に対する成約率
 ・広告費用 > 1クリックあたりの費用、1成約あたりの費用
これだけの”数字”が並びます。
全部、大事な数字ではあるのですが...

ここで「何のための広告だっけ?」という基本に戻ってみます。

目標は「成約数」の増加であり、そのための広告を継続出稿するためには効率=「1成約あたりの費用」を改善することが重要になります。であるならば、この二つ以外は、目標を達するプロセスの中にある「手段」。クリック数や表示回数は「○○回が正しい」というのはないのです。
この考え方の順序を認識せずに、「1クリックあたりの費用は〇円にすべき」が最初に来てしまうと、広告を実施している理由、を見誤ることになります。

見る・追うべき数字と、そんなに見なくてもいい数字と

先の例で言うと、目標である「成約数」は当然として、「1成約あたりの費用」も”見るべき”数字です。お金をかけて実施する広告なので、継続するためには効率の維持改善が必要になります。この「維持改善」するための要素が、「表示回数に対するクリック率」だったり「表示回数」になります。これらは、「日々増えた減った」と一喜一憂する必要はなく、「一定期間での評価」をすることがポイント。最優先にみるべき「目標」との重さは当然異なります。
この強弱、つまり一喜一憂しなくていい数字、と「一喜一憂すべき数字=目標値」を棲み分けられることが、すなわちマーケターの技量のひとつといえます。

クリエイティブなどのABテストでも

マーケテイングの現場では、「ABテスト」という俗称で、表現の比較検証をすることがあります。同条件(時間や配信先属性を同一にする)のもと、例えば、「安い!を強調した広告A」と「タレントが使っていることを前面に出した広告B」のどちらが目標に対して近道か、という比較検証。「テスト」という名称は好きではないのですが、どんなメッセージがおきゃくさまに届きやすいか、を判断する要素となります。


ここで先ほどの「A価格」「B人物」のうち、「価格」のほうが事後評価が高かったとしましょう。この場合に次に進むべきは「A-1 ワイコインで」「A-2 1日あたり〇円」といった「価格」同士の比較検証になります。が、ありがちなパターンは「B人物」を変えて再登場させてしまうこと。「A-1 ワイコインで」「B-1 別のモデルさん」という検証だと、前に進んでいるようで、一回目の検証を無駄にしている可能性もあります。担当者の「想い」が邪魔することもありますが、潔く「B人物」を諦めることが、肝要です。

それぞれの「目標」に応じて

ここであげた例は、EC・物販の新規のおきゃくさまに向けた広告ですが、どんな事業であっても、広告など行動する目標に応じて、「見る」数字を決めていきます。最初にすべきことは、目標に一番近い、言い方を変えると「一番影響を与える」数字を定めること。その「一番」以外は、「手段」として必要なときに見る。とくにデジタル領域は、なんでもかんでも「見えちゃい」ますが、ぜんぶ「最適化」することは考えなくてよいです。そんなことできませんから。

ここは敢えて「感情」を捨てて、

...とはいえ、担当者の立場からすると、「気持ちを入れて作った」広告であればあるほど、表示回数やクリック数が気になるし、比較検証で優位でなくても「止める」ことはセツナイものです。
が、ここは”ビジネス”の割り切りが必要なところ。おきゃくさまに向けてのメッセージ内容がいいかわるいか判断するのはおきゃくさまです。なので、「届かなかった」ものは、きっぱり諦めましょう。「この方向性は届かない」という知見が貯まることも、次に進む重要な学び、です。

意外にできていないことが...

ビジネスの拡張に向けて、外部のパートナーさんのサポートを受けることもあります。広告代理店、ツールベンダー、制作会社、コンサルタントなどなど。その場合にも、事業者側で定めた「目標」、「最も気にすべき数字、指標」は、早い段階で共通認識として固めておくとが大事です。力を携えて前に進んでいくために、「同じゴール」を目指しましょう。

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