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「目の前の人をよけるより、大事なことってなんですか?」

タイトルは、2021年11月、通信事業社と全国鉄道事業者が実施した、「やめましょう、歩きスマホ。」キャンペーンの標語、ポスターのコピーです。電車等で移動する際、あるいは駅のポスターで見かけた方もいらっしゃると思います(私は通勤で使う東京メトロの駅で目にしています)。
個人的には、このキャンペーンの対象である「歩きスマホ」「ながらスマホ」に対しては、とても危険であり、また迷惑であると思っていて、とても”刺さった”コピーだと思っています。そこで、このコピーから(勝手に)拡大解釈して、「目の前の」「大事な」という点をいろんなところに当てはめてみました。


「大事なこと」は、立ち止まって。

まずは、この標語の本来のメッセージ。「歩きスマホ」は危険です。そして周りの人に対しての迷惑行為にもなってしまいます。前者(「危険」)は言うまでもないので、ここでは後者について。
残念なことに、こんなことが日常的に発生しているかと思われます。

・すれ違いのときにぶつかってきそうになる
・前を歩く人が「歩きスマホ」していると、その人は自分のペースで進むので(急に止まったりする)、後ろを歩く人はペースを乱される
・降車駅など急に気づいて急な行動をすることがある(ぶつかりそうになる)
・車内が混雑してきても気づかずに足を組んだまま...

これらの行動に共通しているのは、「自分ではない人への配慮」が不足していること。気遣い・配慮、と言ってもいいかもしれません。車内、駅などの”公共の場”には(当然に)自分以外の人が行動しているわけで、その「自分以外の人」に不安を抱かすような行動は極力避けるべきだと考えます。万が一そのようなことを引き起こしてしまった場合は謝意を示す、など、私たちが幼少の頃から教えられてきたことではないでしょうか。そんなに難しいことではありません。配慮、慮り、自分がされたらイヤなことはしない、そんな「基本」ですよね。
「目の前の人をよけるより、大事なことってなんですか?」


ビジネスの場面でも、この問いかけを

ちょっと拡げてみます。仕事の場で、担当業務の業績を拡げようと思ったときに、「新しいもの」「デジタルなもの」「かっこいい(かっこよく見える)もの」に目がいくことがあります。一見、「追加策」としてよさそうなのですが...ちょっと待って。「目の前」(=そのビジネスにおいて基本的なこと・ブレてはいけないこと)のことから目をそらしていないでしょうか。より「完璧」にすべきは、「目の前」の根幹な部分です。これをおろそかにしてしまって、「目新しいこと」に注力したところで、土台が弱ければ全て壊れてしまうことにもなりかねません。
特に、「DX」と言われる「デジタル化・デジタルシフト」は、何か新しいものが生まれるような「魔法の言葉」で、最先端でカッコいいイメージがありますが、かならずしもデジタル化が解決策ではないことがあります。根幹なところが「より」確固たるものになるためのデジタル化なのか、立ち止まってよ~く見る、ことが大切です。
「明日(未来)の成長のための行動」は必要です。ですがそれは、「目の前」が確かであることが大前提です。
「目の前のすべきことより、大事なことってなんですか?」


もっと大きなテーマに、あてはめてみる

仕事「以外」の場面でのことを含め、逆説的にあてはめてみます。
例えば、資格の勉強、読書などの趣味、トレーニング・ダイエットなどの健康管理、禁酒・禁煙...どれも「目の前の”楽なこと”」をできるだけガマンして続けていくと、ゴールにたどり着く、というものですよね。

・ガマンしきれずに「目の前」のお菓子を食べてしまう
・雨が降るかもしれない(という自分への言い訳)から今日はジョギングを中止する
・今日はストレスが貯まったから、飲んでしまう吸ってしまう

「明日から」と”毎日”自分への言い訳をするようになってしまい、「挫折」をしてしまったことがなんとたくさんあることでしょう...毎日「明日から」と言っていたら、永遠にそれは来ないですよね。
「目の前のことを愚直に続けることが、大事なことに到達する道です」


...と、本来の意味からはずれそうになってしまいましたが、大事なのは、「目の前」のことにしっかり目を向けて、目を開いて「見る」ことです。もちろん、「今」やらなきゃいけないこともあるでしょう。そんな時も周りに目を向け、悪い影響を及ぼさないように気配りする。この時も(自分の事情だけではなく)「周り」をしっかり見ることが肝要です。避ける、人のジャマにならないところで立ち止まる、など、できることはあります。もっと簡単に、もっとスマートに行動するためには、本当に大事なことのために「ガマンする」こと、です。


※このポスターが掲出されるのは、11月30日まで、だそうです。とてもよいコピーなので、延長でもいいのになあ、と個人的に思います。
そして、ひとつ残念なのは、肝心の「対象者」=歩きスマホをまさに今、しちゃっている人には、このポスターが視界に入らないこと...

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