THE BLUE HEARTSのライブ。ヒロトが特別になった夜の話。
人生初めてのライブ。それは中学1年生の頃の事。
4つ年上の姉がチケットが余ったからと言って連れて行ってくれたのが
THE BLUE HEARTSのライブだった。
今となれば本当に姉に感謝である。
もう随分と時間が経過してしまって、細かい所までは思い出せないが、
あのライブの衝撃は未だに心に残っている。
九州の田舎で育った私は、外の世界のことをあまり知らなかった。
ブルーハーツの曲はもちろん知っていたけれど、あの頃は音楽よりも部活に夢中だった。
ライブ当日は部活の練習を早く切り上げさせてもらい、中学校の制服のまま地元の市民ホールに向かった。
いつもはオーケストラの演奏やら、合唱コンクールやら、誰誰の講演会やら、そんなちょっと真面目な少し堅苦しい場所だと思っていた市民ホールが、あの時は全然違っていた。
いつもとは全く違った服とメイクで着飾った、自分より年上のお兄さんお姉さんたちが沢山いた。
一人制服姿の私は目をつけられたら大変だと、姉の後ろに存在を消すようにくっついて、ライブという未知の空間へ足を踏み入れる前の極度の緊張に耐えるので必死だった。
ホールが解放されて自分の席に座る。真っ暗な照明。ザワザワとする会場。
客席の人が少しずつ立ち上がりコールが沸き上がる。そしてメンバー登場。
そこからは一気に駆け抜ける。田舎の中学生が初めて味わう生の音楽。それもブルーハーツ。
さっきまでちょっと近寄りがたかったお兄さんお姉さんたちも、隣にいる姉とその友達も、みんなキラキラした表情で、まっすぐステージに目を向けて、一緒になって飛び跳ねて歌っている。
それでも私は緊張が取れず、一人直立不動で、なかなかその雰囲気に馴染めなかったが、好きで見ていた「はいすくーる落書」の主題歌だった「TRAIN-TRAIN」でやっと片手が挙げられた。
ライブってすごい。バンドってすごい。なんかかっこいい。皆が熱狂するの、なんかわかる。楽しい。ブルーハーツすごい!
そして、次の瞬間思いもよらぬ事が起こった。
ヒロトがズボンを脱いだ。パンツも脱いだ。盛り上がるオーディエンス。
その日からヒロトは私にとって特別な人になった・・・。
と、別にヒロトの大事な部分を見てしまった事が決定打ではないが、その日からブルーハーツが大好きになった。
ブルーハーツが解散してしまってからもその時好きだった曲をまとめたカセットテープをずっと聞き続けたし、ハイロウズのライブにも行った。
(残念ながらクロマニヨンズはまだ行けてないので、絶対いつか子供と行きたいと思っている。)
清志郎さんのロック葬で革ジャンを着たヒロトが読みあげる弔辞も素晴らしかった。
そして先日テレビに出るヒロトを見た。
こんなにかっこいい人いるだろうか。本人はそんなつもりはないだろうけど、こんなに自然で、変わらず、ずっとロックなままで、ずっと少年のようで。
そしてなぜか安心する。
あぁ、大丈夫だ。ヒロトがいる。マーシーがいる。
いつの間に大人になって、責任がどんどん増えて行って、
速すぎる時代の流れに乗ることが難しくなって。
でも彼らは一瞬で14才に戻してくれる。その音楽と言葉と存在だけで。
それで大丈夫だなと思う。大丈夫。明日も頑張れる。
彼らの音楽と共に青春を過ごし、同じ時代を生きれていることが本当に嬉しい。
子供達にも絶対聞かせ続けよう。
娘にお願いだからヒロトみたいな人と結婚してくれと言ったら、
YOUTUBEのブルーハーツの映像を見ながら「え~~!?歌は良いけどおじさんじゃーん!」と言われた。そりゃそうだ。ママもおばさんになったよ。「こんなカッコいい人達なかなかいないよ。」と言っておいた。
今月号の「音楽と人」。ヒロトと峯田君の対談。最高。
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