見出し画像

原作と脚本家とテレビ局。

いま話題になっている原作や脚本家との関係性。
企画を出すとき、原作の映像化権利があいているか確認して、企画に出す。
ただ、権利は空いていたとしても、だいたいは複数の企業が狙っていて、争うことになる。

原作ありきの企画の方が最近はウケがよい。
何万部発行、重版決定など、みんなによく読まれたという数字的根拠は企画の価値をアップさせる。だから、みんなこぞって原作権獲得に動く。

どうして映像化すると内容が変わるのか。
原作ありきのドラマでもプロデューサーや監督、脚本家が脚本を作るとき、映像にした場合どのようなストーリーで進めていくべきか、構成はどうするのか、何度も話し合いを重ねる。
連ドラ、映画、単発のスペシャルドラマ、、、扱う枠でストーリーの構成は大幅にかわる。そこにスポンサーもついてきたらそちらの意向も聞かねばならぬ。

出版社とテレビ局が早い段階から擦り合わせがらできていればいいが、キャスティングのこと、ドラマ枠の関係で原作を変えないといけなくなることは多い。
どのように変えていくのかはプロデューサーが責任を持って出版社に伝え、そして原作者の方から許可をいただくというような流れになる。ここからは推測だが、担当編集者から原作者の方に話し合いの結果などが伝えられるのだと思う。私は担当編集者は原作者の絶対なる味方だと考える。
憶測だが、「セクシー田中さん」の場合、まず担当編集者が作家さんを守りきれなかったのだと思う。守りたい思いがあっても持っているカが弱くて、原作者の意向が無視されてしまった可能性もある。
この場合、担当編集者も悔やみきれない思いでいっぱいだと思う。

さて、たとえ脚本が原作の方が納得した形になったとしてもまだまだ、テレビ局スタッフ、脚本家、原作者とのすり合わせは終わらない。

撮影中、台本の内容やセリフが変わることは多くありますし、そもそも完成した台本が規定の尺におさまっていないこともたまにある。
だから、そもそも「落とす」前提で書かれているシーンもあったりもします。
だから、脚本自体はOkでも完成したドラマを見ると「何かちがう…?」という違和感を持たれることも多いです。

あるドラマではある程度内容が固まった編集を脚本家さんに見せたところ、NGがでて、再編集しなおしたこともありました。
(原作者の方には完成したドラマのデータは渡しているかと思いますが、編集途中のものは見ないのでしょうかね。このあたりは私も詳しく知らないです)

映像化するというのはたくさんの人とお金が動きます。だからヤイヤイ言ってくる人が増えます。そして、人が増えた分、さまざまな角度の意見がでてきます。
それをうまくまとめるのがプロデューサーです。しかし、うまくまとめられない方もいます。作品の方向性を決められないプロデューサーもいます。
私はドラマのプロデューサーが責任を持って、原作者の方の意見をテレビ局側の人に伝えるべきだと思うし、原作者が絶対に譲れないポイントを理解した上で作品作りをすべきだと思います。また、テレビ局側の意向もきちんと出版社に伝え、お互いが納得する位置を決めて、映像化に動きだす必要性があると考えます。

原作者の方(と出版社)、脚本化、監督、プロデューサー自身。まずはこの4人が同じ方向を向いて足並みを揃えてからドラマ作りはスタートすべきではないでしょうか。

きちんとお互いの意見を主張でき、話し合え、お互いが納得できる点を探して、よりよく作品を改造していくのが、一番大切だと私は思います。

「セクシー田中さん」の原作者、芦原妃名子さんの訃報に接し、
哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?