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吟遊詩人の足取り

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乃歌が書いている掌編小説を纏めました。 読んで貰えたら嬉しいです( . .)"
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始まり-吟遊詩人と謎の鳥-《連作掌編》

始まり-吟遊詩人と謎の鳥-《連作掌編》

 
誰もいない山道を、とぼとぼと歩く緑色のコートを羽織る少女。彼女の目には、自由に羽ばたく鳥たちが映っていた。青い空を見上げながら、若き吟遊詩人は心の中で呟く。

「どうして人間には翼がないのだろうか?」

少女は独り言をつぶやいた。

「もし翼があれば、こんなに広い世界をもっと自由に旅することができるのに。」

少女の心には無限の冒険が詰まっていた。新しい土地を訪れ、新しい人々と出会い、彼らの物

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3の街-眠らない街- (1/2)

3の街-眠らない街- (1/2)

 眠らない街、未来都市リズヴェルタ。ここでは、昼も夜も関係なく、人々が絶え間なく活動している。高層ビルが空に向かってそびえ立ち、ネオンの光が街を鮮やかに彩っている。交通は空中の高速道路をロボットタクシーが走り、地上では自動運転車が行き交う。

そんなキラキラと眩しい世界に足を踏み入れた途端、緑のコートの少女は少し躊躇う。

「うわぁ・・こんな所はじめて来た」

来た道を引き返そうかと思った。それぐ

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1の街-とある砂漠の夢-《連作掌編》

1の街-とある砂漠の夢-《連作掌編》

初めて読まれる方はこちらからご覧ください(  . .)"

砂漠の真ん中に、古びた城がそびえ立っていました。その城は、かつては賑やかな居城でしたが、今では静寂に包まれています。城の周りにはそれ以外何も無く、一面に広がる砂の海がその壮大さを物語っています。

ある日、1人の少女がその城にたどり着きました。砂漠の果てを目指して旅をしていた少女は、城の美しい廃墟に心を奪われました。城の中に入ると、埃まみ

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2の町-星降る夜の魔法-《連作掌編》

2の町-星降る夜の魔法-《連作掌編》

砂漠をぬけ、汗だくになりながら少女は進む。こんなに暑くて、疲れて、しんどくて、身体中痛かったら歌える歌もありゃしない・・。そう心の中で悪態をつきながら久しぶりに見た道を進んでいくと、町が見えてきた。

「やった!やっと休める」

緑のコートを着た吟遊詩人の少女は、喜びのあまり心から飛び出すほど大きな独り言を放ってしまう。

「ふふ、お疲れのようですね、旅のお方」

町の入口で何かの準備をしている女

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