見出し画像

『教師のためのセルフスタディ入門』

『教師のためのセルフスタディ入門』(学文社)
-協働的な問いによる実践の改善-   予約開始です。


教育に関わる全ての人に。
そして、実践を研究論文にしたいと考えるすべての教員に。
対人援助職の皆さんには、この書籍で(まだ応用編は世界でも出ていないので)実践と研究のつなげ方を学んでいただければと思います。

出版予定は4月25日です。予約受付が始まっています。

さて、内容はというと、
世界的な【教師並びに教師教育者のためのセルフスタディの指南書】
です。

教育において、研究と実践はどのように結びつけることができるのでしょうか。アメリカやヨーロッパなどでこの課題に取り組んできた教師教育者たちによる方法論「セルフスタディ」による実践を研究にする際のマニュアルです。

教師が自分の実践を、関わりあう周囲の人たちとともにさまざまな角度から分析研究し、一定の理論を導き出して社会に還元する実践研究の方法論
「セルフスタディ」を、豊富な事例と詳細な解説によって紹介しています。

原著は、世界中の教師教育者の注目を集めてきました。
日本の教育においても、重要な手引書として活用されていくでしょう。

翻訳プロジェクトチームメンバーは、20人。
井上太智 岩瀬 直樹 岩田 昌太郎 小出 陽子 小田 郁予 大坂 遊 
大西 慎也 大村 龍太郎 草原和博 齋藤 眞宏 佐々木恵美子 佐々木 弘記 西田めぐみ 早坂めぐみ 山内敏男 茂木智央 渡辺 貴裕 渡邉 巧 
亘理 陽一 武田 信子 
そして、編集者は学文社の落合絵理さん。


まえがきより)
セルフスタディの世界へようこそ。本書は日本で初めてのセルフスタディのテキスト、非常に実用的なマニュアルです。マニュアルではありますが、読み進むうちに、教育実践に関するさまざまな学びが生じる教育書でもあります。セルフスタディは「教えること」「人に寄り添うこと」「人を支援すること」などを仕事としているすべての人が使える実践研究、しかも「自分を素材とする研究」の方法論です。
 タイトルに「教師のための」が入っているのは、学校の先生はもちろんのこと、「教えること」を仕事にしている大学教員・教師教育者や塾や習いごとの先生にも、その教育実践を振り返って他者の役に立てていただきたいと思ったからです。
 これまで、せっかくの現場実践がうまく論文にできない、研究の方法がわからないという先生方が日本中にたくさんいらっしゃったと思います。お待たせしました。
 教職大学院で論文指導をするにあたって、従来の研究のお作法だけでは質の高い実践研究論文にすることが難しいとお悩みの大学の先生、この本で論文指導をしつつ、ご自分の大学での教育実践を研究論文にしませんか。自分で書くことで実践研究論文の書き方や指導法が明確になるでしょう。
 そろそろ自分の教育実践を後続の先生方に残したいと願っているベテランの先生。新しい教育方法の導入でこれまでの工夫が雲散霧消することを食い止めたいと思いませんか。ここで研究論文にする方法が見つかります。
 研究の経験のない人でも、卒論がやっとだったという人でも、学ぶ気持ちがあれば大丈夫です。一から丁寧に読んで、クリティカルフレンズと共に歩み始めましょう。
 なお、本書に挙げられている事例は、「すばらしい研究者による模範的な研究」というよりは、読者と同じように現場に立つ迷える実践者が初めて取り組む研究の事例と考えられます。従来の研究に慣れている研究者には稚拙に思えるところもあるかもしれません。しかし、まず、現場の教育者が一連の手続きに従って仲間と共に研究に取り組む姿勢を評価してほしいと思います。試行錯誤の中で成長していく「セルフスタディに取り組む教育者」を後方支援して下さい。
 さて、本書では、原著第7章「保護(protect)」を翻訳しませんでした。海外と日本の基準が異なるからです。「知らなかった」では後に問題になりかねません。大変重要な部分ですので、日本の学会や所属大学等の倫理基準を参照してしっかりと対応して下さい。
 また、聞き慣れない用語に戸惑う読者がいらっしゃるかもしれません。できるだけわかりやすい訳を心掛けましたが、知っていてほしい単語についてはそのままにしたものもあります。巻末についている用語集で確認する他、どうぞネット検索で確認しながら読み進めてください。
 また、実際のセルフスタディの事例や指導例を数多く読むことが勉強になります。国際ハンドブックやネット上のリソースを活用して下さい。20人の翻訳者・協力者がそれぞれ活動していますので、お問い合わせくださるのもいいでしょう。翻訳チームとして勉強の機会も用意したいと思っています。
 本書の出版によって、これから具体的なセルフスタディ研究の蓄積が始まるでしょう。世界のセルフスタディ研究者との交流が始まるでしょう。日本の教育実践の知が世界に紹介される日が来るでしょう。さまざまな仮説の元に実証的な研究が進められること、その結果として日本の教育に新しい光が差すこと、さらにこの方法論が対人援助専門職の分野に伝わって活用され始めることを強く期待しています。
                2024年3月
                セルフスタディ翻訳プロジェクトチーム


※ カバー写真は、本文中のごく一部です。続きや解説がありますので、ぜひ書籍で確認してください!!

※ Facebook の自分のフィードに投稿した文章・・・・・・・

一冊の本の翻訳に、20人の人に関わっていただきました。なぜ? 
研究と実践をつなぐばかりでなく、

研究者たちと実践現場をつなぐコミュニティ

を形成していきたかったからです。
翻訳関係者だけでなく、これからの読者たちも含めて。

対人援助の現場にいる専門職、この場合、教員ですが、
教員が読める本を出すためには、
翻訳に現場の意見を反映することが必要だと思いました。

研究書には、とてもいい本なのに、訳が難しくて読まれない、使われないということがはしばしばあります。

日本では、監訳者が名前だけで翻訳や中身にほとんどタッチしていないということもときにあります。大学院のゼミで学生に訳させたものをそのまま出版してしまうというようなこともあります。

私は英語が流暢に使えるわけではありません。
でも、日本語で意味の通じない、通常は使わない表現が使われている翻訳書を読むのが苦痛だった学生時代に、
中井久夫氏の『現代精神医学の概念』(サリバン著)の翻訳に触れて、感動したのです。
原著よりも内容が深いとまで言われるその翻訳にしびれました。内容が難しいのに、頭に入ってくるのです。
その翻訳のおかげで、自分では読めない本が読めたのです。

ですので、今回、
翻訳チェックは主に亘理陽一先生、内容チェックは主に西田めぐみ先生に助けていただきつつ、現場の先生や元現場の先生だった大学の先生、海外の大学で学んだ先生や英語の先生などなど、いろいろな方に関わっていただいて、
私は日本語として読んでいてなにか変なところ、この訳では、っ現場の先生にはぱっとわかりにくい、意味が通じないと思われるところなどを一つ一つチェックしました。
出来上がった翻訳を、さらに編集者の落合さんがとても丁寧にチェックして下さって、最後は毎日「気になるところ」に確認が入りました。

そんなふうに出来上がった書籍です。
5000円は教育関係の書籍としては高額と思われるかもしれません。でも、原著を購入すると12000円なのです。
関わって下さった方たちは、ボランティアです。
おそらく一人一冊、出来上がった本を手にするだけです。
学術書ですし、大学などの助成金もありませんでしたし、
印税と言ってもほとんどないでしょう。
他にやりようがあったでしょうと笑われてしまうような。

それでもみんなで訳しました。

皆さんのお役に立ちますように。

また、お役に立つようでしたら、どうぞAmazonなどに、書評をお願いいたします♪


#教師教育 #セルフスタディ #実践と研究の往還 #実践と研究の架橋 #リフレクション #実践研究論文 #対人援助職 #専門性 #広島大学教育ビジョン研究センター #入門



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?