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教育学を学ぶ大学生に教育虐待を語る

2023年10月17日 大東文化大学文学部教育学科の約200人を対象に、
「教育虐待」について話をしてほしいというオーダーがあり、
埼玉県高坂の東松山キャンパスまで行ってきました。

教育虐待やエデュケーショナルマルトリートメント、さらに社会的マルトリートメントについて、最近は立教大学の前期授業「教育相談」の中で扱ってきましたし、あちこちで講演もしてきましたが、
この夏を超えて、メディアの取材や加害者被害者のヒアリングなども踏まえて、これらの概念が急速に私の中でまとまってきているので、
最近のそれらの傾向を組み込んで、そこからさらに概念整理をした形でお話しできたと思います。90分間+質疑応答10分間の充実した時間でした。

昨年の同時期の他大学の授業ゲストとしての講演は、学生たちからのオーダーとのすり合わせがうまく行かなかった感じが残ったのですが、今回はとてもうまく行ってほっとしました。
私の講演はオーダーメイドなので、一期一会。事前打ち合わせが命です。

学生たちを対象にお話しする機会がまたあるといいなあとまで思いました。
まもなく、立教大学の教育学会でお話しさせていただく予定ですが、
それ以外でも、どこかで何かご縁がありましたら、来年度以降、よろしくお願いします!(今年はすでに手一杯です)

というのも、自由に動くために、
今年度一杯で思い切ってすべての非常勤講師を辞める選択をしたからです。

非常勤講師の仕事を入れてしまうと、毎週、時間と場所の拘束を受けることになってしまって活動に制限がかかってしまうので、思い切りました。

ただ、やめてしまうと若者との接点が減ります。
これは、教育関係の仕事をしていく際にマイナスです。
東大大学院のゼミや福岡教育大学大学院のゼミなど、
ときどきゲストとして呼んでいただいたりはしているのですけれど、
大人数の授業をする機会はもうあまりないでしょう。
そういう意味において、今日の講演の機会は貴重だったと思います。


さて、どんな風だったかと言いますと、教育虐待の定義を話し始めて10分経たないうちに、寝る気になっている学生が散見されました(必修授業の出席の代わりに参加していた学生もいたためでしょう)。

会場は広いホールだったのですが、私自身が寝ている学生がいることが苦手なので、当初の予定から変更して、全員に立ってもらい、5人組を作るように指示して、30秒の自己紹介の後にワークという流れにしました。

階段教室でグループを作る、しかも男女混合チーム、という私の指示は初めての人たちにはちょっと高度です。しかも90分の講演という制限のある中で変則的な時間を取ることは、準備した内容をかなり変えることになるので、一瞬迷いましたが、それをしたことで、参加者の参加のスイッチが切り替わったと思います。
正解でした。
(アクティブラーニング、というのは体を動かすことではありませんが、身体を動かすことをきっかけとして脳が動き始めたら、それはアクティブラーニングでしょう。この講演は通常とちょっと違うということを感じて、脳を活性化してほしかったのです)

教育に関心を持っている学生たちだったので、私が、予定していた内容を変更して、プレゼンテーションをしている壇から降りて、階段教室の後ろまで登って行って、学生たちに声をかけながら講演をする、というスタイルにも興味を持ってもらえました。感度の高い学生さんたちです。日頃、いろいろな授業を受けてきているのでしょう。

また、講演後、次々と3人の学生さんから質問が出ました。
通常だったら出ないのにと教授のお一人が驚いておられました。

学生からの質問は、
・教育虐待を受けている子どもは、大人の様子をうかがい、評価に敏感とのことでしたが、家庭で虐待を受けていると思われるそのような生徒がいたら、学校教員にできることは何でしょうか?
 → 学校が子どもたちにとって安心できる居場所(皆さんにとって、安心できる居場所ってどんなところですか?)で、そこにいる教員が信頼できる人であること。社会には親以外に多様な大人がいて、自分は存在していていいのだと思えること。そういう多様な大人に出会わせること。

・宿題を法律で禁止している国があるという話ですが、自分は、発達段階によっては必要だったりもすると思います。どうでしょうか。
 → 宿題も、ドリルなどでなく、出し方や内容次第ではいいものもあると思う。ただ一方で、宿題を与えるということは、その生徒の限られた24時間の一部をそこに割くようにするということ。宿題を与えることによって得られるものもあるが、失ってしまう友達や家族との時間、家事をしたり身の回りのことをする時間、ぼーっとする時間、睡眠時間などがある。教師として彼らのそれらの時間を奪うのだということを認識したうえで、その子の成長にとって、そのとき本当に必要なものを判断してほしい。

あ、もう一つも良問だったのに、すでに思い出せないので(歳です。。)、思い出したら書き込んでおきます! 実際にはもっといろいろと具体例を上げたりして説明したので、回答は長かったです。


今回、学生たちが企画運営する会であったため、駅に降り立った時に迎えに来てくださったところから、学生たちとのやり取りが楽しく、彼らが自分の生き方や教育をしっかりと考えていることが伝わってきました。運営の学生たちとは個人的にこれからの就職の話や大学生活の話もできて、少しはお役に立てたかなと思います。また、講演の間、寝ている様子だった学生でさえも、あ~この学生は寝ることで大学教育に対して何かを訴えているんだなあ、と思えるというか。

ぶんぶんうなずいている学生がいた一方で、まだわからない、と率直に言ってくれる学生もいて、そうだよなあ、と思います。今までと違うことを言われて、そんなに簡単にうなずけるわけはないですから。私の話をクリティカルに聞いてくれるなんて、なんてしっかりしている学生さんたちでしょう。

若い彼らの立てたアンテナに、私の話がちょっとひっかかって、さまざまな現場に散らばって行ったときに、ふと思い出して、アクションを起こしてくれるといいなあと思いました。

アンケートが戻ってくるのが楽しみです。写真やアンケートが戻ってきたら、こちらに転記しますね。



※ 学生たちに示した資料はこちらです。
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武田信子
『やりすぎ教育 商品化する子どもたち』ポプラ新書 2021/5/13
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8201208.html

「学校安全基地化計画」(東洋館出版社)
(「教室マルトリートメント」(川上康則先生)についての対談集。

「教育相談」(学文社)
大学授業のテキストですが、普通のテキストとかなり違って、かなり読んでほしい本。

最新のブログはこちらから https://note.com/nobukot/ 
教育虐待についてはここに一番多く書いています。

さまざまなトピックについて書いているのはこちら。https://www.facebook.com/nobuko.takeda.5/

一般社団法人ウェブサイト 法人設立の想い https://note.com/nobukot/n/n9b87fa3cb413

動画「いま、子どもへの社会的マルトリートメントを考える」https://www.youtube.com/watch?v=MANIq6bocZQ 2023/2/25

大学生活を豊かにするために 
NPO法人グッド! きっかけづくりのワークキャンプ 
これまでたくさんの大学生、高校生が、人生の転機を迎えたキャンプです。説明会に行ってみてはいかがでしょうか。

植松努 TED×Sapporo 
https://www.youtube.com/watch?v=gBumdOWWMhY 
750万回再生の心が動く動画です!

Radwinps 「正解」 NHK 
https://www.youtube.com/watch?v=xKjFYKWCDas

みなさんの未来が歳を取るにつれて益々明るくなっていきますように。


※ 本投稿のカバー写真は 室伏淳史さん提供です。


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#グループワーク #大学生 #教職課程




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