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パーフェクト・デイズ


前半 坦々と淡々と 朝起きて仕事をし、帰ってからは自転車で
銭湯と食事に行くという生活が描かれる。

生活とは単調なものだ。
ただ「平山」は物事を肯定的に受け止めて生きようとしている。
包容力のある雰囲気である。
突然辞めてしまういい加減な同僚の青年も、
耳を引っ張りに来る男の子を邪険にはしないという善良な面を持つ。

嫌なことを言う人がいても、ちょっと好意的に接してくれる人もいる。
思い出すときにどちらが浮かんでくるか というのは
何が決め手になるのだろう?

「虔十公園林」の虔十をちょっと思い出す。
それから「便所掃除」の詩の中の世界。

映画の「平山」は良く読書する人だし
トイレは昔のような臭さはないだろう。
最近は、映画ほどではないにしても
公園のトイレもずいぶんきれいになった。
駅などは隔世の感がある。

落書きなどがあったらすぐに消す というやり方があるという
汚いままだとどんどん汚くする人が増えるが
きれいなものは綺麗にしておこうという人も増える と。
そういうことはあると思う。

一時、まずトイレをきれいにしようという流れがあったように思う。
出身大学のトイレがデパートかホテルのようにきれいになっていたのに
驚いたことがある。

ホイックニー展の帰りに、清澄白河から新橋までバスに乗った。
その時つくづく「東京ってきれいな街だな」と思ったのだ。

スカイツリーがずっと映っているのが
パリだったらエッフェル塔のようで。



本を読みながら、眠くなったら眠る。
悪夢も見ないようだし、ことさら夢などで
過去を追体験させようとはしない。

「今度は今度」「今は今」と平山は言うが
「過去は過去」という言葉もそこに隠れているのだろう。
父親との決別があったことを匂わせるが
平山の中では既に解決済みであるかのようだ。
「この人には二度と会わない」と決めて実行する。
その相手が親だったのだ。
世の中にはいろいろな世界があり、
混じりあわないこともよくあるのである。

木を友達のように思えるかどうか
そんなことも、世界を違えるひとつの分かれ道なんだろうと思う。




スカイツリー
浅草に住んでいるから東京タワーの出番もないのか。

石川さゆりの「朝陽の当たる家」良かったな

ことさら「言挙げ」しない分
よけいに「さまざまなこと思い出す桜かな」(芭蕉)なのである。
冬だけど。
しみじみと、良い映画だった。



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