【超短編小説】細(その12)#140字小説
君に出逢ったころ君の繊細さが瑞々しかった。細くて華奢な小指で、口紅を整える姿が新鮮だった。時の流れは、残酷にも数多のものを変貌させる。匂い立つ女を妻に変え、子どもたちの母に変え、義娘の口煩い姑に変えた。今は介護する私をただ困らせるだけの老婆となった。そして私は頑固な老爺になった。
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君に出逢ったころ君の繊細さが瑞々しかった。細くて華奢な小指で、口紅を整える姿が新鮮だった。時の流れは、残酷にも数多のものを変貌させる。匂い立つ女を妻に変え、子どもたちの母に変え、義娘の口煩い姑に変えた。今は介護する私をただ困らせるだけの老婆となった。そして私は頑固な老爺になった。
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