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【やまのぼ ブックレビュー No.13】「新しい分かり方」佐藤雅彦・著<中央公論新社>を読んだ。

<やまのぼ>は、一匹オオカミだ。古希を過ぎた老いたオオカミ社長だ。
かつて、勤めていた会社を、不惑であるべき四十歳で、退社して柄にもなく「起業」したのだ。創業当時は、サラリーマンの年収を越える稼ぎがあったが、創業以来三十余年。コロナにも叩かれ、いま手にあるものは借金だけだ。

夢もなくショボくれていた職場から、三十歳のとき運よく超のつく優良企業に転職。それまでとは別世界のように、働いたというより働かされた。超どころか、そこの内実は世間の「一流企業」という評判とは、裏腹に「タコ部屋」同然だった。正真正銘のブラック企業のシニセだった。

でも、いい上司に巡り合えて、チャレンジ心を刺激され、独立へと舵がとれたのだ。

その上司とは、高名な某商社よりヘッドハンティングされたN部長である。とても、厳しぃひとだった。部員はいつもピリピリしていた。そのN部長語録はいまでも、たくさん頭に残っている。

そのうちのひとつが「分からないことがあれば、分けてみること!」である。文字通り、分かるところまで細分化しろという教えだった。

そんな思い出に導かれるように、本書を開くことになった。

本書の帯文には、<「分かる」って、こんなに気持ちいいことか。「伝える」には、こんな方法もあったのか。メディアの枠を超え。常に新しいコミュニケーシヨンデザインを提案してきた佐藤雅彦が、想像をはるか上を行く「分かる」「伝える」をお見せします。そこには、新しいあなたがいる。>とある。なんって!ワクワクさせるのだろう!

N部長の教えの通り、「分けて」「分けて」そして「分けて」分かろうとする。しかし、著者のいうように、「自分の中に新しい体系を作り始める」ことに苦労する<やまのぼ>である。

「あみだくじが重複しない理由」や「ティシュペーパーの箱の中の対角線を、箱を壊さずに測定する方法」、さらには「台秤の皿がいつも水平な理由」など、分からないんだけど、興味を惹かれることがページに溢れている。

老若男女が楽しめる良書と言えるだろう。


<やまのぼ>のお薦め度 ★★★★☆
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<やまのぼ>のお薦め度規準
(独断と偏見です。あしからず)
★★★★★ 蔵書にして読み返したい
★★★★☆ 読みごたえありでお薦め
★★★☆☆ そこそこ読みごたえあり
★★☆☆☆ 時間つぶしにはなります
★☆☆☆☆ 本屋での立ち読みで充分
☆☆☆☆☆ 時間の無駄使いだけです


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