スパムメールというものは昔からさほど嫌いではなかった。 なぜか私はスパムの送り主に性別を男だと勘違いされており、「バイア〇ラがセール中！」とか「ありなです♡えっちなことしよ」的なものが携帯電話のアドレスに度々届いていた。邪魔だが基本的にリンクを踏まなければ無害だし、なにより笑えるので、気が向いたらスパム報告する程度で、何の対策も講じずに野放しにしていた。いつだったか、携帯のアドレスを変えたらそれきり来なくなってしまい、バイ〇グラ屋さんやありなたちは今何をしているのかしら、とう
私はしばしば自分の感情の「どうしてそう思ったか」を深掘りする遊びをする。玉ねぎの皮むきとも人は言う。今日も夜更けに皮をむく。 さて大好きだった元彼のことを考えている。 顔も体も好みじゃないし(ごめん)話はつまんないし(ごめん)私にはよく分からん激務の仕事してたし(ごめん)服装はダサいし(ごめん)高校で運動部入ってないし(私は高校で運動部やってた奴は信頼できるという謎理論を持っている。完全な偏見でほんとごめん)、話も波長も価値観も合わなくて、あんまり、いや全然好みでは無く、出
後輩指導が不調だ。 ここ2、3年の間、後輩たちが成長している様子があまりない。いや、こう書くのは彼らに失礼だ。勿論彼らは成長しているし、よく頑張っているのだけれど、なんだか私(とボス)の指導が上手くいっていない。 私は博士課程の学生であり、ボス(教授)の手先として、修士と学士の学生に日々ニラミをきかせる仕事を請け負っている。 後輩の実験の進捗を聞き、ボスへの進捗報告に同席してボスからの指示を一緒に聞き、実験系を組み立て、実験の様子をチェックする。 また、当研究室はプレゼンテ
私は研究職を断念し、一般企業(非研究職)に就職を決めた、博士課程4年目である。筆頭論文ゼロでオーバードクターしてしまった。 勿論、進学を決めた当初はこんな予定ではなかった。もりもり業績を挙げ、3年でサクッと学位を取って、ゴリゴリのアカデミックポストを目指すつもりだった。1年目には調子に乗って自分用のピペットマンを買い揃えていた。が、私は来年、自前のピペットマンを持った28歳新卒社員になってしまう。 博士進学したのは純粋に、ただ研究が面白かったからだ。研究は面白いが金銭面に余
すっかりと一人でいる生活が定着した私だが、誰か他人と暮らしたいなあ、とは今も思う。 そういえばかつての元彼と同棲していた頃のことを思い返すと、家族以外の他人と暮らすことは自分にとって良い経験だった。冬場の寒さが和らいだとか、寂しくなくて良いとかそういう利益に加えて、人間としての成長に繋がった。 他人との同棲から得たことの中で、特に大きいのが「他人に寛容になれたこと」である。以前の私を知る友人たちに言わせると、人間性が「めちゃくちゃ丸くなった」そうだ。 元彼と同棲する以前の私
恋愛あるいは性愛絡みで異性と関わらなくなってはや半年になるが、また最近思うことがあったので記録していこうと思う。 私はアカデミアに懲りて研究者への道を諦め、普通の社会に出ようと現在就職活動中なのだが、面接に備えて企業についてネットサーフィンしていたら、企業名で「恋愛四季報」なるサイトがヒットしてしまった。 私はただ就活していただけなのに、やれ「合コンがつまらない」だとか「おごってくれない」だとか「プライドが高い」といった文言が羅列されているのを見せられ、就活で気が立ってい
私は去年10月頃に悲しいことがあって以来、もう半年ほど考えることを避けてきた。その結果がいよいよ脳に来た感覚がある。つまり、だいぶと阿呆になってきた。 考えることを避けたのは、車を運転している時だとか、音楽を聴いている時だとか、一人でPCに向かって作業している時だとかに、ちょっと気を抜くと不意に悲しいことがフラッシュバックして泣き出したりしてしまうからだ。ひぇ、メンヘラこわ～と自分でも思っているので引かないでほしい。 私は元々、考える作業の最中にふと思考が空想に飛んでしまう
シンエヴァ観て、プロフェッショナル仕事の流儀の庵野さん回を観て、もう一度シンエヴァを観たので、ここに感想を記したい。＊ネタバレあります。 長々と書くことは特になく、ひとこと「終わってよかったね！！」 もうひとこと「安野モヨコさん偉大すぎ！！」 以上の2点が私の感想である。 これからつらつらとエヴァの思い出と所感を述べる。私がテレビシリーズの新世紀エヴァンゲリオンを観たのはたしか大学1年の春休みのことだった。暇だった私は、カーテンを閉めたワンルームの部屋に篭って、TSU
ここ2～3年くらいで、ラボに入ってくる学生（大学4年生）の質が一気に変わってきた感覚がある。 「最近なんだか失礼な学生が多いなあ」と思っていた。先輩である私へはまだいいとして、ボスの教授や研究員さんへの態度で冷や冷やする場面が大変多い。 目上の人への態度とか縦社会での振舞いなんていうのは、私の世代では高校までの部活で教え込まれることが多いので、この子たちは中学や高校で部活をやっていなかったのかなと思い、「部活やってた？」と聞けば、ゴリゴリの運動部出身だったりする。 「おいおい
8月、私は中古の一眼レフカメラを買った。 これがとても良い買い物だった。 その頃の私はやるべきことがちっとも進まず、将来の先行き不安、収入減、一寸先は闇みたいな状態で、全てのやる気というかもはや生きる気を失っていた。 以前は文章を書くのがささやかな趣味だったが、もう長い間書き物もしていないしこれといって書きたい事柄もなく、たまの休日に恋人に会えるのが私の唯一の現実逃避の時間だった。 そんな中、お金が無いにも関わらず何を思ったか中古のAPS機の一眼レフカメラを買った。Cano
世間の皆様は聞き飽きているであろう話をする。 その出来事を言葉で表すのはとても簡単なことだ。「恋人と別れた」。 それ以上でも以下でもない、誰にでも起こりうる、世の中に溢れかえる凡庸な何の面白みもない悲劇。本人にとってはこっぴどい痛手なのに、他人にとってはくすりと笑えすらするような、そんな些細なものである。 今回は非常にこっぴどかった。 前回恋人と別れたときは「キッチン」という日記をnoteに書いたが、あの時はあれはあれでクサクサしたもののあまり辛くはなかった。今回はその20
私は去年浮気をした。懺悔というか、頭の整理の為に書いてみる。 元彼と別れた理由が元彼の浮気未遂だったこともあって、浮気する人は絶対無理、というかその行動がまず理解できない！と思っており、自分がするとは微塵も考えていなかったし、する気もなかった。が、実際のところ私は浮気をした。しかも全く罪悪感なく。 去年、マッチングアプリで出会った人とお付き合いをしていた時のことだった。付き合おうと言ってくれたのでOKをした。最初は嬉しかったものだが、お互いあまり好きでは無い状態で交際を始めた
私は村上春樹の作品を避けて生きてきた。 所謂食わず嫌いである。 食わず嫌いというのはなんだかんだで理由があったりする。私は納豆が食わず嫌いだが、それは一応理由があって、家族が食べているときの匂いを初めて嗅いだ時にすごく臭く感じて、「食べる？」と勧められてもそれがとても口に入るものとは思えず、以来避けるようになったのだ(納豆好きの方ごめんなさい)。 村上春樹も同様で、納豆の匂いを嗅いだ時と同じように、村上春樹の匂いを少し嗅いで苦手になってしまった(村上春樹好きの方ごめんなさい
また死期を逃してしまった。お盆休みが明けて一週間経った土曜日の朝、エアコンの風がじかに吹き付けるベッドの上で目を覚まして真っ先にこう思った。 お盆休みはこのご時世だから老いた両親や祖父母に迷惑をかけられないと帰省を諦め、同様の理由で帰省を諦めた恋人と8日間一緒に過ごした。混雑しない地域に1泊2日の旅行にも行った。海も山も川も行って美味しいお酒を飲み料理を食べた。あまりにも楽しくて夢のような日々だった。生きていてもうこれ以上幸せなことはないだろうから、このピークのうちにさっさと
そうポップカルチャーは体に悪い。 最近私はOfficial髭男dism、King-Gnu、米津玄師を聴いた。藤井風とVaundyも聴いた。鬼滅の刃とチェンソーマンを読んだ。どれも悪くないどころか、良い。髭ダンは口ずさみやすいキャッチーなメロディにボーカルのきれいな発音の日本語が聴き心地がいい。私はノーダウトが好きだな。King Gnuは技巧的で気取ったけだるさが素敵だね。私はVinylが好きだな。米津玄師はヒット満載の最新のアルバムは良いね。私はカンパネルラが好きかな。ボカロ
Twitterのアカウントを一つ消した。アカウント名をnobodyという。 そのアカウントはフォロワー0、非公開設定にしていて、ただひたすら私が自分の思ったこと、特に愚痴やら辛い気持ちを吐き出し書き連ねるだけの場所だった。 辛いことがあったときや、何もないけどただぼんやり寂しいとき、好きな人に振られたとき、あるいは異性に会ったときの感想など、家族や友達といった普段の私を知る人たちの誰にも言えないことを、ひたすら壁に向かって一人でブツブツつぶやいていた。つぶやくだけならまだしも
