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パパとママ二人で話し合うべき「出生前検査」



出生前検査の特殊性

ママ「出生前検査どうしようかな?」
パパ「高齢だし心配だからやっとけば?」

そんな会話で出生前検査をするかどうか決めていないでしょうか?

出生前検査の特殊性を理解していますか?

例えば、熱が出て病院に行く場合、医者がインフルエンザなどの検査を勧め、検査結果によって薬の処方をするかなど方針を医者が決めます

しかし、出生前検査は違います。
出生前検査という検査をするかどうかを夫婦が決めて、検査結果によってどのような判断をするか夫婦で決めます。
検査をやる以上結果が返ってきます。
その結果によってどのような判断を下すのか医者でなく夫婦に委ねられているのです。

そのため、気軽な気持ちで出生前検査をすることはオススメできません。
必ず夫婦で良く話し合って検査をするかどうか、そして検査結果をしっかり解釈しどのような判断をするのか決めてほしいです。


出生前検査でわかる病気は?

そもそも生まれつき何らかの異常を持って生まれてくる赤ちゃんは、実は3%くらい存在します。

程度や種類は様々です。
染色体の異常の病気(←これが出生前検査の対象)だけでなく、生まれつき心臓の形に異常があるなど臓器の異常や、ある程度年を取ってから症状が出てくる遺伝の病気などもあります。

染色体異常が占める割合は25%です。
逆に言うと、それ以外の75%の病気については出生前検査をしてもわかりません。



染色体の話とダウン症候群について

DNA、染色体という言葉は聞いたことがあると思います。
DNAにはその人の見た目や血液型など、その人を形作る情報が含まれています。
染色体はそのDNAを束ねて、遺伝情報を次世代に運ぶ役割をしています。

人間の細胞一つひとつを見てみると、46本の染色体があります(父親と母親からそれぞれ23本ずつ受け継いだ23対の染色体)
染色体には1番から22番の番号がついています。(それぞれ父親と母親から染色体を受け継ぐので合計2本)
もう1対は性別を決定する染色体です。

ここでダウン症候群について説明しますが、ダウン症候群とは21番目の染色体が本来2本であるはずが、3本ある染色体の数の異常です。
染色体とはDNA、つまり遺伝情報を束ねる役割をするとお話ししましたが、この遺伝情報の過多によって、見た目や臓器などに様々な特徴を有することになります。


なぜ染色体異常の話になるとダウン症候群という病気が出てくるかというと、染色体異常を持って産まれてくる赤ちゃんの中で最も多いからです。
それは21番目の染色体が一番大きさが小さい(DNA量が少ない)ため、影響が小さく、産まれてこれる数として多いためです。
(多くの染色体異常の赤ちゃんは早期に流産してしまう)

染色体異常を持って産まれてくる赤ちゃんの半分以上がダウン症候群です。そのため出生前検査を考えるにあたりダウン症候群の理解は欠かせません。


ダウン症候群にはどんな特徴があるの?

見た目の特徴があります。
発育や発達の遅れをとることが多いです。
また心臓や腸などの臓器に、生まれつき病気を持って産まれてくる場合もあります。

お母さんが産む年齢が高齢であるほど、ダウン症候群の可能性は高くなります。
例えば25歳であれば1000人に1人もいません。
これが35歳になると300人に1人くらいになり、
45歳になると30人に1人の割合と言われています。


しかしハンディキャップを持って産まれてきても、普通に学校に通い社会活動をしている人も多いです。
特に芸術などで秀でた才能を持っている方もいます。



出生前検査にはどんな種類があるの?

大きく分けて、確実にわかる検査と非確実な検査があります。

赤ちゃんの染色体をとってきて顕微鏡で見る検査を行えば、確実に診断が可能です。
確実にわかる検査には絨毛検査と羊水検査があります。
ここでは主に行われる羊水検査について説明します。

羊水の中にはお腹の中の赤ちゃんの垢が落ちています。
垢つまり赤ちゃんの皮膚から剥がれ落ちた細胞が、羊水中に浮かんでいるので、羊水を取ってくれば直接赤ちゃんの染色体を見ることができて、確実な診断が可能になります。
羊水検査とはお母さんのお腹に細い針を刺して、羊水を採取して培養検査を行い、赤ちゃんの染色体を調べます。

しかし、針を刺すことで破水したり、それが原因で流産になってしまう場合もあります。
流産のリスクは0.3%とされています。(絨毛検査の場合は1%)

また羊水検査で調べる染色体は21番目だけではないので、ダウン症候群だけでなく、別の染色体の異常が見つかることもあります。
染色体異常には数だけでなく、形の異常もあります。
本当に病的かどうかもわからないような異常が見つかってしまう場合も、念頭におく必要があるでしょう。


「そんなリスクまで取って検査したくない」という方が多いと思います。

そこで出てくるのが非確実な検査です。
お母さんの血液検査や、超音波検査、それらを組み合わせたコンバインド検査などが該当します。

・クアトロ検査(血液検査)
お腹の中の赤ちゃんがダウン症候群であった場合に、お母さんの血液の中の物質の中で、増えたり減ったりするものがあると報告されています。
それらの物質を取ってきて値を調べることによって、ダウン症候群などの確率を調べることが可能です。


・首のむくみ(超音波検査)
赤ちゃんの首の後ろの厚さを測って、ダウン症候群の確率を調べるというものです。
首の後ろの厚さが大きい場合にダウン症候群の確率が高いと報告されています。

ただし赤ちゃんの向きによっては時間がかかったり、測定する医者の技術も必要です(首のむくみを測定する資格もあります)。
また、心臓の病気などそれ以外の病気が原因でむくむ場合もあるので、解釈に注意が必要です。

・NIPT(血液検査)

お母さんの血液中には「赤ちゃんのDNAのカケラ」が流れているとされています。
NIPTとはお母さんの血液を取って、赤ちゃんのDNAを抽出して分析する方法です。
赤ちゃんのDNAの割合を調べることによって、21番の染色体が通常より多ければダウン症候群のリスクが高いとわかります。

これも確実な検査ではないのですが、検査が正常(結果陰性)であった場合に染色体異常がない確率は99.9%以上というすごい確率です。

反対に、ダウン症候群の可能性あり(結果陽性)という結果が返ってきても本当にダウン症候群かはわかりません(年齢によって確率は変わる)。
そのため、結果陽性の場合には羊水検査など確実な検査に進む必要があります。


出生前検査のまとめ

・出生前検査は赤ちゃんの染色体異常が対象で、それは全体の25%に過ぎません。逆に言うと、出生前検査をいくらやっても75%の病気はわかりません。

・出生前検査には確実に結果がわかる羊水検査というものが存在しますが、流産リスクは0.3%あります。

・リスクを取らずに知りたい人のために非確実な検査が存在します。非確実な検査の中でもNIPTは診断精度が高く、正常であった場合にはほぼ染色体異常はないと思っても良いです。ただし異常が出た場合には本当に異常であるかは年齢によって確率が変わり、いずれにせよ羊水検査など確実な検査が必要になります。



なぜ夫婦で話し合う必要があるの?

大前提として、妊娠中にお腹の中の赤ちゃんに染色体異常があるかどうか知りたいかどうか?があります。
知った上で出産の準備をしたいという人もいるだろうし、結果によっては妊娠継続を考えるという人もいると思います。

ここで重要なのが、その決断は夫婦の話し合いのもと行われる必要があるということです。
二人の赤ちゃんであり、赤ちゃんの一生を決める選択になるので当然です。

正解なんてないんです。
100組の夫婦がいれば100通りの考え方があって良いと思います。

検査を受けるかどうか、検査の結果によってどのような選択をするのかよくよく話し合って欲しいです。

もちろん検査前提でなく、カウンセリングだけ受けることも可能です。
まずはカウンセリングを受けてみてから、夫婦の話し合いの場を設けても良いと思います。


まとめ


① 出生前検査の特殊性として、やるかどうかも結果の判断も夫婦に委ねられています。

② 産まれつき異常を持って産まれてくる赤ちゃんは全体の3%。その3%の内訳を見ると染色体異常が25%。出生前検査はこの25%を対象にしています。

③ 染色体異常で最も多いのがダウン症候群です。ダウン症候群は見た目の特徴や発達の遅れなどがありますが、秀でた才能を持って活躍している人もいます。

④ 出生前検査の方法には確実な検査として羊水検査などがありますが、流産リスクが高いリスクを伴う検査です。

⑤ お腹の中の赤ちゃんにリスクを取らずにする検査として、血液検査や超音波検査があります。中でもNIPTは、結果が正常であった場合はほぼ正常です。しかし結果が異常であった場合には羊水検査に進む必要があります。

⑥ 妊娠中にお腹の中の赤ちゃんのことを知りたいか、知った場合どのような判断をするのか夫婦でよく話し合い検査を受けて欲しいです。

2024/9/2時点のエビデンスを元に作成しています。

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