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医師と僧侶のカケコミ相談室 第11回 形式に捉われない生き方を選ぶ

脳神経外科医の道下将太郎と、京都「両足院」副住職の伊藤東凌が、みなさんからのお悩み・質問・疑問へ回答する「医師と僧侶のカケコミ相談室」。
カケコミをはじめた経緯、無料公開のQ&Aはこちらです!

お盆休みがやってきました。お盆は、そもそも先祖供養をする行事のことですが、現代では夏の長期休暇といった趣が強くなっています。
私も子どもの頃は父方の田舎に帰ってお墓参りをしたり、親戚と食事をしていた記憶がありますが、祖父母が亡くなってからはそれもめっきり無くなりました。

お盆の時期になると祖父母を思い出します。おじいちゃんお手製の竹馬に乗って遊んだこと。いつもニコニコして「めんこい、めんこい(東北弁でかわいい)」と抱きしめてくれたおばあちゃん。先祖供養のようなことはできていませんが、心の中で「おじいちゃん、おばあちゃんありがとう。私もひ孫たちも元気にしています」と呟いて手を合わせると、心がじわーっとあたたかくなるのを感じます。

ライフスタイルが変わってお墓参りなどの先祖供養ができない、そもそも帰省もあまりできていないという人は、やはり多いようです。今回のQ&Aでは、お墓や供養のトレンドについて触れながら、そんなお悩みに東凌さんが答えてくれました。読んで頂くと、心が軽くなると思います。

アプリ「InTrip」では、今週はお盆にちなみ「命の境界線はどこにある?」という記事を配信。命の位置づけや範囲、命についての倫理観が時代と共に変化し続けていることなどをお伝えしています。今週は終戦の日もあり、命、人類、平和など大きなテーマに思いを巡らせるのに最適なとき。限りある命をどう使うか、どんな未来を描いていきたいのか、改めて自分と向き合っていきたいですね。

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それでは、今週のQ&Aをお楽しみください!


Q1 実家から、祖父母の法要やお墓参りの連絡が来ますが、東京住まいでなかなか帰省できず、先祖供養が出来ていません。親が亡くなった後も、おそらく同じような状態になります。このままでいいのかと疑問に思いつつ、墓を守るために実家に戻るつもりもありません。お墓や供養への向き合い方、アドバイスが欲しいです。

Q2 同じ部署の女性が、メンタル不調や子どもの用事を理由に休みがち。彼女が休んだ分の仕事は私がフォローし急な残業になることも。ダイバーシティや子育て支援などで働きやすくなるのは賛成ですが、一方で一部の人がその負担を負っています。お給料も変わらないことを考えるとモヤモヤしますが、私の心が狭いのでしょうか?

Q3 親しい友人が乳ガンと分かりました。手術や抗がん剤は使わず、サプリや波動療法などで治療したいと聞いて、知識のない私は何も言えませんでした。科学的な治療をせず癌が治ったというのは本などで読んだことがありますが、実際そういうケースは多いのでしょうか?病状が進む前に手術などに踏み切ったほうがいいのではないかと心配です。

Q4 リアルな恐ろしい夢を見て、起きた時どっと疲れていることがあります。夢の中で感触を感じたり、色もはっきりしています。大きなストレスを感じている自覚はありません。夢は見ない方が健康にいいのでしょうか。いい夢を見る方法はあるのでしょうか?


Q1 
実家から、祖父母の法要やお墓参りの連絡が来ますが、東京住まいでなかなか帰省できず、先祖供養が出来ていません。親が亡くなった後も、おそらく同じような状態になります。このままでいいのかと疑問に思いつつ、墓を守るために実家に戻るつもりもありません。お墓や供養への向き合い方、アドバイスが欲しいです。

A1
「個人で墓を持つのは、現代の生活様式に合っていません」東凌

地方の実家を離れて都心で仕事をする人は多く、相談者さんと同じ悩みを持つ人は増えています。長男長女が墓を守るという風習が根強い地域もあり、それが出来ないことに罪悪感があるのかもしれませんね。

現在のように個人がお墓を持つのが一般的になったのは、江戸時代中期頃からで、それまではお墓の前で手を合わせる供養はしてませんでした。そして最近では、埋葬方法や供養がまた変化してきています。お墓や供養にもトレンドがあるのです。そんな背景を辿りながら、現代のお墓や供養との向き合い方について、考えてみましょう。

個人がお墓を持つようになるまで、日本では領地ごとにまとめて遺体を埋葬するのが一般的でした。山の一区域を埋葬場所にして、亡くなった人の遺体を並べておく自然葬です。そのため、埋葬された場所まで足を運んで手を合わせる供養は行われておらず、遠い場所で手を合わせて拝む「遙拝(ようはい)」というやり方がとられていました。

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