読書記録『俳句いきなり入門』

『俳句いきなり入門』千野 帽子/著 NHK出版新書

 本書は「句会があるから俳句を作る」をスタート地点にして、様々な俳句やその入門書を取り上げながら、基本的なルールと作句法を学ぶ入門書。
先に読んだ『やくざときどきピアノ』と同じく、この本も書いてある一言一言にパワーがあって読んでいて面白かった。
事あるごとに

「君、俳句向いてないねえ。やめたほうがいいよ」
「君、俳句下手だねえ。やめたほうがいいよ」

 って、私が俳句を作るのをやめさせようとボコボコにしてきたんだけど、
「いや、もうちょっと頑張ってみたいんです」
 と言いつつ顔を腫らしながら読んだ。顔はパンパンになってしまったけれど読んでよかった。自分の中で悩んでいたことの答えが書いてあったから。それは著者がこの本で伝えたいこととして繰り返し書いている

「言いたいことがあるときには俳句なんか書くな」

 この言葉にはすごく納得がいった。俳句を作っているときに感じる違和感とか、川柳に感じる窮屈さとか、短歌のほうがのびのび作れることとか、悩んでいたいろんなことに答えが見つかったような気がした。そもそものルールが違うんだもの、同じように作ってたら上手くいかないわけだ。

 私は、ともかく自分のこと聞いて!聞いて!聞いて!というところをスタートに文章を書いてきたので、それとおんなじやり方でまず俳句を作ってみたんだけど、文字数17文字、さらに季語も入れなきゃいけないので、それで自分のこと言いたいことを盛り込むと上手くいかない、もしくは出来てもこの本で言われているひとりごとポエムになるだけだった。

 川柳は季語から解放されるけれど、文字数はそのまま。だから同じように自分のことばかりを句の中に込めようとすると俳句と同じ結果になってしまう。むしろ俳句よりもポエムができやすい。

 それに引き換え、短歌はとても自由な感じがする。文字数も多いし。でも自由だからこそ、バシッと決まる句ができにくいような気もする。だから、できた句を見て思う感想が

「で?」

 の一文字になることが多かった。それもひとりごとポエムの延長にその句があったからかもしれない。

 俳句でも川柳でも短歌でもこれいいなー好きだなーって思う句は読んだときにこちらの想像力を刺激する。閉じていなくて世界に向かって開いているような気がする。それを通して私たちはそれまで知らなかった世界を知ることができる。5月の半ばくらいから毎日俳句と川柳と短歌を作っていて、前までは短歌がいちばん楽しくて、俳句と川柳はイマイチだった。この本を読んだ今は俳句と川柳が楽しくなってきた。引き換えに短歌が少し難しく思えてきたけれど、作っていて楽しいのには変わりない。
 もちろんこの本に書いてあることがすべて正しいというわけではないのでしょうけど、分かりやすいし何より面白いので私には合ってました。紹介されていた入門書も買ってみようと思います。
あー、面白かった。

今日はここまで。
読んでくださってありがとうございます。
のび

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?