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感想

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#漫画

『ダンジョン飯 全14巻』九井諒子(著)

完結したので一気読み。ギャグメインでありながら、まさかここまで綺麗に畳むとは、と感動。文句なしに傑作。最後の一コマまでギャグなのが美しい。 お話は、魔法やダンジョンがある世界、レッドドラゴンに敗れた主人公一行は、ドラゴンに食べられた仲間ファリンを一刻も早く蘇生させるため、ダンジョン内の魔物という超ゲテモノを食べる覚悟をして下層へ挑む。しかし主人公ライオスは昔から魔物が大好きで、いつかは食したいと思っており…。 魔物食が全体を通したテーマ。動植物だけでなく、ミミックや動く鎧

『第三惑星用心棒 第3巻』野村亮馬(著)

3年強ぶりの新刊! 2023年末、作者ブログでの生存報告も止まってて心配してたので余計に嬉しい。 そして内容がバイオレンスで慄く。1・2巻、わりとほのぼのしてたのに、いきなりミサイル発射されて吃驚だよ。 2話ともボリューミーで情報量が凄い。隅から隅まで大満足。4巻が待ち遠しいけど、安すぎるので値上げしてほしいな。倍でも割安なんよね。 第5話深海8500mから戦略ミサイル打ってくるロストボーイ(迷惑兵器)に対応するお話。 ミサイルへの手慣れた対処と、エルシーが全く危機感をもた

『SFマンガ傑作選』福井健太(編)

傑作選というより、名作選。大御所が前提だし短編だしでカタルシス薄め。 巻末のSFマンガ史が圧巻だったので、余計に真の傑作選が読んでみたかった。挙げられたやつ、近代のはほぼ読んでたけど、昔のは全然読めてない。 以下好きなのピックアップ。 松本零士「ヤマビコ13号」 先日亡くなった松本零士の短編は、人生の全ログを残し裁判に使用する腕時計型装置のお話。被害を受けて裁判を起こすも、自分の些細な罪が暴かれ…。 技術は進んでるのに人間が貧困で苦しんでるのは他作と同様で面白

『いちげき(全7巻)』松本次郎(著)永井義男(原作)

ドラマ化のニュースを見て読み返す。 本作、パワー原理主義なので役者陣見て笑ってしまう。ゴールデンカムイもこんな感じになるんだろうね。最近の大河は血の一滴も流れないので、これもどうなるやら。 この漫画で一番好きな所はやはり剣戟シーン。圧倒的パワーとスピードでピュンピュンと手や指、首や目玉が飛んでゆく。グロいので耐性がない人は要注意。試し読みの第1話で片鱗(本番はこんなものではない)が体感できるので、ぜひチェックして欲しい。 無限の住人やシグルイの系統なのだが、特筆すべきは剣

『バーナード嬢曰く。第6巻』施川ユウキ(著)

安定の面白さ。今回は本の内容がどうこうというより、皆のやりとりがメイン。いつになく繊細で青春寄りかな。 青春で思い出したが、遠藤はさわ子が好きだし、長谷川は遠藤が好きだったはず。そのあたり完全に放置だが(最近神林との友情に力が入ってる)、文化史のくだり、長谷川の策略だったのかなと邪推してしまった。 とはいえ、本の含蓄も素晴らしく、知ってるネタが殆どなかった。もうこの子達、日本の読書家上位0.1%に居るのは間違いない。完全に格上。なので笑うと失礼になるような気すらしてくる。

『たそがれにまにあえば 赤井さしみ作品集』赤井さしみ(著)

ネコミミメイドとふしぎなへびが、未知の世界へご招待。 あなたもどこかで見た事あるかも? かわいいネコミミ女の子に、よく喋るへびと、奇妙なうねうね。 ゆるやかな想像でつながっていく、脱力系ショートショートコミック! 個人誌を中心に活動する作家・赤井さしみが書き連ねてきた掌編が、待望の単行本化です。 可愛さとナンセンスに極振りしたショートショートギャグマンガ。twitterで見かけた人も多いのでは。本書はそれらがまとめられ、さらに描き下ろしが加わっており、ファン必携の一冊。紙版

『虎鶫 とらつぐみ -TSUGUMI PROJECT- 第1巻』ippatu(著)

はるか未来──。 高放射線量下で異形の生物たちが跋扈する、永きにわたり人の住まぬ“魔境”となった地、「旧日本」。無実の罪で妻と子から引き離され死刑囚となったレオーネは、「成功か死か」の極秘任務を命じられる。そこでレオーネは少女や巨獣など数々の異形に出会う……。 twitterで1コマみただけで一目惚れ。読んだ結果、やはりドストライクであった。廃墟は良いし、つぐみは可愛いし、おっさんたちも激渋。特に頭の形が好き。 ただ、今の所主人公はつぐみ(表紙の鳥足女の子)ではなく、死刑

超美麗『星界の紋章 全8巻』米村孝一郎(作) 森岡浩之(原作)

天翔ける迷惑が宇宙へ飛翔する! 狂気の逃走劇の果て―――ジントとラフィールは【棺桶】に乗り、惑星クラスビュールからの脱出に成功する。宇宙に帰還した2人を出迎えたのは【惑乱の淑女】スポールだった。シリーズ累計200万部突破の名作スペースオペラ、コミック版、ついに完結! ラフィール、そしてジントの運命は――!? 『ポリフォニカ・ザ・ブラック』以来、米村孝一郎ファン(氏の描く美女は本当に眼福)なので原作未読で手に取ったが、SFとしても大傑作。一つの文化、言語を丸々作り上げる森岡浩

『うみそらかぜに花(1)』大石まさる(著)

うみは洋々とそらには満点の星が…片田舎に住むカナメとアミは学校の文化祭準備に勤しんでいた。ぶつかり合いながらどこか近しい2人の関係は…!?大石まさるが描く叙情的思春期青春譚! 中学生男女のママレード・ボーイ的同居と中学校生活が面白おかしく、キュートなタッチで描かれる。恋愛成分ほぼゼロでギャグ寄り、わちゃわちゃと楽しい部分が濃縮されており、ただただ幸福。とにかくひたすら絵が可愛い。背景も全コマすごい。そしてキャラが皆明るくてハツラツとしており、読んでるだけで笑顔になる。非日常

『つるまき町 夏時間』コマツシンヤ(作)

終業式の日、教室に忘れられたホテイアオイの精を助けたことをきっかけに植物と話せるようになった小学生のみつる君。 それ以来、つるまき町ではちょっとヘンテコな事件が起こるようになって……。 ノスタルジックであたたかな世界観が魅力の俊英が描く、夏休みの物語。 壁に「蟹と和解せよ」なんて看板がかかってる、いつもどおりのコマツシンヤワールドなのだが、主人公の男の子が神域の時計草を持ち帰り、植物の暦を乱してしまったために、植物たちが街を埋め尽くす事態に。アニメ映画のような、ひと夏の冒険

『8月のソーダ水』コマツシンヤ(作)

海辺の街に住む少女・海辺リサの周りは、いつも不思議で素敵なできごとがいっぱい。 浜辺に流れ着いたへんてこなバイオリン、うっかり空から落ちてきたゴーグルの少年、 蜃気楼の彼方に浮かぶ幻の都市……。 清涼なイメージがソーダ水のようにはじける表題作『8月のソーダ水』、そして「高知新聞」に連載されたナンセンスユーモアマンガ『うわのそらが丘より』を収録! 8月に読みかえそうと思っていたが見つからず、9月1日に掃除してたら出てきた。まだまだ暑いのでセーフ。 海辺の街での不思議で優しい

『午后のあくび 第2巻』コマツシンヤ(作)

この街の日常は、当たり前に奇跡。 泡のように生まれては消える、はじめてなのにどこか懐かしい景色。 高原で小さな雲を売るおじさんのお店、 リスが髪の毛をカットしてくれる美容室、 夏の日の夜、コップの中ではじける小さな花火…… ひび野あわこさんが暮らす街は、いつもちょっとだけ不思議だ。 コマツシンヤのおくる、地上から5cmだけ宙に浮いた、非日常な日常系ショートマンガ! 引き続きふんわりとしたファンタジー世界が素敵で幸福なのだが、1巻で出てきたゲストキャラやアイテムが再登場すると

『午后のあくび』コマツシンヤ(作)

毎日がちょっとフシギ。毎日がきっとステキ。 ヘンテコなことがあぶくのように湧いてくる、ここは白玉町。 この街に住むOLのひび野あわこさんの“うたかたの日々"を綴った、 心にすっとしみこむ、キュートなショートマンガです。 「PHPスペシャル」での人気連載が単行本化! 描き下ろし作品4話に加えて、おまけマンガ「Panna & Cotta のんびりな一日」も収録。 1話数ページのショートショート集。もうただただ可愛らしい。ファンタジーな展開、オチも素敵で、1ページ毎にニヤニヤして

『キヌ六(全2巻)』野村亮馬(著)

いつとも知れない未来社会。高度に機械化された都市の飲食店で働くサイボーグ少女「六」の前に、一人の少女「キヌ」が現れた。「火星人類」を自称し、武装したエージェントに追われるキヌの正体とその目的とは? 若手SF作家の注目株・野村亮馬が挑戦する、血と硝煙渦巻く脱出行! ベントラーベントラーとは打って変わって、バイオレンス・アクション・SF。全身義体の少女(ラーメン屋)と地球生まれの火星人類少女がいろんな組織とドンパチやりながら火星目指して駆け抜ける! 割と躊躇なく殺し合うし、少