記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

映画 #7 「アナザーラウンド」

人生初のミニシアターでの視聴。これまでシネコンでしか映画を見たことがなかったため、詳しい後輩にあれこれ教えてもらいながらシアターと見る映画を選んで臨んできた。とある高校教師4人を中心とするデンマーク映画。

教訓的ではない作品

アルコールが鍵となる作品ではあるものの、個人的には決してよくある「酒は飲んでも飲まれるな」といった教訓的な映画ではないと考えている。

何か辛いことがあった時お酒に逃げたいときだってある。気のおけない仲間と飲んで楽しめることもある。お酒が入っているからこそ打ち明けられることもある。飲んだ結果後悔することだってもちろんある。

そんなお酒にまつわるいい面も悪い面もひっくるめた色々な面を本作ではマーティン(マッツ・ミケルセン)を始めとするキャラクターたちが見せてくれた。そしてそれら見た上でどう考えるかは見ている観客側にゆだねられているような作品だなと感じた。

「期待通りにいかない」人生とどう向き合うか

端々に出てくるキルケゴール(ちなみにキルケゴールもデンマーク出身の哲学者)の哲学書からの引用。

その中でも特に心に残っているのが、劇中登場する生徒がキルケゴールについて問われる試験の際に答えた回答。

「失敗した後、自分の不完全さを認めること。自分や他人を愛するために」

この一節が観客に一番伝えたかったことなのではないかなと感じた。

現実世界では、物語と違って基本的に期待通りにいかないことのほうが多い。だが、それに対してすべて悔いて、落ち込んでいたら一歩も前に進めないし、自他の事がどこまでも嫌いになってしまう。その中で「不完全である」ことを認めることは簡単にできるものではないが、とても大事なことであると同時に、認めることでものごとを肯定的に捉えられるようになるのではないかなと。

北欧の至宝 マッツ・ミケルセンの魅力

本作では冴えない教師/父親の側面、お酒の力で面白い授業をする教師の側面、お酒に飲まれてアル中になりかけの側面、などいろいろなマッツ・ミケルセンを見ることができたなーと終盤で思っていたが、一番最後のダンスシーン(マッツは若い頃ダンサーだったそうな。)で完全に心を持っていかれた。

最終更新:2021/11/15

この記事が参加している募集

#映画感想文

66,844件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?