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不登校エッセイ#12 七夕飾りを捨てて後悔した話

息子の部屋の整理をしていたら
古い七夕飾りが出てきた。

折り紙でつくった
織姫さまと彦星さま。

今から13年前。

残業でヘトヘトの身体をひきずって
保育園に迎えに行くと先生から告げられた。

「七夕飾りを作っていたんですけど
○○くんは途中で飽きちゃったみたいで。
明日飾るので家で作ってきてください」

えっ! 今から?

時刻は夜の8時。

保育園から自宅まで電車で1駅。
急いで帰ってお風呂に入れるだけでも
9時はまわってしまう。

「わかりました……」

お風呂あがり。
延長保育で疲れたのか息子はウトウト。

「寝ないでね!七夕飾り作らなきゃ!」

「ヤダ! 作らない!」

「お願いだから一緒に作ろう!」


そうやって無理やり作った織姫さまと彦星さま。

懐かしいよりも先に
ツラかった記憶がドンドン出てくる。

「もう捨てよう」

イヤな記憶を振り払うようにゴミ袋に入れた。


7月7日。
ふと、手放した七夕飾りが頭をよぎる。

小さい息子が眠い目をこすりながら折った
織姫さまと彦星さま。

「取っておけば良かった……」

後悔しても戻らない。

「ごめんね」

記憶の中の2人が微笑んだ気がした。

「ありがとう」

小さかった息子はひきこもりニートになったけど今日も元気でいてくれる。

来年の七夕も元気に迎えられますように。

天に向かってそっと手を合わせた。



#不登校エッセイ

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