ベトナムで1週間過ごしてみた!
実は、6月29日~7月4日の深夜までベトナムへ飛び立っていました。
完全なプライベート旅行ではなく、私の本業でもある『理学療法士』という職種がベトナムではどの様に機能しているのだろうか?
日本の医療制度とベトナムの医療制度の違いや、国民一人一人の健康に対する意識や文化・風習がどのようになっているのか?
異文化に触れてみたいと思っての活動でした。
JICAのような大きな組織に属したわけではなく、職場関係で繋がりのある方から誘われて参加したのがキッカケでした。大きな組織ではないですが、素晴らしい取り組みをされている団体さん達でした。
『国際NGOベトナム・タイニン省の地域リハビリテーションを支援する会』
上記から過去の活動報告がみれると思います。
今回は活動場所を移すこともあり、リハビリ支援ではなく、その地域の状況を情報収集して病院との交流を深める事が主となっていました。
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『ベトナムに降り立って知ったこと』
そもそも環境やライフスタイルが違うから驚くことは当たり前なんだけども…(笑)
自分にとっては何もかも新鮮に感じれる世界だった。
・クラクションは「存在に気付いてよ~」のアピールだから誰も動じず、鳴らすのが当たり前
・基本的に信号がないから、横断歩道を渡るのも命がけ
・バイクは3~4人乗りでもお構いなし
・男性は基本的に上半身裸か腹を出して過ごすwww
・仕事の昼休みは2~3時間(だからベトナム人の朝は早い)
・ジュースやコーヒーは基本的にクソ甘い…
・物価が安い!(1000円あれば1日3食は余裕)
野菜トッピングし放題この量で200円するかしないかwww
幻想的な世界だし、完全に別世界!
あげればキリがないけど、とにかく自分の中の常識が軽く覆された(;^ω^)
カメラ好きの僕にとっては観光地巡りは最高のひと時だった…(笑)
観光地はとても良い所ばかりなんだけど…
医療の世界を覗くと、まだまだ不十分で必要な所にまで手が届いていない状況がかなり目立った気がした…(日本も完璧ではないけども)
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『ベトナムでは医療保険に入っていない人がほとんど』
貧困により、保険料が支払えない人ばかりで、富裕層は個人保険や自費でサービスを受けたりしているとのこと。
そもそも、生活保護という国から支給される制度はベトナムにはないので医療を十分に受ける事が出来るのは限られているらしい…
そら格差が生まれるのも無理ないわ…と実感…
介護保険サービスや医療費の援助に関しても無いに等しいのだから、いかに日本という国が恵まれてて住みやすい国なのかが痛感した。
ベトナムの中でもトップクラスで大きい私立病院では、慈善活動に使える基金が膨大にあるので(何兆円クラスらしい…)、貧困層への治療など技術提供サービスは行ってくれているみたい!
※血管内治療や移植手術など検査器具も最先端らしいよ
でも、この支援はあくまでも短期的な治療(手術など)が対象でリハビリに関しては技術支援は行っていないとのこと…
病院によっては最先端医療を扱っていたりとレベルは低いわけじゃない…
ホテルみたいな病院で、中も最先端!って感じがするほどしっかりしてた!
でも、現地のリハスタッフと話が出来たわけじゃないけど、個人的には話をしていてICFなどリハビリテーションの概念に関してはあまり浸透していない気がした。
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『ベトナムのリハビリテーションとは?』
「リハビリテーションの概念が浸透していない」と感じるのは何故なのか?を説明していきたい。
①機能的アプローチにこだわっている
別に機能改善のリハビリが悪いという訳じゃない。むしろ身体機能改善をさせる事は重要な事だとは思っています。
でも、本当にそれだけで人生は良くなるのか?絶対に元の生活に戻れるのか?そうではないはずです。疾患によっては、一生向き合わなければならない障害だってあるはず…
相手の病院側も長期の技術支援をして欲しいという話だが、具体的にどんな分野のどんな支援をして欲しいかまでは分からず…
良い例が脳卒中です。症状が軽ければ機能訓練をすれば元の生活に戻れる可能性は十分にあります。でも、中等度・重度の後遺症が残っていた場合はどうなる?
老健などの施設がないベトナムは、在宅復帰がほとんど…
介護サービスもないのに、どうやって生活するの?と疑問に思いませんか?
②家族が介護するのが当たり前
ベトナムでは、介護は家族の仕事であり、身の回りの世話は全部するそうです。我々からみると、自立心を促すのではなく、過保護気味らしくて寝たきりの様な生活を送っているそうです…
患者本人がどう感じているかは聞けなかったですが、社会復帰を目指すものが自分で出来る事も家族がやってしまい、機能改善の妨げになってしまっている。
いくら家族が多いとはいえ、お互いの人生という時間を自分の為に使えていないのでは?と不安になりました。
③リハ病院のシステムや環境が不十分
総合病院が多い中、リハビリ病院がベトナムにありましたが、気になることだらけでした。
・ベッドが高い(日本にあるような介護用ベッドではなく、高さの変えられない物)
・義足は作成できるが、装具や杖などの福祉用具が全然ない(寄付されている物ばかり)
・病院同士の連携がなく、カルテ情報を一から作るような感じ
・物療ばかりでADL室が狭く、ほとんど使われていない
・勿論、バリアフリー環境なんて考えられてない
・車いすは簡易的に作られた物ばかりで、シーティングなんてされてない
最初、「え?ここがリハビリテーション病院?」「古いとはいえ、総合病院のリハビリ病棟?」「あれ?リハ室は?」
といくつかの病院を見て回っての感想です。
クリニックや整体業などみたいな機能的アプローチに重きを置いているような感じで、在宅医療に関しては手が回ってない印象でした。
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『CBRの発展』
CBR(地域に根ざしたリハビリテーション)
詳細はこちら→https://share.or.jp/health/knowledge/cbr/
訪問したリハビリ病院ではCBRの人材育成に力を入れていました。
ICFの認識や日本のリハビリに対する考え方に共感してくれている人たちがいる事には素直に嬉しく感じた。
今はまだ、認知されていなくても少しずつ前に進んでいる事が今回の活動で分かったことだと思っています。
今はまだ、富裕層と貧困層で医療格差はあれど、富裕層へのサービスが充実していき、国もリハビリテーションに対する重要性を感じてもらえるようになってくれれば、全国民へ理念は浸透していくのではないか?と思う。
ベトナムの視察で、日本との違いをたくさん知った。
でも、ベトナムの人達は暖かく、家族思いな人が多い。家族を大事に、かつコミュニティも密に形成されている。
日本が昔もっていたものをベトナムは多く持っている。
比較するわけではないけど、コミュニティの重要性や自身の価値観に大きく影響を与えた1週間だった。
来年も活動するのであれば、是非参加したいと思っています。
もっと世界を知りたい・・・
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