第三章 バレバレな解禁!④
山下公園の天候といったら、ザ・五月晴れ!といった感じで……。
まさに、ピーカンに晴れ渡った、突き抜けるような青い空。
「最高♪チョーいい天気!」
「眠くなってきた……」
「やっぱり、珀ちゃん寝不足なのね?」
「何で、珀寝不足なの?」
「寝不足じゃないっての!こんな気持ちいい天候だったら、眠くもなるだろ」
四人で、芝生に座ったり、寝転んだり……。
「山下公園来るなら、女二人もいて、どうして弁当持ってくるとか、気遣えないかねえ」
む……。
「これから中華街行くから!お腹空いてるなら、そこで食べたらいいじゃない!」
玲に、一喝される珀ちゃん……。
「本当、いい風吹いてるね」
にゃんちの寝顔が綺麗過ぎて……。
キス、したい衝動に駆られた。
あたし、分かったかもしれない。
こういう事だ。
珀ちゃんの言っている事……。
その時は好きなんだって……。
きっと、珀ちゃんもこんな風に、女の子の好きな部分を探し出すのね。
山下公園でまったり過ごした後は、中華街へ。
少し歩くが、こんな天候なんだもの。
むしろ、歩きたい気分だ。
当然なのか、玲は珀ちゃんの腕を組んでいて……。
あたし達も手くらい繋いでみる……。?なんて……。
「あいたっ!」
サンダルを、マンホールに引っ掛けてこけそうになった。
「大丈夫?!」
そう言って、あたしの手を掴んでくれたにゃんち。
その手は……。
そのまま、離れる事はなかった。
やーん!
これが、デートってヤツなのね!
これが、彼氏と手を繋いで歩くってヤツなのね!
今にも、スキップしそうな勢いだ。
日曜日の中華街は、さすがに人でごった返していた。
もう夕方とはいえ、すごい人だ。
だいぶ前を歩いている珀ちゃんと玲。
「おーい、千尋!肉まんあったぞ!」
手を振る珀ちゃん。
「本当?!今、行くー!」
「優しいんだね。よっしいにお土産なんて」
「今日、横浜行くって言ってあるから。横浜と言えば、肉まんかなって笑」
やっと、珀ちゃんと玲の元へとたどり着いた。
「あらん♪二人とも、手なんて繋いじゃって……」
玲ってば、目ざとい。
「肉まん、三個ください」
「三個?」
にゃんちに、突っ込まれる。
「あ、いや、よっしいの家に寄ってくから、あたしと珀ちゃんの分も……」
「ああ、そっか」
肉まんの入った袋は、珀ちゃんが持った。
「どっか入ろうぜ。すげー腹減った!」
比較的空いているお店を探して、何とか入ることができた。
「何、食べるう?」
「ふかひれスープ食いたいなあ……二千円?!高……」
「珀ちゃん!贅沢しないでよね」
「分かってるよ……玲、適当に頼んでよ。何書いてあるんだか、さっぱり読めないわ」
「OK。千尋達は?」
「玲に任せる」
「オレも」
横浜はさすがに地元なのか、玲はものおじもせず、堂々とメニューの中からいくつかをオーダーした。
「ご飯食べたら、ランドマーク行こうね!夜景がとっても綺麗なのよ!」
「えー?まだどっか行くの?一日で、横浜全部回る気かよ」
「全然全部じゃないわよ。クイーンズスクエアにだって行ってないし、赤レンガ倉庫にだって行ってないじゃないの。まだまだ行ってないスポットは、たくさんあるんだから」
「玲とのデートは疲れるな……」
「じゃあ……もう帰る?」
「いいじゃん!夜景、あたしもにゃんちと見たい!」
「そうよね♪行こう行こう♪」
料理が次から次へと出てきて……。
「美味しい!」
「最高♪」
お会計。
「あ、やべ……金、足りないな。千尋、出しといて」
「はあい」
基本的に、うちの家計簿をつけるのは、一番しっかりしているよっしい。
よっしいに、今日のお小遣いは、二人合わせて三万円も貰っていた。
ああ……。
遊園地だったり船だったり、玲の分も出してあげていたのか。
あたしは、いいって言っているのににゃんちが出してくれていたから、まだお金はだいぶ余っていた。
こんなやり取りは、あたし達にとってはごくごく自然な事だったが、にゃんちや玲から見たら、不自然極まりなかっただろう……。
「……何で、千尋に出してもらうのよ?」
「え?ああ、千尋に借りたらすぐに返せるから」
「ふうん?」
にゃんちも、不思議そうに見ている……。
「珀ちゃんってば、お金の計算できないから」
こんな言い訳なんてして、逆に怪しい?!
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