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第十章 平和?!⑧

「うーん……まあ、一哉さんはさすがに帰ってくるとは思うけど。安奈の言う事は、あんまり信じない方がいいと思うよ?」

「え、どういう意味?」

「これはマジ秘密だけど……安奈、もうそういう仕事してるよ?」

「そういう仕事って……風俗って事?」

「いや……AV……」

「は?!」

「アイツ、Vやってるよ。かなり秘密の話だから知ってる人少ないと思うけど。だから借金なんか余裕で返せるだろうし、貢ぐ事もできると思うけど」

な、何い?!

あたしは……。

安奈にまた騙されたわけ?!


「い、一哉に電話してみるっ!」

出てくれるかどうかは分からなかったけれども。

「もしもし」

「い、一哉!」

「梨紗、お前どこ行ってるの?せっかく帰ってきたのに」

「ごめん……一哉……あたし、一哉の事信じてあげられなくて……」

「いいよ、もう。安奈なんかの事で喧嘩する方がバカらしいって事にやっと気付いた。早く帰っておいで」

「一哉……ありがとう」


「もしかして、オレが梨紗と一哉さんを仲直りさせちゃった?バカなオレ……」

「ごめん……拓巳!ありがとう」

にしても、安奈のヤツ。

AVでたんまり稼いでいたとは……。


「ただいまっ!」

あたしは、勢いよく愛の巣へと飛び込んだ。

「梨紗、お帰り!ごめんな、ひどい言い方して」

「あたしこそごめん。一哉の仕事を理解してあげられなかった。一瞬でも、安奈に譲ろうとした……でも、一哉だけはどうしても譲れないの」

「梨紗……さっき内勤と話してさ。安奈、しばらく出禁にしたから。だから、もう梨紗は何も心配するな」

「分かった。心から、あたしは一哉を信じる」

「あと、今更だけど……オレの事いい加減、二人きりの時は本名で呼んでよ笑」

「一誠(いっせい)♪」


雨宮(あまみや)一誠。

それが、一哉の本名だ。

本名も源氏名みたいだね、なんて言ったら怒られそうだけれども笑。

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