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こここからつなげる現代文ドリル 感想


対象読者

ここからつなげる現代文がどのような内容か知りたい、ここからはじめるとの違いは何なのか知りたい、ここからつなげるから取り組んでいいのか知りたい、今回はそういった方々に向けた記事です。

ここからつなげるではなく、ここからはじめるについて知りたい方はこちらの記事を参照してください。

扱っている内容

内容ははじめよう現代文+フレームで読み解く現代文に近いものになっています。
もう少し正確に表すと、ここから始めるの13講以降+フレームで読み解く現代文の内容の一部という形です。

ただし、フレームで読み解くの内容は少ししか入っておらず、基本的にはここからはじめるの13講以降と同じ内容になっています。ここからはじめるで学んだことを確認しながら、プラスで内容を少し補強していく形なので、ここからはじめるをすでにした方は新規事項も少なくそこまで時間はかからないと思います。
動画を見た感じだとこの参考書が終わったら、どの参考書にでも取り組めるようにしたとおっしゃっていたので、次に他のどの参考書に取り組くでもスムーズに進められるように、あえてあまりフレームで読み解くの内容を載せなかったのかもしれません。

ここからはじめるでは主張をどれですか、根拠はどれですかなど、文や役割を探すことに問題になっているものが多いのですが、ここからつなげるではそういった問いは少なく(前半は多いです)、多くの問題は文章の内容を問う普通の問題になっています。
文の役割を直接探す問題が少ない代わりに、すでに文章中に文の役割が示してあったり、解説に明示してあったりするので、問自体は少ないですが見つける練習もできるようになっています。

ここからつなげるはレベルが上がっている分、ここから始めると同じ内容を扱っている所でも、はじめるでは無かった、逆接や補足の違い、解く時の注意、読む時の注意、書く時の注意についてなどのプラスアルファの説明が少しだけ書かれています。

前作より解説冊子が厚くなっていて解説が丁寧そうに見えるのですが、本文を丸ごとの再掲し文の役割を述べ、解説で本文の該当箇所を丸々引用することも多いので、実際の解説は見た目よりも少ないです。さらに、白紙のなにもないスペースが殆どの解説ページにある(殆どが見開き状態の4分の一白紙)ので、なおさら見た目ほどの解説の丁寧さはないです。

一部しか気づいていませんが、センター試験で出題された文章も入っています。総じて演習問題は大学入試で出題されてもおかしなくないレベルの文章が多数収録されています。

ここからつなげるから始めてもでもいいか?

純粋な国文法以外は、ここからつなげるここからはじめると同じような内容を扱っているので、内容的にはここからつながるから始めてもらっても問題ないです。
ここからつなげるから始めるかどうかの目安として二つ挙げておきます。
一つ目です。書店で演習問題の本文をいくつか読んでみて(4,5,29以外)、難しくて理解できないならここから始める、理解できるならここから繋げるというように選んでみてください。
二つ目です。書店で、演習問題を読んでみて解答と突き合わした時に文の役割が、見抜けているならここからつなげるを、見抜けていないなら文の役割を考える練習をするためにここからはじめるを選んでみてください。大抵の場合はここから繋げるから初めても問題ないです。

ここからつなげるを飛ばしてもいいか?

クロスレクチャー読解編の本文を見てて、面食らってしまう、本文を読んでみても何言ってるかわからない、問題の文章が読み切れる気がしないという方は飛ばさずここからつなげるからはじめてもらい、そうでない方はそのままクロスレクチャー読解編に取り組んでもらうといいです。受験生はまずはクロスレクチャーから、高1,2生はここからつなげるから検討してもらうといいです。

ここからつなげるに下げても厳しい場合はさらにここからはじめるに下げてください。



長所

*自然と複数回触れる形式になっている
途中から一度扱ったものを繰り返し扱う形式になっているので、ただ取り組んでいるだけで自然と一定の間隔で復習できるようになっています。ドリルの特性を活かした作りだと思います。

*文の役割が明示してある
本文にその文の文の役割が書いてあって、働きが意識しやすくなっています。実際に明示してあるので、今習っていることがどのように実際の文章で使われているのか分かりやすいです。これがあるおかげで、習っている事と文章が分離せず結びつけやすくなっています。学んでいる最中だと自分で見つけることも、意識することも大変なので、この配慮のおかげで、挫折しにくく、学力としても定着しやすくなっています。
※この点は少し短所も含んでいますので、その点については短所の所でお話します。

*入り口作りが丁寧
ここからはじめると同様に最初に現代文の学習法や学習すべきこと、よくある質問について、数ページ説明されています。
学習法の部分は大方ここからはじめると同じなのですが、最初と最後の部分だけ少し違います。ここからはじめるは一番最初で定期テストと入試現代文の違いについて説明されていますが、ここからつなげるにはそこがカットされていてその分、後ろで内容と形式どちらも大事だよという話が追加されています。
よくある質問はここからはじめるより踏み込んだ内容になっています。ここからはじめる現代文の学習をしはじめた人が抱きそうな質問なのに対して、ここから繋げるは現代文学習を積んできて抱きそうな質問になっています。

*出口が明確
各講にその講で身につけて欲しいポイントのチェック項目についていて、講ごとに何を身につければいいかの確認がしやすいですし、最後に修了判定模試もついていますので、本自体のゴールも分かりやすい作りになっています。こういった事があるおかけで、何周すればいいですか、どうすれば完璧になりますか、どうすれば身についているか確認できますか、などの悩みが抱きにくくなります。

*修了判定模試が復習しやすい作りになっている
ここからはじめると同様に修了判定模試にどの知識を使っているのか明示してあるので、どの力が不足しているのか、どこを復習すればいいのか分かりやすい作りになっています。学んだことが実際の問題で使われているという意識付けもできるので、学習効果を得やすい作りになっています。

短所

*記号の付け方が一定ではない
その章で大事なことに波線、指示語接続表現に四角、その章では扱っている内容ではないが文として大事な所はカッコ、またはペア表現は傍線波線、もしくはカッコカッコという付け方なので、ある講では主張はカッコだけど、またある講では体験談もカッコという事態がおきてしまっています。多くの場合同じ記号はだいたい同じ意味と捉えることが普通ですので、記号をコロコロ変えてしまうと混乱の元になります。先生自身、具体例、比喩、体験談、引用はカッコで、主張に棒線、疑問文に波線というスタイルなので、統一させた方が理解のしやすさ、接続のしやすさ両方の面からみても良かったのではないでしょうか。
ただ、その分文の役割が逐一明記してあるので、そ文がどういう役割をしているかは、さほど混乱しないと思います。

*文章の解説が欲しい
文章の内容も難しくなってきていますし、解説冊子も殆どの講でかなりのスペースが空いているので、本文解説をつけてもらった方が良かったのではないでしょうか。先生がスタディサプリでされてる軽い本文解説を入れていただくだけで、大分学習者の取り組みやすさが変わると思います。

感想

修了判定模試はせっかく配点が載っているのですから、合格基準などを示した方がいいのではないかなと思いました。もし満点以外は不合格扱いで、満点が合格扱いなら、配点をわざわざ載せる必要がない気がします。

修了判定模試の随想が結構肝になっています。この問題が自信を持って解けたら、かなり現代文の力がついていると思って頂いて問題ないです。なんとなく解いてしまうと、間違ってしまうしっかりとした問題になっています。

他の柳生先生の参考書と比べると誤答選択肢についての説明が手厚いなと思いました。もう少し誤答選択肢の説明を増やして欲しいという声が多かったので、それに配慮されたものだと思われます。

演習問題の文章は入試レベルのものも多いので、難しいと感じる方も多いかもしれません。特に演習問題の4,5,29は難しいと感じる方が多いと思います。文章が難しくてなかなか理解できない人は、語彙系の参考書をするのと同時に、ここからはじめるに一旦下げてみてください。

柳生先生の参考書を使っていて学力が伸びている気がしない方へ

参考書を使っていてできるようになった気がしないという方がX(Twitter)やYouTubeをみていると結構いらっしゃるので少し触れておきます。
最初の頃は指示語、接続表現、文章中の目の付け所を学んでいる段階で、読解力自体を鍛えていっている段階です。そのため直接には成果が見えにくい・感じにくいので、多くの場合実力がついていると実感しにくいです。部活で言うと基礎体力をつけている段階です。仮に伸びを感じたとして、内容が理解しやすくなってきたかな?問題が解けやすくなってきたかな?と感じるぐらいで、明確に成績が伸びているとは感じにくいと思います。
多くの場合はその次の段階から伸びを感じてくると思います。その段階とは、その読み取った物を形に起こして行く段階、要するに論理関係毎の解き方、設問形式毎の解き方を学んできた段階です。この段階にはじめて少しずつ解けるようになってきた、読めるようになってきたという実感を持ちはじめると思います。参考書で言うとフレームで読み解く現代文、プラチナルール、クロスレクチャーの読解編、解法編などです。

それまではなかなか体感しにくく辛いと思いますが、飛翔の前の下準備期間だと思ってそのまま続けてください。表面に現れていないだけで、学力として伸びていない訳ではありません。今使ってる人は心配せずにそのまま取り組み続けてください。

上手に利用するために

*自分なりに文章を説明できるかチェックする
文章をあまり理解していなくても問題が解けてしまうので、自分で意識的に文章を理解できているか確認しながら進めたほうがいいです。そうしないとただこなしただけになって、読みの力が身についていかないです。あくまで柳生先生の参考書で学ぶものは、正確に理解しやすく、正確に解きやすくするためのもの、要するに補助にすぎません。本人が思考をそもそも放棄していては思考力は鍛えられていかず、持っている思考を助けてくれるための道具で生きず宝の持ち腐れになってしまいます。したがって、そうならないためにも、その文章を読み終わったらここで扱った文章をどういう内容だったのかな?と沢山考えてみてください。ここを鍛えなければなかなか思考も磨かれていきません。沢山考えて汗をかいてください。
※ここはここからはじめるとの一つの違いだと思います。ここからはじめるは難易度が読解法>文章でしたが、ここからつなげるは読解法<文章になっていますので、文章の扱い方に少し注意が必要になっています。

*解説は照応させながら読む
解説を読む時は解説だけずっと読んでいくのではなく、本文についての説明があったら必ず本文の該当箇所に戻って対応させ、選択肢についつての説明があったら必ず選択肢の該当箇所にもどって対応させて、解説を読むようにしてください。めんどくさくついつい解説だけでを読みがちですが、それでは解説をなかなか理解できませんし、学力も上がっていきません。めんどくさいと思いますがきちんと成績を上げるためにも、解説を読む時には、必ず元の本文選択肢に戻って対応させながら進めてください。
それをしやすいように解説に本文が再掲されています。

*他の問題でも使えるポイントを抜き出す
最初はなかなか上手くできないと思いますが、解説を読む時にこの問題でのポイントは何かな、他の問題でも使えるポイントは何かなと意識しながら、ポイントを抜き出す意識を持ってください。これを意識するだけでも読みの集中が上がり、理解力や内容の定着が変わってきます。
そして可能であれば、それをノート、Word、メモアプリなどにまとめていくと、自分の中で仕入れた知識を咀嚼し理解したことを言語化する段階を踏むので、理解が深まりより定着しやすくなります。要点をまとめたことで復習もしやすくなります。
普通の紙のノートにしてもらっても構わないのですが、書き足してくるとごちゃごちゃしてきたり、修正する手間が出てきたりするので、電子関係の方がいいと思います。iPadやPCがない方はiPhoneのメモアプリが一番使い勝手がいいと思います。


与太話

内容に全く関係ないのですが、ここからはじめる、ここからつなげるのシリーズは全体的に色落ちがしやすい気がします。本屋さんにあるのも期間がまだそこまで空いていないのに真っ白くなっていたり、以前買ったここからはじめるもかなり白くなってきました。気になる方がいるかもしれないので、少しコメントしておきました。
ここからはじめるは解答欄が増えていたり、問題が違ったり、答えがちがったり本当にミスが多かったのですが、ここからつなげるでは全く見られませんでした(まだ見つけられていないだけかもしれませんが)。ここからはじめるのあのミスの多さは何か原因があったのかもしれません。

受験生の参考になれば幸いです。

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