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6.マーケティング戦略って何のために行うの? その3

「何をやらないか選択する」ため

忘れがちだけど、もしかしたら一番難しいことかもしれません。

連載もの「骨太不動産投資マーケティング」のつづきです。
前回はこちら、最初から読まれる場合はこちらからどうぞ。

戦略とは、
・競合他社にくらべて相対的に高い価格を要求できる
・事業を相対的に低いコストで運営できる
・その両方を実現する
・何をやらないか選択する

こと

の最後「何をやらないか選択する」が今回のテーマです。

マイケル・ポーターの競争戦略/ジョアン・マグレッタ著、全318ページの中で、ボクが一番印象深かった箇所です。おそらく今後も忘れることがない1ページになると思います。

引用させてもらいます。P193~194
ーー
サウウエスト航空には、伝説のCEOハーブ・ケレハーが、ある得意客に対処したときのおもしろい逸話がある。この客は飛行機に乗るたび苦情の手紙を書いてくるので、社内では密かに「ペンパル」と呼ばれていた。ここでサウスウエストの戦略に欠かせない、数々のトレードオフをおさらいしてみよう。座席指定なし、ファーストクラスも機内食もなし。航空機はボーイング七三七型機だけ。荷物の移送もしない。ペンパルは、サウスウエストのこうした選択のほとんどに苦情をいってきた。顧客関係担当者は苦情の手紙にいちいち丁寧に返答していたが、そのうち途方に暮れてしまった。そこでハーブに一筆書いてほしいと頼んだ。ハーブはすぐに返事をしたためた。

「親愛なるミセス・クラブァップル、お会いできなくなるのがさみしいです。愛をこめて、ハーフより」
ーー

スゴイです。スマートです。そして、全くブレてません。
これ以上の「何をやらないか選択する」の説明はないとさえ思えてきます。

引用のBOLD(太字)部分は、サウスウエスト航空をご存知ない方向けに、同社のサービス説明のためにボクが付けたものです。サウスウエスト航空は、いろいろなマーケティング本に登場するので、ご存知の方も多いことでしょう。

サウスウエスト航空の特徴

簡単に同社を説明すると、以下になります。記憶を頼りに書いています。乗ったこともない航空会社ですが、いろいろな本に登場するので記憶してしまっています。それほど戦略が明確でスマートだとも言えると思います。

・ターゲットを地元住民に特化
・空港使用料の高い主要航空の利用はせず、資料料が割安な近隣空港間のフライトに特化
・長距離移動は行わず、中短距離に特化
・上のBOLD部分のサービスに限定し、空港滞在時間を極限まで短縮し便数を最大化
・それにより、他社が追従できない低価格でのフライト代を実現

あえて、「特化」という言葉を繰り返しましたが、ターゲット顧客を限定することで、その顧客のニーズに合うだろうサービスを仕組みとして作り上げています。低コストと高価値(安い価格で利用できる)両方を実現し、競合優位性を確立しています。

このnoteに書くたために、ちょっとだけサウスウエスト航空のサイトを調べてみました。見て気づいたことが2点。

初めて機体写真を見ました!
こんな感じの機体なのですね。

無題

30代の頃は、四半期に1度ぐらいアメリカ出張してましたが、見たことありませんでした。ま-当然といえば当然で、国際線が離発着する大きな空港は空港使用料が高いので使われてないですからね。

荷物輸送にも進出?
2つ目の気付きは、「マイケル・ポーターの競争戦略」には”荷物の移送もしない”と書かれていますが、Southwest Cargoなるサイトが出てきました。最近はじめたのでしょうか。この本の初版は2012年、英語版が2年前として2010年だとすると、10年で状況が変わったのかもしれませんね。https://www.southwest.com/html/air/business-groups/cargo.html

本筋に戻って、「何をやらないか選択」することについて、ボクの経験をお伝えしたいと思います。

身近な「何をやらないか選択する」

不動産投資をしていると、いろいろと選択しなければならないことがあります。まずは新築か中古か、新築の場合、建物の構造を何にするか、マンションタイプ(RCといいます)にするか、アパートタイプ(木造といいます)にするか等々です。

ボクは中古物件購入はやりません。
競争が激しすぎるので。普通に昼間サラリーマンをやっていながら、物件を見つけ、すぐさま買付を入れるなどボクには到底真似できません。時間勝負になる中古物件は今のボクの仕事スタイルでは、本業業務に影響をもたらしそうです。

まー知識がないだけとも言えますが(苦笑

ボクはRCはやりません。
「マンション所有しているんだ」と言ったらカッコいいでしょうし、転売したらかなり儲かります。その分、競争が激しいのと、所有期間中の利益は木造に比べると低く、転売ありきのスキームになっています。物件の売却経験がないのと、「切った張った」が苦手なチキンなので、転売時にそこまで高く売れる自信がないからです。

まー知識がないだけとも言えますが(苦笑

あと、徒歩10分以上の土地は買いません。
これも性格がチキンなので、徒歩10分以上であることが理由で空室が長期化したら、ずっと自分の選択を後悔してしまうことでしょう。一般の入居者の方が「駅徒歩」検索条件として選択する「10分以内」の場所の物件のみを所有しています。その分、利回り*が低くなってでもです。

*利回り:年賃料/物件購入価格で導きだす。年賃料800万円/物件購入価格1億円であれば、利回り8%。都内・首都圏新築であれば、8%が最低合格ライン(人により意見は異なると思いますが、ボクの新築物件3棟はいずれも8-9%ぐらいです)

自分がポートフォリオワーカーを志向している、現役サラリーマンだからこそのトレードオフ部分であるかもしれません。現役サラリーマンだから新築購入時に融資を得られ、ちょっとは拡大できたのも事実です。今はサラリーマン属性ではなく、大家としての属性で評価はしてもらえるようになりましたが。

あとは、チキンという性格なのを押し殺してまで無理はしなくなりました。大変苦痛で、心臓に悪いです。ハラハラ、ドキドキが好きだという感情には到底なれませんし、ボクにとっては博打的な高値売切はできそうにありません。Company(自分)の資産を見越しての判断になります。

大きすぎない(事業レベル)、卑近すぎない(習慣レベル)、「やらないことを選択する」の参考になれば幸いです。

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