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複眼的思考 - 蔵書2000冊超のボクの今週の読書キーワード

テレワークになっても、毎日1-2冊、聴く読書をしています。

朝の日課のストレッチ&筋トレ、朝食の40分で1冊。夜、余力が残っている時だけですが、ステッパー30-40分しながら1冊。土日メインの犬の散歩30分で1冊。

30-40分で、だいたい8万字程度の本を聴く読書ができます。長い本でも、2日で聴ける計算です。

そんなボクの読書(聴く読書)の中心は、Kindle Unlimited!
今月対象になったものから、合法的に保存しているものから、その時の気分で選択します。未読書500冊、既読書2000冊超なので、選び放題です。

先週、今週で読んだ本で、気になったのキーワードが「複眼的思考」。今月のKindle Unlimited対象本の2冊で引っかかってきました。

キーワードとしての「複眼的思考」

まず最初がこの本。タイトルから惹きつけられてしまいました。

東大、オックスフォード大の教授ということで、易しい文体でありながら、知的好奇心をくすぐってくれる超良書でした。苅谷先生の授業が「大学のベストティーチャーズ」に選ばれるのも頷けます。学生時代に戻ったような、早く次を教えてほしい!という興奮とともに、飽きることなく聴く読書ができました。読書メモや”まとめ”も、ちゃんと”残す衝動”にかられて、2日間楽しめました。16万字程度。

筆者の「複眼的」定義をボクの読書メモから拾ってみると、

・ステレオタイプから抜け出し、相対化する視点を持つ
・仮想の立場を複数想定し、それぞれの立場からの批判や反論を試みる
・具体的事象から共通点を見出し、抽象度を上げ、高いレベルから物事を考える

などと書かれています。

(犬の散歩をしながら、自分が感じ取ったまま読書メモを取っているので、意訳が入りまくっていいることを予めご了承下さい)

本自体の感想としては、こんなふうにまとめていました。キーワードとして「複眼的思考」を入れてませんでした。”つまり”以降は、ここで追加しておきました。

複数ケースに共通する事柄を帰納法的アプローチで、一般化、抽象化したことを、筆者は「概念」と表現している。この思考法は、問題解決や原因追求に有効である。問題に遭遇した際には、個別の具体的ケースの原因を検討するととともに、この「概念」による切り口での原因追求、問題解決も試みるとよい。

つまり、物事の問題解決にあたる際には、具体事象の固有部分と他事象にも共通する部分(抽象化できる部分)、両側面からの視点で考えるべきである。筆者はこのアプローチを「複眼的思考」と定義し、そのやり方を本書では解説している。超良書。

箇条書き部分のメモ と「複眼的思考」のやり方を、ちゃんとまとめないとダメだねと、思っていた矢先、今朝、また、この「複眼的思考」というキーワードに遭遇しました。

こちらものKindle Unlimited対象本です。8万字程度。

この本のポイントをひとことでいうと、「教養人たるために、学び続けろ」、ということ。筆者自身、教養あるところを本書で遺憾なく発揮し、圧倒的な知識、智慧の違いを見せつけられた感じがしました。

本書から「複眼的思考」に触れられている部分をピックアップしてみます(以降、複眼的を太字記載、の~ち注)。

教養のある人とはどういう人か? 
端的にいえば、ある事柄を多様な視点から見られる人だ。単眼的な思考でなくて複眼的な思考を持てる人といってもいい。固定観念や既成概念、ありきたりの常識にとらわれずに、自由自在に思考できる人だ。
そういう人は、自分を相対化してみることができる。
別の言い方をすると、自分を俯瞰(高い所から広い範囲を見下ろし眺めること)することができる。

また別の箇所では、よい教師の説明として、「複眼的思考」を取り上げています。

 むずかしいことをやさしく、
 やさしいことをふかく、
 ふかいことをおもしろく。
        小説家、劇作家 井上ひさし

(中略)

生徒が分からなければ、それは生徒のレベルが低いわけではなくて、
教師のレベルが低いという落ちになる。

次のフレーズは「やさしいことをふかく」である。

深いとは浅くないということだ。「やさしいことをあさく」ではなく、「やさしいことをふかく」教えるにはどうしたらいいのだろうか。たぶん、ポイントは複眼的であること、根底的(「そもそも」や「なぜ」が指標となる)であることだ。
 たとえば、会社の在り方を語るとき、売り手視点だけでなく、買い手の視点や世間の視点も含まれた視点(=三方よしの視点)で語られる講義の方が深い話になる。

ちなみに、リベラルアーツのことにも本書では触れられていました。単純に知らなかったので、「へーそーなんだ」でした。

大学の教養課程を英語でリベラルアーツと呼ぶことはよく知られている。リベラルアーツは、奴隷制を有した古代ギリシヤやローマで「人を自由にする学問」として生まれた。帝政ローマの末期(5~6世紀)には、言葉に関わる「文法」「修辞学」「論理学」の3つと、数学に関わる「算数」「幾何」「天文」「音楽」の4つを併せて「自由7科」という考え方が定着した。これらを修得すれば、奴隷でない自由人として生きていける。しかし、これらを修得できなければ奴隷として生きていくしかない。自らをより自由な存在たらしめてくれるものが教養なのである。

*太字はの~ち注

「複眼的思考」を蔵書からピックアップ

この興味を引かれた「複眼的思考」、どうせなら、ということで、ボクの得意技、蔵書全文検索でピックアップしてみました。全書電子化しているのでこの手の作業はお手の物です。

上の2冊は、現在のKindle Unlimited対象ですが、ここからご紹介するのは、KU対象でないものも含みます。念の為。

イノベーションの可能性を見極めるのは非常に難しい。だからこそ、複眼的・多面的な検証が欠かせないのですが、ネットワーク密度の低い組織ではそれが難しいのです。

3Mのポストイット、花王のアタック、ミニバンが世に出た理由として、上の記述でまとめられています。

こちらの本では、多くの本で「複眼的(思考」は、Should(すべきだ)と書かれているのに対して、Must(しなければならない)になっています。イノベーションを起こすためには、今までの「概念」にはない、発想が必要ということなのだと思います。

なんとKU対象でした!

同じ専門の人間同士では話が批判的になっておもしろくない。めいめい違ったことをしているものが思ったことをなんでも話し合うのがいいという信念に達した。ひとり勝手に、これをロータリー方式と呼んでいる。
(中略)
もっとも、同じ分野の学者が集っても、すばらしい成果をおさめている例もないわけではない。
(中略)
そのエヅセイの発想がダイアローグ的、つまり、多元的、複眼的で、読むものに不思議な刺激を与えるのである。
(中略)
すばらしい成果をあげている例だが、メンバーはよほど心の広い人たちであるに違いない。よほど、つよくて温かい友情に結ばれているに相違ない。

名著「思考の整理学/外山滋比古 著」です。(中略)だらけになってしまいました(苦笑

それでも、外山先生が言わんとすることは、わかっていただけると思います。「批判的にではなく、概念では見えていない、モノの本質を捉えることが重要。そのためには、専門が違う人であれば、自分が専門としている分野に詳しくないため、自分が当たり前過ぎて見落としている”本質”を指摘してくれる可能性が高い」、その議論を「複眼的」と言っているのだと思います。

「真の発見の旅とは、新しい風景を求めることでなく、
 新しいものの見方を得ることだ」                  (マルセループルースト[失われた時を求めてし)

日本の常識は世界の非常識-複眼的にものが見える瞬間
(中略)
裸足で駆け回り、物乞いをする子どもたちが街にあふれていたり、体の不自由なわが子を見世物にしてお金を稼ぐ親がいたり……。
 そうした光景に遭遇することで、「ああ、こういう世界もあるのだ」とあらためて気づかされたりもします。
 このようにして新しい世界の存在を知ることで、より物事を複眼的に、あるいは深く見ることができるようになっていきます。

「学び続ける理由」に続き、「教養」がタイトルに入っている本がヒットしました。こちらも名著「人生の教養が身につく名言集/出口治明著」です。

出口先生も読書家として、多くの本を読むと同時に、執筆されています。ライフネット生命を創設され、今は立命館アジア太平洋大学学長をされています。世界史本、リベラルアーツ本が多く、ボクも何冊か読んでいますが、この本が一番刺激を受けました。

まとめ

キーワード「複眼的」の、の~ち蔵書全文検索、いかがだったでしょうか。正直ボクは意外な結果でした。もっと、アプローチ的な本がヒットすると思ったのですが、それこそ、モノゴトの本質の捉え方や考え方を説く、いわゆる教養本、思考本ばかりヒットしました。

複眼的に物事を考える、見ることは、結局のところ、教養を身につけることにつながるのかもしれません。あるいは、教養を身につける過程で、複眼的思考は身につくのかもしれません。

今日紹介した本をまた読みたくなってきました。

念の為、Kindle Unlimitedのリンク貼っておきます。上記本3冊読めます!

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