掲載後4万%売上UP!! ハッシュタグトレンド入り!! 「漫画を預けたら売れる」最強の販促チームを目指す理由 【連載: ナンバーナインの中の人】
このnoteでは、2018年よりナンバーナインが提供する漫画のデジタル配信サービス「ナンバーナイン」の5周年を記念して、2023年を振り返る「中の人インタビュー」を公開しています。
前編ではデジタル配信サービスを取り巻く環境の変化について振れつつ、漫画家養成プログラム「アクセルナイン」の取り組みについて掘り下げてお話しいただきました。
後編では、Xのハッシュタグトレンド常連でもあるBL界の新星イベント「創作BL大豊作まつり」や、泣く子も黙るXでの公式漫画紹介者「あくせるちゃん」誕生のお話を伺っています。
普段は聞くことのないサービスの裏側からナンバーナインの大いなる野望(?)まで赤裸々に語っていますので、是非お楽しみください!
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大貫
反響の大きさでいうと、2つ目の「創作BL大豊作まつり」も負けていません。これはその名の通り、BL作品の一斉配信&すでに配信している作品の大規模セールを行い、BLジャンル専門のポータルメディアのちるちるさんや各電子書籍ストアさんと連動して読者に届けるキャンペーンです。
工藤
いわば電子書籍ストア、メディアと一緒に行う「創作BLのオンライン即売会」です。
初回は1週間で4万冊くらいBL作品を購入いただき、直近開催された第6回目では2週間で約10万冊を読者に届けることができました。3ヶ月に一度開催し、ハッシュタグが毎回トレンド入りもする独自企画です。
Xで毎回トレンド入りする「創作BL大豊作まつり」誕生の裏側
ーー「創作BL大豊作まつり」はどういった経緯で始まったんでしょうか。
工藤
デジタル配信サービスには当たり前ですが、入稿の締め切りがありません。漫画家さんに自由に使ってもらえる反面、いつでも作品を登録できてしまうんですよね。しかし、フォロワーが少ない漫画家さんたちが個人で稼げるようになるためには、定期的に作品を発表することが必要不可欠です。
どうすれば漫画家さんたちが「ナンバーナイン」を利用して定期的に漫画を配信する習慣を持ってもらえるかを考えたときに、コミティアやコミケ、J庭(J.GARDEN)といった同人系のイベントがそこをカバーしている印象を持ちました。
これをSNS上で展開できれば締め切りをつくることができるし、たとえ一人ひとりのフォロワー数は少なくても企画に乗っている作品としてヒットする可能性があると思ったんです。
大貫
いま「ナンバーナイン」で配信して人気が急上昇しているりんごの実さんの『兄弟失格』も、同イベントを通して人気に火が着いた作品だったりします。
イベント自体も、毎回必ず新しいエッセンスを入れることを意識して運用しています。BLに造詣の深い著名人をアンバサダー起用したり、読者にアンケートを取ったり、懇親会を開いたりして作家さんに直接話を聞きにいったりもしました。
最近のアップデートでは、「ナンバーナイン」上の特設サイトに「属性タグ」で検索できる機能を追加しました。これによって、読者は作品の”性癖タグ”から好みの作品を探すことができるんです。
ーー 読者、作家双方へのヒアリングを通じてアップデートがなされているんですね。今後のアップデートも楽しみです!
大貫
現在、国内外問わずBLが大衆的に受け入れられているのを実感しています。「創作BL大豊作まつり」を通じてもっと世の中にBLを広げていきたい!と運営チームも意気込んでいて、同人というフィールドは濁さずにいよいよオフラインの進出も企んでいます。
ーー こうして見ると、たしかにSNSを起点にした施策がナンバーナインには充実していますね。
工藤
そうですね。最近では、自社でも販促専用の公式Xアカウントの運用に注力しています。それが、最後に紹介するナンバーナイン公式漫画紹介者「あくせるちゃん」です。
X上でバズるためには、当たり前ですが、作品をXに投稿する必要があります。しかしSNSに投稿することで誹謗中傷が飛んできてしまうのでは......とためらう作家さんや、そもそも投稿の仕方がわからない作家さんも少なくありません。
それなら作家さんたちに任せるのではなく、自社でアカウントを育ててバズらせたらいいのでは、というところからナンバーナイン公式漫画紹介者「あくせるちゃん」は誕生しました。
掲載後の売上が脅威の4万%UP?! 「あくせるちゃん」の衝撃
ーー 当時こういったキャラクターによるコンテンツ発信は珍しかったんじゃないでしょうか。
工藤
珍しかったと思います。ですが、既に雑誌の形式を取って作品連載をして支持されているアカウントがあったので、コンテンツは違えどバズるものは作れるだろうという見立てはありました。
大貫
私も入社前から面白い試みだと思っていました。だけど同時に「もったいない」とも感じていて。
私が入社した2022年10月当時はフォロワーがまだ5,000人くらいで、当時の課題は”リソース不足”。そこでまずは「あくせるちゃんのアカウントを伸ばそう」と決めて、コンテンツマーケティング部門の中で専門チームを発足させました。現在は部門を横断して集まった8人くらいの体制で運用しています。
ーー そこから1年3ヶ月で、現在はフォロワー13.7万人(※2024年1月時点)と急成長しています。
工藤
今でこそマンガ紹介系のアカウントが増えましたが、あくせるちゃんは先駆け的存在ですし、フォロワー数も日本トップクラスを誇っています。
大貫
半年間のインプレッション数をぶっちゃけると、9億くらいあります。単純に月換算すると日本人全員が見てるくらいまでのアカウントに成長しました。
ーー 突っ込んで聞いてみますが、実際の売上のほうはどうなんですか?
大貫
「あくせるちゃん」に投稿することで、売上が3日で4万%UPした作品もあります。『奴隷を調教してハーレム作る』は、投稿後わずか3日で売上が数千円が数百万円に、『異形頭さんとニンゲンちゃん』は、前日までに数十万円だった売上が数千万円まで跳ね上がりました。
おかげさまでいまでは「あくせるちゃんに取り上げられたい」といった嬉しいコメントを作家さんからいただくこともあります。
ーー 全ては作品がヒットする仕組みをつくり、作家に還元することに繋がっているんですね。この一年を通してさまざまな進化を遂げてきた「ナンバーナイン」ですが、手応えは感じていますか?
大貫
より作家さんに寄り添えるサービスになってきたと思っています。これまで話題に挙がってきたプログラムやキャンペーンなどのSNS施策を手掛ける一方で、作家さんが実際に作品を登録する際の台割調整機能やプレビュー機能の実装など、UI改善にも積極的に取り組んできました。
最近、作品の入稿基準を分かりやすくしたのですが、結果的に作品登録審査の通過率が20%向上しましたし、サービス利用のハードルも徐々に下がっていることを実感しています。
工藤
やりたいことが0から1000まであるとして、例えば1000を『ONE PIECE』クラスのヒット作が誕生すること、100をアニメ化作品が誕生することとして考えたとき、今のナンバーナインは50ぐらいまではできているんじゃないでしょうか。
やりたいことはまだまだ尽きませんが、ようやく100を目指すための準備が整ったと思います。
「漫画家を目指すすべての人の選択肢に」ナンバーナインの野望
ーー 最後にこれからの抱負を聞かせてください。
工藤
まずはしっかり100(アニメ化)まで持っていけるようなサービスを目指していきます。そのためにはゼロイチの漫画(IP)づくりを強化していく必要もあると思っていますし、100万部を超えるような代表作を「ナンバーナイン」として作っていきたいですね。
さらに先を見据えて1000を目指すなら、さまざまなメディアミックスが自ずと必要になるので、その仕込みも進めていかなければいけません。
大貫
「ナンバーナイン」が作家さんに安心して使ってもらえるサービスであり続けることは欠かせません。そのために、長い目線で見て目指すべきところは、工藤さんと同じです。
いまは「漫画をつくるなら出版社に持ち込んで連載を目指す」のが業界のセオリーですが、ナンバーナインが選択肢を広げていきたいですね。
注力していきたいのは、IPの創造とIPを売り伸ばすための施策立案。IP化に紐づく戦略を立てた取り組みを実践していきたいです。そしてゆくゆくは「漫画を描こう」となったときにナンバーナインの名前が挙がるような存在になれたらと思っています。目指すは漫画の総合商社です。
ーー 2024年の「ナンバーナイン」にも乞うご期待ということで。お二人、ありがとうございました!
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編集・構成: ころく@ナンバーナインCXO
執筆: Moriya Ayuka
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